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ライトノベルじゃあるまいし  作者: ASK
第ニ章【ゴブリン・パトリダ】
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第24話 赫き龍と光牙の蟻

こんちには!

酷く今更なのですが、この小説、第1章のゆるゆるラブコメ感を気に入ってくださり、読み続けてくださっている方にとって。

第2章からのラブコメ要素のないストーリーはあまり好みではない方もいるのではないかな……と反省しております……うぅ


 砂塵が舞う。


 火の粉が鼻先を漂う。顎を伝う汗が、もう所々が焼け焦げた俺の服を湿らせる。


 募る焦燥感。じりじりと心を焦がす恐怖。


 ──突然だが、俺は思い込みが激しい性格だ。


 それ故に、このパトリダに来る前の、紗江さえ紀伊きいちゃん、傘音かさねと過ごした、あの世界でも、自分がラノベ主人公だと思い込んだことで、コミュ症のはずの俺が、あんなお喋りな性格に変わっていた。


 同じように、この世界にゴブリンとして生まれた後も、バトル系ラノベの主人公になったような気持ちで、憧れた“修行”や、恋い焦がれた“特殊能力”といったものに、惹かれた。そして染まった。


 包丁すら持ったこともなかった俺が、何の疑問も、恐怖もなく、ただ主人公らしく、かっこよく、という思いだけで、ナイフを握り、ピズマやレプトスと修行の中で戦った。


 家から出ないをモットーにしていた、現実世界のあの頃なんて、見る影もなく、俺は正義感と下心溢れる、ちょっと変わったラノベ主人公になっていた。


 ──しかし、やはり、それだけである。


 所詮は思い込み。現実世界に戻ろうともせず、命の危険に襲われてでも、このスリルと喜びに満ちた世界で生きようとする俺の原動力は、思い込みに過ぎない。


 何の補正が知らないが、信じられないほどの身体能力が、今のこのゴブリンの体にはある。だから、形だけなら、まるで戦える様に見える。しかしその実態は、憧れたアクション映画や、バトルアニメ、バトル系ラノベの主人公の真似事。


 二番煎じどころではない。


 だから俺は、戦えると思い込んでいるだけの、ただのニートのままなのだ。


 かっこいい必殺技なら、何個も覚えてる。自分のも作ったりもした。けれど、それはあくまでラノベの世界。今俺がいる場所では、必殺技なんてのは俺には使えない。


 偏った知識で体を動かす俺が、初めから龍皇りゅうおうなんて存在に敵うはずがなかったんだ。生きてきた世界が、時間が違うのだ。


 もう……どうすれば──。



「オラどうしたぁ!!ありんこぉっ!!」



 龍皇、フロガの声に、肩を震わせながら反応する。咄嗟に横に飛ぶ。反応、動き共に遅れたせいか、逃れきれず、足を焼かれる。すぐにピズマが治す。


 しかし、焼かれたという事実は治らない。消えない。その痛み、恐怖は二度と拭えない。


 味方の数が増え、ほぼ不可能かもしれないとはいえ、突破口もレプトスが提案してきた。多少は優勢なつもりだった。


 でもやっぱり、最強の名を何十年も背負ってきた男は、格が違う。話にならない。


 これまでの龍皇の攻撃は、炎を操るものだった。足元から噴き出したり、空から降ってきたり、龍皇の手から飛んできたりと、様々な攻撃方法ではあったが、いずれも俺以外のピズマ、コインの双子、レプトスは、対処ができていた。


 しかし、チェックメイトだ、と言った後から、龍皇の攻撃の質が変わった。


 単純に言えば、炎の量が変わった。


 バスケットボールサイズの炎の球を、無数に飛ばしてきたりはしていたが、まさか目に見える範囲全てを焼き尽くすほどの炎の爆発を喰らわされた時は、マジで諦めかけた。てかもうほぼ諦めてる。



