33話 ワニ狩り
エイプリールフールが俺の誕生日なんですが…俺の存在って嘘なんですかな?
ミトロフ国の門の傍にある湖、オオボエ湖はケロ子を送り届けた湖でもある。
この湖は浅瀬が短く急に深い湖になっている。多くの魚がいて…海水魚や淡水魚も同じ湖で生息している珍しい湖だ。
俺は今湖の端にいる…
「ワニか〜でも、釣れるっしょ!」
とかいう簡単な発想からさっき木を切り倒し、蔓で結び先には昨日食べた戦闘牛の肉を巻いてある。人間がうまかったんだ。ワニも好きかろう。
しばらく、待っているが一向に釣れる気配はない…はぁ…無謀だったのか?…
すると、いきなり釣り糸がピンと張り重さが伝わって来る。きたーー!!
俺は『達人の旋律』で強化した肉体を発揮し引き上げる!
「ケロ〜!!」
……まじかよ…
釣れたのは、ケロ子と同じ髪色のやせ形の男。手には三又の銛を持っている…ケロ子と同じ種族かよ…
バタバタともがくが、一気に肉を飲み込んだのかなかなか抜けず来るしそうだ…俺は力ずくで飲み込んだ肉を引き抜く…
「ガハっ!はぁ…はぁ…助かった…」
「お前はだれだ?」
「はっ!俺はかわず種のリュアカだ!肉がうまそうだったんでな…つい…」
「まあ、いいさ。あ、そうだ。シロコダイルってのを探してんだがこの湖にいるか?」
すると、男は目を輝かせながら俺を見て来る。
なんだ?こいつ…
「お前シロコダイルを倒すのか!そりゃ、助かるぜ!俺も倒すんだ!村に被害を出す前に俺が殺さないとな!シロコダイルは、昼間寝てるからな!ちょっと待ってろ!俺が囮になって…しかし…あいつも泳ぎ早いからな…なにか、大きな音でも出せば出てくるとは思うが…」
腕を組んで考えるリュアカ…見た感じ人間っぽいんだが、大きな瞳に大きな口…カエルだな…
大きな音を出せば出てくるかも…か!
俺はスピーカーを湖の周りに10台ほど並べる。
「な、なんだありゃ!突然出てきたぞ!」
「下がってろよ。いや、耳をふさいどけ」
「はあ?何を言ってんだ?」
「いいから、やっとけって」
リュアカは、釈然としないといった表情で渋々耳をふさぐ…てか、カエルに耳あんの!?
俺は『波消しの音撃』を流す。すると、バンっ!と大きな破裂音がスピーカーから同時に流れる。ラグはないのか?…
すると、地面に大きな波紋ができた。『波消し』ってすごい音量だったからな〜
耳を押さえていたリュアカは、驚いて跳ね上がった。
「こんだけ、でかけりゃあ出てくるだろ?」
「大きすぎだろ…多分出てくるぜ…」
リュアカがそう言うと、銛を構える。すると、湖からブクブクしてきた。しばらくすると、水が盛り上がり真っ白なワニの頭が幾つも出ていた。目だけ器用に湖から出してあたりを確認している。その数…
「ざっと、100ってとこか?」
「こりゃあ…まずいぜ…逃げるぞ!」
リュアカが俺の服を掴んで、逃げようとするが俺は動かない。すると、ワニたちは俺の存在に気づいたのか水中に潜った。
俺はギリギリまで湖による。
「ばかっ!あの数を見たろ!お前の装備じゃ死にに行くのと同じだぞ!?」
リュアカが俺を必死に説得している間に、ワニたちは俺の近くまで来ていた。そして一気に水中からジャンプして俺の体を食いつこうとしてきた。俺は咬みつこうと開かれた口の鼻と顎を両手で掴むと、ワニの勢いを殺さずそのまま引き裂く。引き裂かれたことで、真っ白な体は血で真っ赤になる。噴水のように吹き上がる血。顔についた血をうざそうに軽く服で拭い、ワニを背中に放り投げる。
「リュアカ。数がさっきより多くなったみたいだから、銛を貸してくれないか?」
「え?…あ、ああ…」
俺はリュアカから銛を受け取ると、次々と飛び上がってくるワニを銛で頭を的確に狙い連続で突き刺す。その間に俺の足元を狙ってくるワニは、顔面を踏み潰す。殺したワニは、まるで作業のように次ぐ次と後ろに放り投げる。
最初は、1mほどのワニが多かったが、だんだん大きくなてくる。最後に殺したワニは多分16mほどか?
