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episode40 それはきっと死を意味する

変なクラムボン「あれあれ?戸籍も無いってことは本格的にまずいんじゃ無いのか?優しそうなお姉さんも怒ってるしダメなんじゃ無いのか?」


右下謎クラムボン「世界から忘れられたせいでそれなりの生活を送れば奥さんと子供二人程度を養えるくらいまで育っていた銀行口座がなくなって貯金も辻褄合わせで知らない人に配られてゲームオーバーだね」


変なクラムボン「許さん!必死に汗水垂らして稼いだお金がぐーたら寝て時々新聞で「へぇー、なんか戦ってて草、トイレいこ」みたいな生活を送ってる変なおっさんに吸い取られるなんて許さん!」


右下謎クラムボン「と見せかけて変なおっさんが嫌いな運命さんが気を利かして戦争で親を亡くした子供たちに行き渡るようにしてくれたね」


変なエルフ「ならいいか」

「ほら!とっとこ歩け!」


背中を銃で叩かれる

言われるがままに歩いていくとふと視界の端に何かが見えた、場違いなシルクハットを被った少女、寝ていたフェリシアが起きたらしい


「フェリシア!僕のことを覚えているか!」


「––ひッ!?……あっはは…、ごめんね、誰だろうか」


わかっていたがダメだった、一瞬見せた恐怖に染まった顔を見て自己嫌悪に陥る

変なことをしたから今度は顔を殴られた、すごく痛い、涙が出そうだ


「ほら、あんまり暴れたら新兵に殺しを慣れさせるために使うぞ」


「……」  


地下牢に投げ入れられた、掃除なんてろくにされていないのか地面が湿っているしなぜか水たまりがある


十分、いや二時間か、地面を延々と眺めていると扉が開いた音がした

足音が地下牢に響き、音が一番大きくなった時に止まった、顔を挙げるとユリーシュ副官がいた、なぜと一瞬疑問にも思ったがラングレイの副官、逆にここにいない方がおかしい人だ


「シャーレ・ラングレイ、あなたのことを調べましたが軍のデータには存在しませんでした、戸籍の方も確認しましたが同様です、それでもあなたは発言を撤回しませんか?」


「……いや、最後に一つ聞かせてほしい、フェリシア・アンダーソンが魔力災害で遠距離転移していたはずだ、まさか一人で帰ってきたのか?」


「……はぁ、私の前でラングレイ性を名乗るなんていう愚行、今すぐにでもその頭に風穴開けたいですが一応答えましょう、同じく転移していたスバル・レッドソードが保護してモタニアまで護衛しました、それが何か?」


「……証拠はある?」


呆れたため息が響く

怒りをおさめるために鉄格子を殴ったのか蹴ったのか、大きな音が響いた


「……通信記録が存在します、転移直後のラスティアとの通信、その後ロッド大佐に七賢者第三位との接敵の報告が、聞きますか?」


「……いや、どうにも本当らしい」


「そうですか、あなたの処遇はまだですが軍歴を騙る上に勇敢に戦った兵への侮辱にとれる言動、決して軽い罪にはならないでしょう」


イラついたのか入ってきた時よりも大きな足音が離れていき、勢いよく扉が閉まった


誰が言ったかわからないが“人は誰かから忘れられた時に死ぬ”って言葉を考えた人は本当に天才だ、なんせ僕は今死ぬよりも不愉快な状況になっているのだから


「ははは!あの時か!?恨みの力はすごいな!こんなことになるなんて…なんてこった……」


頭を何度も壁に打ち付けて笑い声を上げる

何度も、何度も、何度も、痛みで頭が回らないように


「なんでなんだよ…私はまた全てを失うのか?」


別に何か大きなものを望んだことはない

大金も、地位も何も望んだことがない、ただ人並みの幸せを望んだだけだ

なのに家族、友人、地位の全てを失って、何もかも失ったと思ったところをラングレイに保護されて、少しずつだけど人間関係を構築して、ようやくラングレイの愛情に気づいたけど遅かって、そしてまた全てを失った


何を間違えたのだろうか、私はいろんなことを頑張ったはずだ

これだけ頑張ったのだから人並みの幸せくらい望んでもバチは当たらないだろ、好きなものを時々食べて、休日はいつもより少し遅くまで寝て、学校の友人と何気ない話で盛り上がって好きな人を作る、そんな何気ない幸せも望んだらダメだったのか?


「……私は二百人くらいは救ったぞ、……ラングレイの依頼でいろんなことをしてたし戦争でも頑張った、多分三……四百人は救った、私がいなかったら七賢者だって一人も倒せてないし……エリーシェは負けてたかもしれないんだ…だから、だからおかしいだろうが…」


ふと服の中にしまっていた紫色の結晶のネックレスが目に入った、有翼種の子供からもらったものだ、それをネックレスに加工した

それを見てようやく腑に落ちた、確かあの時も何か言葉を聞いたはずだ


「……!?そういうことか……そうだな、理解してしまったよ、確かに表裏一体だったな!あーっはははははは!!!はははっ!あははははっ!!」


ネックレスを地面に叩きつけ、水晶が飛び散った







ーー

翌朝、少し騒ぎが起きていた


「副官!昨日捕らえた男が逃げました!見張りが気絶させられており牢の中にはおそらくあの男のものと思われる髪が…」


ユリーシェは少し考える

そして自分の私情を挟まずに指示を出した


「放っておけ、追って暴れられるのは面倒だ、それに顔は割れてる、すでにブラックリストに入れてあるからろくな諜報活動はできん」


これ以上面倒ごとを起こしたなくなかったユリーシェは秘密裏のことのことを処理した

次で一章が終わります

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