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独り立ち

「ねえ、村井……そろそろ独り立ちしよっか」

こじんまりした純喫茶に岡田と村井は居た。

岡田は珈琲を一口喉に通すと一呼吸を置いて、落ち着いた、子供に話すように、諭すように話し方で村井に話し掛ける。

「え……急にどうしたんですか……まあ、確かに私ってだいぶ甘やかして頂いてますけど、もう少し……岡田さんと同行させて頂きたいです……」

村井は岡田の突然の提案に驚きの表情を見せれば、口をもごもごさせて自身の気持ちを告げる。

「うふふ……うん、そう言って貰えると嬉しいなあ。でもさ、本来だったら同行なんて有り得ないんだよ。この仕事はさ。……まあ、何だろうね、村井を見てるとほっとけないって言うかさ、一緒に居たいなって思うんだよね」

岡田は優しさのある、お母さんが子供に見せる笑みを浮かべる。

「でしたら……もう少しだけ!」

「駄目!もう駄目なの!」

先程の落ち着いた話し方から途端に村井の言葉を遮って、強く、突き放すように言葉を発する。

「良い?村井……このままだと村井は成長しないし、村井の為にならないの。村井自身もそろそろ独り立ちしないとって思ってるんでしょ。本当のところは」

再び諭すような話し方に戻る。

「実は……そうなんです。このままじゃ駄目だって私も思います。でも、岡田さんと一緒にいる時間が好きで、好きでしょうがないんです」

村井が俯いてしまう。

「ありがとう……でもさ、同行はしないけど、一緒に休日とか合わせて会おうよ。仕事終わりでも良いし、ね」

「はい、わかりました……私、岡田さんみたいに立派になります!」

村井は顔を上げて決意すると岡田は頭を撫でる。

「うん、偉いぞ……あ、其れと、さ。理由は落ち着いた時にまた話すけど、深志さん、否、議員の人と会うのは辞めなさい」



岡田と村井はお店を出て解散する。

岡田は村井を駅まで送った後、ごめんね、と村井に聞こえないように呟いた。




「ねえ、未来。吉住さんの動きが怪しいと思うんだよね。あの2人に依頼してくれない?……あの人の周りの動きを、さ」

深志は深澤に話し掛ける。

「嗚呼、その件だけど、もう岡田さんとやり取りしているわよ。ごめんなさい、伝えようと思ってはいたんだけど、大詰めの話が出てきたらって思って。ほら、貴方が直接やり取りしていると別のライターにそろそろ取られそうだし」

「おー、流石は未来さん、仕事出来るねえ。助かるよ」

「私だって気付くわよ。あんなに視線とか向けられたら、ね。それに岡田さん達に接触しそうだなって言う女の勘」

「なるほど……それだとスキャンダルを作り出そうとしても可笑しくはないもんな」

「そうよ……あ、因みに岡田さんの読みだと吉住さんの秘書の娘が入院しているみたいなのよ。凄く難病でアメリカでドナー見つけて手術しないといけないレベルの。それでお金に困っているらしいわよ」

「そっか……確かにそう言うレベルって3億とかするもんなあ。そういうのも日本で出来れば、少しは金額的に楽になるのにな」

「そうね……私もそう思う。そうなれば良いな」

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