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107・真なる竜の執念

 背中をごっそり抉り飛ばされている炎天君が、まさか起き上がるとは、この場の誰も思っていなかった。

 タイクーンのように死んだふりをしていたわけではないだろう。

 執念。

 そうしか呼べない、強烈な感情のみで起き上がって来たのだ。


「オアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 炎天君が最後の力を振り絞り、噛みついたままマグマを吐いた!

 マグマが弾け飛び、周囲に溶岩弾として降り注ぐ。


「ぐがああああああああああああああああああああああ!?

 この、死にぞこないがああああああああ!!!」


 タイクーンもその威力の凄まじさに、体をよじる。

 だが、炎天君は離さない。


「お、お前は、おいらと、死ぬんだ……う、裏切り者……!!!」

「離せぇーーーーーーーー!!!」


 タイクーンが爪で滅多打ちにするが、そもそも炎天君は致命傷なのだ。

 その程度の攻撃、もはや痛みも感じていまい。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 どこからそんな力が湧いてくるのか。

 炎天君が突進。

 そのまま、先ほど白竜帝が這い上がって来た穴に向かって行く。


「何をしている!

 こいつを止めなさい!!」


 泡を食ったタイクーンが爬虫類人たちに指令を飛ばす。


「は、はっ!」


 爬虫類人たちが槍を取り出し、炎天君に向かって行く。

 結局、親玉が変わっただけで使い捨てられていることに、彼らは気づいているのだろうか。

 だが、そんな感傷に浸っている場合ではない。

 背中からクロスボウを取り出し、爬虫類人たちを射抜いていく。


「ぐあっ!?」

「ぎゃっ!?」

「舐めるなよ……ここでなら、邪神の一味も倒せるんだ!!」


 以前のバトラーとの会話で確信した。

 この迷宮は、異界律を抑え込むためのもの。

 ここでなら、異界汚染された者も、通常の手段でも倒せるのだ!

 実際に、キメラを始めとする汚染モンスターたちを倒せたように!

 そして、この部屋は回復の力が最も強いのだ!!


「わたくしも行きますわよ! レッツゴー・ゴーレム部隊!」


 ゴーレム部隊が進撃し、爬虫類人たちに突っ込んで行く。

 薙ぎ倒されて吹っ飛ぶ爬虫類人たち。

 その間にもタイクーンは穴に押し込まれていく。


「クッソオオオ!! お前も無事で済まないんだぞ!!」

「言ったろ……お前はおいらと、死ぬんだよ!!」


 炎天君はタイクーンごと穴に飛び込んだ!

 タイクーンが巨体過ぎて下半身だけがはまり込む。

 そこに押しつぶされるように巻き込まれている炎天君が叫んだ。


「あの鍾乳石を、おいらごとぶちこめーーーーーー!!!」

「!!」


 見て、いたのか。

 おそらくまともに意識を保つのすら難しい致命傷を受けてなお、彼は戦おうとしていたのだ。


「おいらたちに知恵で勝ったお前らなら、やれるだろう……!!

 やれーーーーーーーーーーーーー!!!」

「わかり……ましたわ!!」


 その意気に応えないジゼロジゼロではない。


「【壁ドリル】!!!!」


 床にタッチして鍾乳石を走らせるように生成すると同時に、その床を押し上げて天井に触れ、天井からも鍾乳石を走らせる。

 床の鍾乳石が穴に触れた瞬間、穴の中で鍾乳石が一斉に発生した。


「あぎゃああああああああああああ!!」


「【鍾乳洞ドリル】!!!!」


 穴の真上に生成されたドリルが、一気に降り注ぐ!!

 それは、敵味方を識別することなど出来ない。

 タイクーンも炎天君も、どんどん貫かれていく。


「ぐがあああああああああああああ……!!!」

「へっ、へへっ……ざまあ……みろ……!!」


 降り注ぐドリルの雨の中、炎天君は笑い――

 今度こそ絶命した。

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