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プロローグ
目の前にあるのは、緑色に覆われた壁。
所々、何かに食い荒らされたような、削れた跡が見て取れる。
走って、走って、走って。
とにかく、身を隠さないと。
足が重い。
手が震える。
ゴーグル越しの景色が、時折、歪んで見えるのは、怖さからくる眩暈だろうか。
まともに走れもしないなんて。
考えは、悪態ばかりをついて。
あと少し、壁の後ろまで行ければ。
と。
チュン。
脇の地面が、撥ね返って、小石が散らばる。
『そこ、見つかってる』
ヘッドセットから、冷静な声。
「わかってるけど、どこに逃げろって」
マイクに向かって叫ぶ。
ズダッ。
背中に衝撃。
「あ……」
息が詰まる。
ズダダダッ。
立て続けに、体が震える。
ゴーグルの端が、グリーンから、レッドへ。
ゲーム・オーバー。
逃げたって、強くなれないのは知っています。
でも、別の可能性を期待するのは、嫌いではありません。