 遠く広がる地平線の地面まで黒く焦げて、火の粉と灰が宙を漂うのが見える。


 よくラノベやアニメで見るような、炎系能力者とは違うように思う。彼自身が、炎でできているのではないかと疑うほどには、無限に溢れ出る灼熱の赤に、絶望を感じていた。


 もう、立ち上がることすら──



「──ひゃははっ」


「うぐぁっ……!」



 龍皇の苦鳴。目をやると、そこには、わき腹から流れ出る血を手で押さえながら膝をつく龍皇の姿があった。


 目を見開いて驚く俺。少し離れたところで、気絶するアリステラを抱きながら、何が起こったのか理解していない様子のデクシア。


 大剣を杖にして何とか立っていた満身創痍のピズマは、開いた口が塞がらない、という言葉を体現していた。


 そしてナイフをクルクルと回しながら、膝をつく龍皇の真後ろに立つのは、本気で戦えないはずのレプトス。


 目前に佇んだ死に溺れた心が、脳が、理解しようと熱を帯びる。吐き気すら催すほどの不可思議さに、体の痛みや痺れも忘れて立ち上がる。



「……レプトス?ど、どうして……」



 俺がレプトスに尋ねる。龍皇を倒せる程に強いということを、コインの双子やピズマに知られてはならない、そう言ったのはレプトス自身に他ならないというのに。


 俺の声を聞き、レプトスがこっちを向く。


 直後。



「……ぅらぁっ!」



 膝をついていた龍皇が、わき腹の傷口を押さえていない方の手をレプトスに向け、レプトスの体の大きさを優に超える巨大な炎を浴びせた。


 咄嗟に炎を防ぐレプトス。しかしその炎に押され、吹き飛ばされる。地面に転がったレプトスは、わざとらしく笑いながら言う。



「ひゃはは。たまたまだ、何となく攻撃してみたら当たったってだけの話だぜ、ラン。もうこんな偶然は起こらねぇけどな、ひゃはは」


「……はぁ?」



 何を言ってる。偶然なんかで傷を負わせられる相手じゃないことくらい、俺にだってわかる。それなら、コインの双子やピズマだって気づいてる。なのにそんなことしたら、お前の実力がバレて……。



