前へ目次 次へ PR 73/612 第七十三話 置き時計の電池が切れた。 こういう時に限って新しい電池が見つからない。 抽斗の中がぐちゃぐちゃだ。 「おーい、新しい乾電池はどこにある?」 「抽斗よ」 「それがないんだよ、いっぱいで」 家内がやって来た。 「整理してないから」 「あら、私の所為?」 「そういうわけではないけど 大体……」 と言いかけて思い出した。 この前ペンチを探してひっくり返したのは私だ。 「どうぞ」 と冷たく渡されたから、両手で頭の上に捧げて礼を言った。