相違
今回も読んでいただきありがとうございます!
「このまま施行まで待てって言うかよ……。どれだけ残酷なんだ……」
羽崎は悔しそうな表情を浮かべ右の拳でベンチを叩く。
その音は夕刻のため、静かな公園に響いた。
「やっぱり、何かしなくちゃ……」
「は?一体何を言ってるんだよ」
「止めさせなくちゃ……」
私は、止められないと分かっていた。
分かっていたけど、諦めてただ待ち続ける残酷な日々を過ごしたいとは思わない。
今すぐにでも止めさせなくてはという気持ちが、自分を突き動かす。
「止めさせるってどうやって?」
「私たちを誰だと思ってるのよ?」
私と羽崎は選ばれし者。
階級の最上位にいる二人が共に戦えば、勝てるかもしれない。
「私たちって俺もかよ。言っておくが俺はごめんだ」
羽崎が本当に嫌そうに断ってきたことに私は腹を立てた。
「な、何でよ。あんた、このまま見過ごせないって言ったじゃん!」
「あぁ、俺は確かにそう言ったよ。だけど仮に俺ら二人で止めようとするって言っても何が出来るんだよ」
「っ……」
私は分かっていた……。
どうしようもないことくらいは分かっていた。
勝てるかもしれないなんて、本心のどこでも思っていないのだ。
「国会を壊すのか?」
「……」
だけど、人々が傷つく姿を見たくない。
そういう気持ちが私を動かしいていた。
「それとも首相を潰すのか?お前、そういうことしても国家転覆罪で捕まるぞ」
「それでも……。そうしないと止められない」
私は歯軋りをしながらも言葉を出す。
仮に自分が犠牲になろうとも、それで人々が助かるのであれば喜んで犠牲になる。
私は、傍から見れば馬鹿だと思われる、そんな変な性格の持ち主なのだ。
「それに、そもそもそんなガードが甘いわけないだろ?気付かれて軍隊を敵に回すのがオチだろ」
羽崎の言う通り、そもそも出来やしないのだ。
私は国の軍隊の力を痛いほど知っている。
最高階級の二人してかかっても、全く歯が立たないほど国の軍隊は強力だ。
「それでも、それでも!……やらないと、何も始まらない……」
私は、無謀だと分かっていてもそう口に出していた。
ほんの一欠片でも可能性があれば、それに懸ける。
なぜなら、諦めたらそれでその一欠片の可能性すら無くなってしまうのだから。
「俺は、反対派だ。止めたい。でも止めるなら始まってからにした方がいい。制度が始まって、それが欠陥だらけで、停止に追い込む。それが一番いいんだと思う」
羽崎は小さな声でそう言う。
冷静な羽崎の判断は、間違いなく正しい。
だけど、自分の意見を通そうとするワガママな私はそれでも反論を続ける。
「そんな、そんな呑気なこと言ってられない!始まってしまったら、止められるまでに大勢の人たちが傷つく。そんなの見てられない!」
「じゃあ……。ここは実力主義らしく、勝負で決めないか?」
「え?」
羽崎が突然、そう言ってきたことに私は意表を突かれた。
「勝った方の意見を通す。それでいいな?」
羽崎は、さらに冷静になりそう言った。
恐らくこのまま口論していても埒が明かないと判断したのだろう。
私もその冷静な彼を見て、一気に冷静になった。
「……分かったわ」
自分の意見を通すにはこれしかない。
そう思い、私はその勝負を受けることした。
「ただ、今の時間は夕方だ。それにここじゃ、周りに被害が及ぶ。場所を変えないか?」
「それもそうね……。いい場所知ってるわ。とりあえず行くわよ」
私は羽崎を連れて、近くのある場所へと向かった。
今回は短いのですが、次回は待ちに待った戦闘シーンです。
本日中に出しますのでお楽しみに!
気に入った方はブックマーク登録よろしくお願いします!
Twitterやっています。
そちらの方もよろしくお願いします!