「と、いうわけで、やっぱりお前が倒してくれ、ラン。俺には今の一撃が精一杯だぜ、ひゃはは」



 レプトスは立ち上がりながら言う。そしてその浅はかでバカバカしいレプトスの企みを遅ればせながら理解する。


 つまりは、鼓舞したということ。先ほど龍皇の起こした炎の大爆発によって、より鮮明に死を意識し、それ故に闘志が折れていた俺たちへの、鼓舞。


 そして、龍皇に一撃でも与えればいいという特別な任務を背負った、俺に対する励まし混じりの皮肉。


 ピズマたちにバレるリスクを負って、戦意喪失した俺の目を覚まそうとしたのか。


 体張りすぎだ、バカ。



「……くっ、ふぅ……。任せろ、あほんだら……!」



 軋む体を無理やり動かす。膝を曲げて屈伸。アキレス腱を伸ばす。肩で息をする龍皇に、手に持ったナイフを向ける。



「もういいぜ、茶番はここまでだ。レプトスのアホももう戦えないみたいだし、俺がやってやる。こっちこそチェックメイトだ、クソジジイ!」


「ラン様……!」


「ラン君……!」



 呆然とするピズマとデクシアを背に、走り出す。


 レプトスが一体何をしたのかわからないが、わき腹を切られただけで立ち上がることすらできない今の龍皇になら、俺だって。俺にだって。


 焦げ臭い地面を蹴って、加速。肉薄した龍皇に、ナイフの刃を突き立てる。



「あばよ!」


「──この俺は、“龍を喰った”男だ」



 俺が叫んだと同時に、龍皇が何か言った気がした。無視して、ナイフを振り下ろす、刹那。


 カッ!という音が鳴ったような錯覚を受ける、白い光。眩しいというよりも、熱を感じさせる光に、咄嗟に目を閉じる。


 直後、龍皇の身体中から発せられる熱気と熱風に飛ばされる。


 光と熱を帯びて、立ち上がった龍皇は、腕を掲げ、叫ぶ。



「この俺が、フロガだ!この時代の名が、フロガだ!思い知れ下等種族ども!“龍をも喰らう”人間の底力を!龍をも超える人間の存在を!」



 龍皇は掲げたその手を、自らの胸に突き刺す。心臓のある部分に刺さった腕に、血が滴る。傷口を赤が覆う。流れ出る生命の証が、黒く焼けた地面を濡らした。



「──この俺は!龍皇、フロガだぁッ!」



 ──ブチュッ。


 叫びとともに、そんな音が聞こえた。何かが潰れる音。潰された音。


 自らの胸に手を突き刺すフロガの姿を見た。


 それが何で、何が起こったのかは、ここにいる全員が理解した。



 フロガが、自らの心臓を握りつぶしたのだ。


 瞬間、再び光がフロガを、視界を、世界を覆う。



「──ドラゴン……?」



 吹き荒れる熱風の中、かろうじて立っている俺は、無意識にその名を口にした。


 ファンタジーの象徴。男が憧れる強者の典型。世界が恐れる恐怖の体現。


 ドラゴン。


 いつか見たような、白い光の中から、赤々しい焔を巻き上げて現れたのは、まぎれもないドラゴン。


 その体躯は、凄まじく巨大で、蛇のように長く。


 その翼は、背中から生える炎の塊でできていた。


 牙をのぞかせる巨悪な口は、口の端から炎を吐きながら、横一文字に広がっている。


 ともすれば、羽の生えた巨大な蛇にも見えるその姿は、しかしやはりドラゴンであり、龍であった。


 空高く、もうすっかり明るくなった太陽の光を浴びて、その赫き龍は、鼓膜の許容範囲を遙かに超えた咆哮と、爆炎を、その大きな口から発した。




❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎




 ──ナイフを握る。正面に構えたそのナイフに、振り下ろされた龍の尻尾が直撃する。


 もちろん防げるはずもなく、大きなクレーターが地面に生まれ、ついでに俺はぺしゃんこに潰れる。砕け散った全身の骨と、潰れた内臓と血液を撒き散らしながら、一瞬で絶命した──はずだった。


