第10章 3話
「どうした!どうした!」
有利だと知ったとたんに、調子に乗って剣を振り回すヘレクロウス。
くっ・・・。
確かに・・・。
かなり不利。
まずこっちに武器が無いのはいつもの事なんだけど・・・。
相手が鎧に身を包んでるのは初めて。
しかも・・・。
かなり身軽に動いている。
普通、ああいう重たそうな鎧を付けてると動きが鈍るはずなんだけど・・・。
彼にはそれがない。
弱点らしき部分がまるっきり分からない・・・。
何か無いのかしら・・・。
いつも私の戦い方はまず弱点を攻める所から始まる。
なにせ・・・思いっきりこっちが不利だから。
まともな戦い方してたんじゃ、こっちが死ぬだけだもの。
何か・・・何か弱点が・・・。
「ちょこまかと・・・、さっさとやられろ!!」
衝撃が伝わるほどの勢いで剣を振り下ろす。
・・・かなり無茶を言ってるわね。
こっちはそう簡単にやられては困るってーのに。
「『粘着地面』!」
え・・・?
突然・・・私の立ってる地面の部分だけ柔らかくなる。
な・・・なんで・・・?
「魔法をかけてもらった。これで終わりだ」
そ・・・そんな!!
このままじゃまずい!!
ヘレクロウスがゆっくりと近づいて来る・・・!
どうしよう・・・。
逃げようにも、体の動きが遅い・・・。
「これで・・・終わりだ」
まだ!!
終わりたくない!!
いやーーー!!
私はまだここで死ぬ訳にはいかないの!!
ガキィン!
・・・え?
何・・・?
この音・・・。
恐る恐る目を開けると・・・。
そこには剣があった。
何・・・これ?
見たことの無い剣。
それが・・・私の手に・・・。
もしかして・・・。
これが・・・妖魔キラー!?