プロローグ1 新しい賢者
セントラル諸島に浮かぶ島、ザフトユーク。そこにある白狐族の村ルナールの東に広がる大森林リエースには然精族と呼ばれる種族が住む、レース・アルカーナと言う集落があった。南側には豪邸があること以外、外から見る分には普通の集落だ。
「そなたに賢者の紋章が現れたという事は、暗黒神の復活が近いという事。今こそ集落の中心にある祠に入り、試練をこなすのだ。」
とエルフの女王、カルミアが言った。そして女王の正面で跪いている金髪碧眼の少年がいた。
「承知しました。必ずや試練を成功させて参ります。」
「頼んだぞ、アルス」
そう言われるとアルスは女王の間を後にした。自宅に戻ったアルスは、疲れたように準備をしながら愚痴を零していた。
「ん〜っはぁ〜…あの空気重いんだよなぁ。いつになってもなれないわアレ。はぁ。」
しばらくして祠に行く準備が出来ると、アルスは自宅の裏にある墓石に祈りを捧げ、祠へ向かった。祠の周りは厳重に囲われており、兵士が2人入口に居た。
「あなたがアルスさんですね。女王から話は伺っております。」
「どうやら賢者の紋章が現れたとか。まだ子供の君が、試練なんて出来るんですか?」
兵士が煽るように言った。年齢が15歳のアルスは、冷静に返した。
「そうですね。頑張ってきます。」
そして祠の入口に立った。すると右眼にある賢者の紋章が光り、祠内に転移した。祠内に入ったアルスはどこまでも広がっているように見える空間を進んだ。すると突然声が聞こえて来た。
『私はこの試練を創造したストレリチア・レーヴ。まずは今から与える試練を突破してみせよ。』
「初代女王様!?」
その声と名前に驚いたが、続いて現れたドラゴンにも少し驚いた。
「へー、オーロドラゴンね。本の中だけの存在だと思ってた。」
金色の羽が特徴的なドラゴンだ。アルスはまず手始めに魔法を唱えた。
「アイシクルランス」
オーロドラゴンに氷の槍が放たれたが、その体にたどり着く前に魔法が掻き消されてしまった。
「初級魔法じゃ駄目か…じゃあこれならどうかな。」
そう言うとアルスは2つの魔法を使った、別の魔法を放った。
「アイシクルインパルス」
氷柱に電気が纏った魔法は、オーロドラゴンの翼を貫通し、ダメージを与えた。オーロドラゴンは悲鳴をあげたが、同時に怒り電気ブレスを放ってきた。
「ライトプロテクト、エクスプロードスノー」
電気ブレスを光の盾で守り、爆発する雪をオーロドラゴンに降らした。オーロドラゴンの体に触れた雪が次々に爆発していき、とうとうオーロドラゴンは力尽きてしまった。
「ふぅ、やっと倒せたか。…ん?これは…」
そう言うとオーロドラゴンがいた場所に落ちていた鍵を手に入れると扉をあけ、奥の部屋にはいった。すると光る宝玉と本、何か記された石版が置いてあった。そこには、
『この試練を越えしものよ。この宝玉と魔導書を手にし、暗黒神を討伐せよ。』
と書いてあった。
「この宝玉と…魔導書ってこれか。なんか普通の本みたいだけどな」
と言いつつ、宝玉と魔導書を持ち祠を出ていった。そしてアルスは女王の間へ向かった。
アルスは女王へ宝玉と魔導書を入手した事を伝えると、自宅へと戻った。
「お、兄さんおかえり〜」
アルスと同じく金髪碧眼の少年が料理を作りながらいった。
「ユミト帰ってきてたのか。ただいま〜」
軽くそう言うと、荷物を置き椅子に座った。
「そうそう、試練終わって母さんに会ってきたんだろ、なんて言われたんだ?」
ユミトはアルスに尋ねた。
「女王様だろ、まだ全然なれないけどさ。まぁ精霊の泉に行けってさ、そうすればこの本の事も、宝玉の事も分かるってさ。」
兄弟揃ってやれやれというような感じの表情をした。
「アルス兄はよく行くからもう慣れたと思ってたよ。僕は女王としての母さんとはあまり合わないからね。」
ユミトが料理を作り終え、話しながら食べ進めていった。そして夜、アルスは翌日の準備をし寝ようと自室で横になっていると、と大声で叫びながら女性が部屋に入ってきて、アルスに抱きついた。
「アルス〜!!!」
「母さん!?珍しいね、帰ってくるなんて」
「だって明日には遠く行っちゃうじゃん。今度いつ会えるか分からないし、今の内にこうしておかないとね。どう?今日はお母さんと寝る?」
母親であるカルミアがアルスに頬ずりしながら言うと、アルスはは少し照れくさそうにしながらも、ユミトを気にかけた。
「いや、遠慮しとくよ。まぁでもそうだね、明日の朝には出るし、家で会えて良かったよ。ユミトにも声かけに行ってあげなよ。」
「そう、残念ね。明日から頑張ってね!無事に帰ってくるのよ。ユミトと待ってるわ〜」
と言うとカルミアはアルスの部屋から出ていった。アルスはその後すぐに眠りにつき、翌日の朝アルスは家を後にし、泉に向かった。アルスはレースアルカーナから南にある泉へ着いた。そこには神天像と泉、小屋があり、その小屋へと入っていった。
「おじいちゃん久しぶり〜」
と挨拶した先には白髪の老人が居た。その老人は挨拶されたことに気づくと、
「おぉアルスか、久々じゃな。して、何か用があって来たのじゃな。」
とアルスに言った。
「この本と宝玉について知りたいんだけど、おじいちゃんなら何か知ってるかなって。僕もレースアルカーナにある書物はあらかた読んだんだけど、分からなかったんだよね。」
そう言うと本と宝玉を取りだし祖父に見せた。祖父はその本と宝玉を持ち泉へと寄って行くと、
「この本は多分ここの精霊様の物だろう。」
と言って、本を泉へと投げ入れた。すると泉の中から茶髪でエメラルドグリーンの瞳の精霊と思わしき者がでてきた。
「この本はあなたの?何か用があるの?」
「実はレースアルカーナにある祠でこの本を見つけたんだけど、何か知りませんか?」
とアルスが聞くと精霊は、
「これは私が昔創った本で、実はある仕掛けがしてあるの・・・ってあなた賢者!?」
と賢者の紋章を見た精霊は驚いていた。精霊は本を返し、
「私はレータ・ツヴィエート。かつて賢者達と共に生きた光の精霊です。あなたがその紋章を持ってるなら、暗黒神と闘う使命を与えられた者。それなら私はあなたについてかせてもらうね。」
と言った。アルスもアルスの祖父も驚いていたが、やがて冷静さを取り戻した。アルスはその本には剣が入っている事、自分と同じ紋章を持つ者が他にもいることをレータから聞いた。
「なるほどね。じゃあ仲間の皆さん一緒に暗黒神を討にいこう。」
アルスが仲間と共に暗黒神を討つ旅に出る為に気合いを入れた。
「……そうか、気をつけるのだぞ。」
祖父が心配そうに言った。アルスは腰辺りに本を掛けると、レータはその中に入っていった。アルスは祖父に別れを告げると、北西にあるプライリーへと向かった。