 俺が潰れるのと同時に、ピズマの回復が訪れる。


 不思議な感覚。折れると同時に完治する骨。飛び散ると同時に身体中を巡る血液。破裂すると同時に機能する内臓。


 まるで1つの矛盾がそこにあるようで、まるで時間が勝手に戻るようで。


 死が生に塗り変わるのが同時の、まさに矛盾。


 かつて1人の赤子の命を救った、とある世界の大悪人の“生命のうりょく”の様に。


 俺は、そこで死にながら生きた。


 大地を割った巨大な尻尾が、空に引っ張られる。そしてまた俺たちの頭上に赫き龍がその炎の翼を広げている。


 ゴツゴツした龍の顔が、どことなくイラついているように見える。


 そりゃそうだ。サイズ的にも本当に蟻んこみたいなやつらが、いくら尻尾で叩いても、炎で焼いても、何もなかったかのようにケロンとしているのだから。



 ──先ほど、その姿を龍に変えた龍皇、フロガ。その光景は、こちらの劣勢と確実な死を予感させるものであったが、なぜか。


 体が大きくなり、攻撃も、威力は上がったものの単調化したため、人間の姿の時よりも戦いやすくなっていた。


 人間の姿のフロガは、器用な攻撃で、俺たちに十分な回復と余裕を与えなかった。


 しかし怒ったのか知らないが、龍の姿になってから、威力重視の一撃必殺しかしなくなっていた。


 いや、確かに全てが一撃必殺に変わるなら、それが龍の姿になるメリットだろうけれど、治療に関しては世界の頂点にいるであろうピズマのおかげで、全然脅威になっていない。


 今、ナイフを構え空を見上げる俺と、少し離れたところで寝てるレプトス。そしてデクシアの物理障壁神法で炎以外に対しては安全域にいるピズマと気絶してるアリステラ。


 俺が攻撃を喰らうたびにピズマが治し、俺が攻撃を仕掛け、返り討ちにされピズマが治す。


 何だかよくわからないが、とりあえず、龍皇にも、俺たちにも、相手を倒しうる決定打に欠けた、泥試合になっていた。


 ちなみにレプトスは寝てる間に何回も尻尾に当たったり炎で焼かれたりしていたが、ピズマを信用しきっているのか、一度も起きずに、笑顔で寝ていた。



 フロガが龍の姿になってから、何分経っただろうか。時計がないのでわからないけど、急いで倒さないと、このまま飛んで行ってパトリダを焼き尽くすことだってあり得る。


 とりあえず俺は、こういう空を飛んでたり、体がバカみたいに大きな敵に対する、典型的な戦い方に挑戦しようと考えた。


 再び龍の尻尾が、横薙ぎに地面を削りながら、俺に近づいてくる。早すぎて反応が少し遅れたが、俺は穴という穴から血と内臓を撒き散らしながら、何とかナイフを尻尾に突き刺した。


