いつものごとく
異世界人は糞だ。俺は本当は召喚士じゃなくて魔法使いになりたかった。この世界ではレベルアップできるジョブは生まれながら決まっている。俺の適正は召喚士だけだった。召喚士とは、神に祈って異世界人を召喚するだけの職業だ。適性を持ってる奴はあまりいない。だが、適正があっても無くても変わらない唯一のジョブである。しかも神に祈るとはいってもただ掌を合わせるだけで仕事ができる。仕事中に今日の夕飯何にしようとか考えててもできる。クソ楽だが自分が召喚した異世界人が世界の敵になったり、死んだりすることに耐えられず辞めていく人間が多いので意外と数は少ない。そして俺に限らず召喚士が召喚できる異世界人は引きこもりやDQN、ぶりっ子ビッチと清純派系ビッチくらいしか最強チートを持って召喚されない。しかも異世界に召喚されるだとか転生だとかそんな妄想しかしてない奴らばかりだ。そんなカスみたいな奴らが何の努力もせず世界最強なんておかしいじゃないか。普通の人間も召喚できるが、そういう人間はこの世界の人間と同じくらいの能力しかもっていない。そしてこれは体感だが、性格が終わってる奴ほど強い。俺が知ってる異世界人には自分の半径1キロの中にいる全ての物や時間を止めることができる能力を使って盗み、暴力、家をバラバラにするなどありとあらゆる犯罪をした挙句街の中にゴブリンを入れ、他の異世界人に殺された奴がいた。そもそも急に召喚されたら家族とか友達とかの心配すんじゃねえの普通。なんで最強のチート持ちに限って初異世界一言目が「キターーーッ」なんだよ。友達とかいねえのか。俺にはいなかったな…。いや別にいなくても寂しかったりしないし。そうして現実逃避を終えるとともに教会へ着いた。なんでも、俺が呼んだ異世界人がドラゴンに殺されたらしい。なんで俺が呼ばれたって?召喚士は召喚した異世界人が死んだとき神に祈れば十分の一くらいの確率で復活させられるからだ。十分の一くらいとか曖昧すぎる確率だが、そういうものだと教えられた。神は人の命をナメている。そうして俺は棺桶の前に立った。中を覗いてみると、胸元に引っかかれたような大きな傷があった。恐らくこれが致命傷となったのだろう。召喚されてすぐに教会を出ていく最強チート持ち達と違ってこの青年はこの世界に来て1時間は泣いていたから同情したものだ。殺されたんだから楽にさせてやれよと思うが、やらなければ金が貰えない。そうして俺は手を合わせ、復活の儀式をはじめた。復活お祈りをする時は手を合わせて祈ってる感出しとけば勝手に始まる。この世界の神は命を馬鹿にしている。そしてこのことを笑いながら俺に教えた先輩召喚士は多分人の心がない。そんなこんなで復活お祈りは失敗した。いつものことだ。この仕事をしていると主に罪悪感が薄れていく。すると扉の方からドン!と音がした。恐らくこの青年のパーティーメンバーだったのだろう。二十代くらいの見た目の金髪ロングの女と茶髪ショートの女が走って駆け寄ってきた。失敗したことを伝えると、彼女達は泣き崩れ、暫く教会には泣き声だけしか響かなかった。そうして今日の分の仕事を終えた俺は帰路についた。それにしても金髪の方の子、めっちゃデカかったな。何とは言わんが。もう日が暮れるというのに街は盛り上がりを見せている。何も知らなかったらよかったが、この街の大半の連中がクスリをヤッている。薬中の異世界人が何でも生み出せる能力を使ってコカイン、大麻、モルヒネ、シンナー、MDMAその他諸々の薬物を数えられないほど生み出し、世界の三分の一は薬漬けになってしまったからだ。マジで終わってる。あとゾンビタバコもいる。異世界人を召喚するまではクスリなんてなかったのに。薬中にクスリ持ってないか聞かれるのももう日常だ。そうして家についた。一人暮らしなのでドアを開けてもおかえりなさい!なんて声は無い。だがマンションというものは素晴らしい。壁がしっかりしている。前の家は異世界人が造ったものではないのでボロボロだった。これに関しては異世界人に感謝する他ない。ガス電気水道が神すぎる。さあカレーを食べよう。作り置きしててよかった。カツカツとスプーンの音がする。無言でただ食べる。食べ終わって皿を洗い終え、そろそろ寝る時間になった。1日が早すぎてつまらなく感じる。小学生の頃はこんなことなかったのに。だが今ではこれが日常だ。いつものごとく、そんなことを考えながら眠りについた。