「す、すげぇ…」
「どうした?…このワニってうまいのか?」
「あ、ああ…うまいぞ!鶏肉みたいな感じだ!」
「そうか!なら、わけてやるよ。」
俺はポケットから小さな四角の鏡を取り出し、ワニを次々に入れていく。
この鏡は、鏡子がくれた鏡で俺専用の鏡の世界で、物の収納や取出ができる。まあ、魔法のカバン?みたいに使っている。
「なんで…ワニが消えていく…」
「まあ、いいだろ。さて、これくらいでいいか!」
仕舞ったワニの数102匹。残ったワニ12匹。合計114匹だ。まあ、どれも音楽を使ったおかげで楽だったな…
「おい!12匹やるから持ってくの手伝ってくれ!」
「あ、!ああ!すまんな…」
釣竿として使っていた木をワニの頭に突き刺し担いで行く。ししゃもを串で刺しているようだな…まあ、大きさが百倍ほどだがな…
残った2匹はリュアカが両手で担いで行く。
しばらく、進んでいると村が見えてきた。まあ、木の間ケロ子を届けた時は中に入れなかったんだが…
俺が入り口で立ち止まっていると、リュアカが急かしてくる
「早く入れよ!」
「あ、ああ。」
中に入ると、リュアカと同じようなかわず種の人たちがいた。皆、俺の姿にビビっているようだ…
リュアカについていくと、広場のような開けたところで、ワニを下ろしたので俺も倣ワニを下ろす。
「みんな聞いてくれ!シロコダイルの数は相当減った!安心してくれ!」
そういうと、人々が集まってきた。みな、下ろしたワニを見ている。
「して…このお方がかなりの数を殺しくれた!」
そう言うと、ワニを見ていた視線が俺に向けられた。俺は軽くお辞儀をする…
すると、集まっていた人混みが左右に分かれ老人が歩いてくる。老人は俺の倒したワニを見ると、ため息をついた
「何が安心じゃ…たったこの数…そして、この大きさ…シロコダイルはこの10倍は居るのだぞ。それに、なんじゃ?此奴は。此奴が倒した?嘘をつけ。」
「おい!村長!そんな言い方はないだろ!」
「うるさいぞ!おい!出て行くのじゃ。二度と、この村に入るな」
まあ、村に入るな。ってのは、わかる。ケロ子があんなことされてたんだ。人間にいい気はしないだろ。だが、俺のことをバカにしたのは許せん…
俺はポケットから鏡を出すと、逆さにひっくり返す。すると、鏡に仕舞っておいたワニが全て流れ出てきた。老人は、目を見開いて固まっている。あー!すっきりした!
ひっくり返したワニを素早く鏡に戻していく。
「さて、そろそろ帰る。ワニは食ってくれ。じゃあな」
「すまない…」
「気にするなって。」
老人が作った人の道を堂々と胸を張って通っていく。まあ、これで、金貨もかなり稼いだし!
「おにーちゃん!」
後ろから衝撃を受けた。みると、満面の笑みのケロ子がのっていた。
「おう、久しぶりだな。元気か?」
「元気だよ!おにーちゃんは元気?」
「ああ。そろそろ、降りろ。俺は帰るから。な?」
そういうと、ケロ子はスルスルと、背中を降りた。俺はケロ子を振り返ってしゃがむ
「いいか?人間は悪いんだぞ?あまり、近くに来ない方がいい。わかったか?」
「おにーちゃんは悪いの?」
「わからん。」
「なら、私もわからない!」
「はははh!ああ、そうだな分からない!いつかわかる日が来るさ!」
「そしたら、教えてね?」
「約束だ。教えるさ。ケロ子」
「うん!それじゃあ…行ってらっしゃい!」
「ああ!いつか、戻ってくるさ」
俺はそう言うと、村から出て行った。ケロ子がずっと手を振ってくれているのを、感じながら。




