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―― だいぶ場所を、とるな
ジルベールからもらったウサギのぬいぐるみを、眺めながら溜息をつく。
乗せるための台は結局、背もたれと肘掛けのある椅子の形にした。大きすぎるせいでその形にしないと、バランスが悪くて落ちそうになるんだ。
―― 可愛いんだけどな……
なにせでかい。あげくに重い。せめて夢に出てきたウサギくらいの大きさなら、困らなかっただろうに。
「……あれ」
夢の中で跳ねるウサギを、思い出しているとあることに気づいた。
―― あの人、髪が白かったな
子供の傍に線の細い人がいた。一つに結ばれた長い髪が、白かったことを思い出す。顔はよく見えないから、目の色は分からない。けどもし緑ならあの人は、光の術師ってことになる。
―― なんで俺の夢に、光の術師が出てくるんだ?
目の色が見えなかったから、断定はできない。なのに何故だが、あの人は光の術師であるきがした。
―― そもそも、あれは夢なのか?
寝ていたときに見ていたのだから、夢なのだとは思う。けれど前に何度か見たバグに出てきた人達と、同じな気がした。その子の視点で見てるからまったく容姿の分からない子供、その子の親らしき男の人、あとは線の細い男の人
この三人は前にもバグが、おきたときに見たことがある。なら今回のも夢じゃなくて、バグなんじゃないだろうか。あと今回はいなかったけれど、優しい声をした女の人がいた。
全部が全部同じではないけれど、共通点もある。ということは少なくともこのバグに関しては、誰か一人に関連するものかもしれない。
―― まさか、先生?
光の術師と考えて、思いつくのが先生しかいない。けど髪の白いあの人は、先生ではない。顔は見えないけれど、声が違う。あと同じく細いけど、背の高さが違う気がした。子供目線で見てるから、違うように感じるだけかもしれないが。
―― もしかして
子供が先生だったりしないだろうか。あれが先生の過去だったり記憶だったりして、それがバグのせいで俺が見ているとしたら―― ばれたら、とんでもないことになりかねない。
話さなければバレる可能性なんてないのだが、想像して鳥肌が立った。話してもいないことを、知られていると先生が知ったらどう思うか。
―― 大丈夫だ、ばれなければ問題はない
元々誰かに話すつもりもない。それに先生と決まったわけじゃない。とても少ないとは書いてあったけれど、光の術師は他にもいるはずだ。
今のところ分かっているのは光の術師らしき人と、関わりがあった誰かのバグということだけだ。
―― あっ
あともう一つあった。子供の親らしき男の人は水の適性を持ってる。氷のウサギを作ったのだから、そこは確定でいいはずだ。
けどそれだけだと誰かは、分からない。適性が必ず親と同じなら、誰から絞れるのだがあいにくとそうじゃない。
―― 考えてもしょうがないか
もし誰であるか分かっても、モブの俺にはどうしようもない。話されていないことを勝手に知ってしまって、相手に罪悪感は持つだろうけれど。
『ウサギしゃん!』
元気の良い子供の声を、思い出す。
知られたくない。もし俺だったら子供の頃だからといってウサギを、ウサギしゃんと呼んでいたことを第三者に知られたくない。
―― 寝る準備をするか
眠気と共に欠伸が出る。
ぬいぐるみに合う台を作るのに、試行錯誤していたせいでだいぶ遅い時間になってしまった。 明日も学園がある日だから、もうそろそろ寝た方が良い。講義の時に寝てしまって、その理由がぬいぐるみを載せる台を作っていたからなんて言えないしな。
「ふあっ……」
欠伸と共に間抜けな声が出る。今すぐにベッドにダイブしたくなったが、準備をしないと朝に困ることになる。首を振って眠気をごましてから、明日の為に手を動かした。




