第9章 10話
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。
「大丈夫?ヨーコ」
ウルちゃんが心配してくる。
さすがに・・・彼女は身軽だからこういうのは慣れてるかもしれないけど・・・。
私はハッキリ言ってきつい・・・。
息が切れて来る・・・。
「大丈夫です?」
フェアも心配して来る。
「何の・・・修行もしてない普通の女の子だった私が・・・そうそう出来ると思わないでよ」
疲れて足が止まる。
ただ走るぐらいならいいんだけど・・・。
建物の屋根から屋根へと飛ぶ行為がきつい・・・。
何せ落ちたらかなりの大怪我をするのは間違いない高さだし・・・。
「・・・まずい!奴らも屋根を伝って来た!」
ウルちゃんの言葉で後ろを振り向くと・・・。
エルフ達も屋根を登って追い掛けて来ている。
でも・・・。
足が動かない・・・。
走るのは出来るけど・・・。
屋根から屋根へと飛ぶのは・・・無理っぽいかも。
かと言って下は高いし、降りられたとしてもエルフで埋め尽くされている。
街中のエルフを敵に回してしまってるらしいわね。
まずいわ・・・。
「仕方ない・・・」
ウルちゃんがそう言うと、狼の形態に変わる。
「あたいに乗りな!」
「え?大丈夫なの?」
「それぐらい平気さ!」
・・・よし!
ここはウルちゃんを信用しましょう。
私はウルちゃんの背中に乗る。
「しっかり捕まってな!」
すると!!
もの凄い勢いで走り出す。
凄い・・・。
そのまま・・・華麗に飛ぶ。
流石に・・・彼女は身のこなしが軽いわ。
スピードはユニコの方が速いけど・・・。
こういう屋根から屋根へと飛び回るという事は彼女の方が得意なのね。