1・外れスキルはもらえない
「外れスキルもらえないんですか!? やだーーー!!」
スキル神殿に俺の悲鳴が響き渡った。
大神官さまも目を丸くしているし、周囲の人たちが一斉にこちらを見てくる。
「ちょっと待ってください。授けられるスキルには、外れスキルはないのですか? それは精神論的な意味ではなく? どんなスキルも使いようによっては、的な?」
「……授けられるのは属性スキルじゃよ? 一般的な水・炎・風ですら便利極まりない、
Dスキルに相応しいものじゃ」
Dスキル。その名の通り、神より授けられるスキル。
15歳になる年、新年最初の満月の日に、スキル神殿によって授かるもの。
もちろん、俺は外れスキルをもらう気まんまんでこの日を待ってきた。
だって、俺は異世界転生してきたんだから。
そりゃあ、外れスキルを授かるでしょうよ。
そのつもりで、追放されるためのパーティも予約したんだから。
超有望株の少年少女たちのパーティに入るために、生前には全く無かったコミュ力をひねり出して、自分をねじ込んだんだから。
だというのに。
「これじゃ追放されないじゃないか……」
「おぬしは何を言っとるんじゃ」
「じゃあ、帰りますね……」
「待て待て待て! どこへ行くんじゃ!?」
そんなことを言われても。
「外れスキルが貰えないなら用はないので……」
俺の言葉に、大神官さまは目を白黒させていたが、何か思いついたように目を見開いた。昭和のアニメなら、頭上に裸電球が出てた。
「……そうか、敢えて艱難辛苦を望むということか……」
俺はただ、外れスキルを引いて追放されるけど、実は大当たりスキルで、そこから人生を謳歌することしか考えていなかった。
だから、全然違う。
「そこまでの覚悟ならば、あそこが良いかもしれんの……」
「え?」
今なんと?
もしかして――
「大いなる苦労の果て、実りなきスキルを得る……そのような神殿が存在するのじゃ」
「あるんじゃん!!」
「甘く考えておるなら大間違いじゃぞ。その神殿は大迷宮の奥深くに存在する。そこに辿り着くには、命がいくつあっても足らぬような場所じゃ。にも拘わらず、本当に無意味なスキルしか得られぬのじゃぞ」
「そういうのを求めてました」
「やはりわかっておらぬ。おぬしは知らんのじゃ。その神殿がどう呼ばれているか、教えてやろう」
「【神の嫌がらせ】じゃ」
かくして、俺は神殿でスキルを授かることなく、【神の嫌がらせ】へ旅立つことにしたのだった。