 もう回復が終わり、五体満足の俺は、そのナイフを握りしめ、そのまま掴まって空まで上がる。


 逆光を浴びながら空を飛ぶ龍の尻尾の先にしがみつく。


 これで、高さという最大のハンデを乗り越えた。が、しかし。振り落とされないことに必死で、ここから攻撃に転じるなんて流石に無理だ。


 歯を食い縛る。龍は回転しながら飛び回る。何度も尻尾を地面に叩きつける。その度に俺がグチャグチャに潰れて、粉々に砕けて、死んで、生きる。


 風圧に潰されそうになりながら、尻尾に突き立てたナイフを抜く。


 四つん這いになってしがみつく。尻尾がブワンブワン振り回される。


 やがて疲れたのか、パタパタ空を浮き始めた龍。尻尾の先にいる俺を見ながら、すごい嫌そうな顔をしている。


 すると。



「──もう、いい。お前らめんどくせぇ」



 龍の口から、フロガの声が聞こえた。


 今までで1番ダルそうな声だった。おそらく、この男が生まれて初めて“諦めた”瞬間だろう。彼は俺らを殺すことを諦めた。


 高いところは苦手なのだが、俺は皆んなを見下ろす。


 レプトスが起きたらしい、あくびをしている。ピズマもデクシアも、不思議そうな顔をしている。まさか諦めるとは予想していなかったのだろう。


 俺は吹き荒れる風の中、声を張る。



「おい!ジジイ!もういいのかよ!負けを認めるのか?」


「この俺が負けるわけがねぇだろうが。……まぁこれじゃあ、勝ったとも言えねぇが。どちらにせよ引き分けだ、光栄に思え」


「えぇ……」



 炎の翼をパタパタさせながら龍はため息まじりにそう言った。


 俺は四つん這いで尻尾をよじ登る。やっとの事で、龍のおでこの上に立った。



「どうだ、今、お前の頭は俺に踏まれてるぜ?悔しくないのか?」


「もうお前らと関わりたくねぇ」


「釣れないこと言うなよ……」



 完全にやる気を無くしたらしい龍皇は、頭の上にのる俺を振り落とそうともしない。



「もうそのまま乗ってろ蟻んこ。そんでそこで見てろ、お前の故郷が燃えて消える様子を、な」


「な!?お前!パトリダを攻撃するつもりか!卑怯だぞ!」


「初めからそのつもりで来てんだよ……」



 ゆっくりと上昇を始める龍。俺は慌てて叫ぶ。



「レプトス!!もう、いいか!!やるぞ!!」


「……おーう、せめてそれっぽくやれよぉー!」



 下からレプトスの声が聞こえた。作戦決行だ。



「何だお前、まだやるつもりかよ。蟻んこは蟻んこらしく巣でも掘ってろよ」


「てか蟻んこじゃねぇよ。……殺されそうになったりしたけど、話してみると意外と楽しかったぜ、フロガさん」


「何だ急に、気持ち悪りぃ」



 俺はナイフを握りしめる。



「──死んでくれ」



 俺は龍の頭の上から、飛び降りる。その途中、龍の下あごにナイフを突き刺しブラ下がる。


 龍皇は無言。ピズマとデクシアは何が起きているのかわかっていない。


 俺はその凶悪なアギトをよじ登り、牙の隙間から口の中へ入る。


 ゴツゴツした舌の上に立つと、その大きな口が開いた。何も言わずに龍は、その喉から炎を噴き出す。俺は龍の口の中で灰にされる。無論、生き残る。


 とりあえず俺の回復だけはするピズマに感謝しつつ。俺はポケットから、レプトスに貰った“ある粉”取り出す。


 唾液が滴る口内。熱気で汗が止まらない中、その粉を亜水晶石のナイフに振りかける。


 そして開いた口から身を乗り出す。



「──俺が今から龍皇を殺すぞ!見てろよピズマぁ!デクシアぁ!」



 そして、“光り輝く”ナイフを、掲げて、今一度口の中に飛び込む。


 強烈な光を放ち続けるナイフを両手で握り、俺は唾液で滑る足場を走り、そして龍の喉奥に肉薄。



「うおおおおらああああああっ!!!」




 ──ナイフを突き刺した。



 頭の中に、声が響く。ぼんやりとした、声が響く。



──『コード02: 削除』



 どこか聞き覚えのある、聞き慣れた声が頭の中に響いた、刹那。



 ──龍の頭が弾け飛ぶ。


 大量の血液と肉片を散らしながら、跡形もなく龍の頭は消滅した。


 血の雨が降る。龍の血が、赤黒い大地を濡らしていく。


 そして足場を無くした俺は、首から上を無くした龍と共に、大空の真ん中から、黒焦げた地面に落ち、やがて叩きつけられる。


 即時回復。


 立ち上がった俺に、レプトスが寄ってくる。



「いやー、よくやった。すごいなー、ランは。龍皇を倒すなんてー、ひゃはは」



 すごい棒読みでレプトスが褒めてくる。


 元々この作戦を考えたのはレプトスだし、何より演出もレプトスだ。


 俺が、龍皇を倒したように見せられると確信したら、レプトスから貰った“ヒカリ粉”という特殊な粉をナイフに振りかけて、ナイフが光を発してめちゃ強そうになったら、龍皇に一撃食らわす。


 同時にレプトスがなんらかの方法で龍皇を殺すことで、ピズマやデクシアから見れば、まるで俺が光る特殊なナイフで、龍皇を一撃で殺したように見える。そういうわけだった。


 シンプルだが、そんな作戦を考える奴がいるとはピズマもコインの双子も思わないだろう。


 しかし俺も驚いてる。まさか本当に倒せるなんて。いや、俺は倒してないんだけどさ。マジでレプトスって何者だ……?


 ──と。色々と考え事をしていると、ピズマが。



「ら、ラン様……今のは、一体……」



 デクシアも若干震えた声で話しかけてくる。



「あの龍皇を……まして、龍の姿と化した龍皇を、たった一撃で……さっきの光るナイフは何なんだ……?」



 俺はよいしょ、と立ち上がり、両肘を脇腹に付け、直角に曲げて、手のひらを上に向け、渾身のドヤ顔で言う。



「まぁなんつーか、必殺技?みたいな?そんなかぁんじぃ?」



 ──この時のピズマとデクシアの驚きと呆れが混ざった顔は、一生忘れないだろう。


 俺はしょうもないセリフをドヤ顔で言い放った羞恥心に顔を朱に染めつつ、汚ったない作り笑顔を披露したのだった。



今話も読みに来てくださり、本当に、本当にありがとうございました。


そういえば、ずっと登場していない、一応第2章のヒロイン枠、アマルティア君ですが、次話ではおそらく登場するはずです!

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