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第1章 危険な遭遇

 風が吹き、桜の花びらがはらはらと舞っている。校内の通学路に咲く満開の桜が、通学してくる生徒たちを暖かく招き入れていた。

 この春、八丘はちおか高校に入学したばかりの勇希マナブ(ゆうき まなぶ)は、春休みに手に入れたばかりの、アイパッドによく似たモバイル端末で、そのアニメ『パワーテイル』を観ながら教室に入ってきた。


(レオルド・ファイア、かっこいい~)


 アニメに夢中になっていると、先に来ていた親友の国府田伸吾こうだ しんごに声をかけられた。


「マナ、おはよー。なんだよ、またアニメ観てんの? 朝から好きだねー。最新話、配信されたのか?」

「うん。さっき配信されたとこ。おはよー、シンゴ」


 勇希学ことマナは、ようやくモバイル端末から顔を上げ、シンゴの顔を見る。なんだか物欲しそうな表情をしているように思えた。


「何? 観たいの? 『パワーテイル』」

「観たいに決まってんだろうが! 毎回面白い、面白いっつって、二人が自慢しているの聞かされたら、誰だって観たくなるっての!」

「あ、じゃあ、観る?」


 マナはそういうと、意地悪そうな顔でモバイル端末を差しだした。


「かーっ! おまえ、ほんと、嫌な奴な! 観れないの、分かってるじゃん! おまえともう一人以外には!」


 そうなのだ。このアニメ『パワーテイル』は、このモバイル端末を手に入れたマナと、もう一人の人間以外は、なぜか観ることができないのだ。彼ら以外の人間が観ようとすると、画面がまったく映らなくなる。モバイル端末のディスプレイが黒くなり自分の顔が映り込むだけになるのだ。


「そうなんだよなあ。なんかこれ、試作品で、今は試験的に配信してるアニメの配信専用の機器になってるっていわれたけど、オレとハナしか観れないんだ」

「なんなんだよ、それ。不良品じゃないか」

「不良品とはなんだ。人がせっかく楽しんでいるのに」


 その言葉のとおり、マナはアニメ『パワーテイル』を楽しんでいた。途中からの配信なので一話目から観れているわけではないが、不定期で配信されるこのアニメを観だして、一〇話目にもなり、毎回食い入るように観ている。レオルド・ファイアを始めとするキャラクターたちが邪悪な闇を相手に瑛気を駆使して、毎回迫力のある戦闘シーンが繰り広げられている。特にレオルド・ファイアの闇に対する戦闘力は圧倒的で、見ていてすかっとするのだ。マナは完全にアニメにはまっていた。


「おまえ、変な電波でもだしてるんじゃないか。通信を邪魔するみたいな」


 マナがそういったとき、シンゴがため息とともにいった。


「ほら、『もう一人』が来たぞ」

「おはよ、マナ、シンゴくん」


 マナには声のした方を見るまでもなく、その声の主が分かっていた。そして振り向くと案の定、その『もう一人』がいた。もう一人のアニメを観れる人間、上野原花うえのはら はなことハナが教室に入ってきたのだ。

 健全な女子高生らしく黒々とした長い髪をポニーテールにしている。くりっとした目。身長は一五五センチメートル。快活という表情がよく似合う笑顔の可愛い女の子だ。

 そのハナがにこにこしながら、マナたちの元に駆け寄ってきた。


「おはよー、ハナちゃん」


 シンゴがハナに挨拶を返す。


「おは……」

「あ! もしかして最新話来てるの?」


 マナも挨拶を返そうとすると、ハナがモバイル端末に気づき、かぶせ気味に食いついてきた。


「お、おう」

「わーい。観せて、観せてー」


 ハナはとびっきりの笑顔だった。目が期待できらきらと輝いているようだ。


(なんちゅう笑顔魅せやがるんだ、ハナの奴)


 ハナの満面の笑みに、抗う(あらがう)すべのないマナは、すっとモバイル端末を差しだした。


「ありがとー。レオルド・ファイアって、カッコイイよねえ!」

「まあなー」

(かっこいいといったって、しょせん、アニメのキャラクターだけどな。おまえは俺だけ見とけばいいんだよ。……なんつって)


 そのアニメのキャラクターに嫉妬するマナは、若干、鼻の下を伸ばしている。ご覧のとおり、ハナに惚れていた。


(ちくしょう。朝から可愛いぜー……ハナ)


 もうべた惚れ状態である。

 モバイル端末を受け取り、自分の席に向かうハナを見ながら、シンゴがにやにやしている。それに気づいたマナはむっとした。


「なんだよ?」

「変な電波だしてるのは、おまえらの方なんじゃねえの? まあ、おまえの電波は、ハナちゃんには届いてないみたいだけど」

「う、うるせえよ!」

「もう、いっそのこと届けちゃえよ、その想い。なんならハナちゃんがちゃんと受信できるように、俺がいってやろうか? おーい、ハナ……」

「や、やめろー!」


 マナはシンゴの首に腕をかけ自分に引き寄せた。力が入っている。


「いでででで」


 シンゴが悲鳴をあげる。

 ハナは自分の席で不思議そうな顔をして、こちらを見ていた。


「はは、なんでもないから、ハナ」

「そう?」


 ハナはそういうと、特に気にする様子もなくアニメを観だした。


「シンゴー、おまえ、何しようとしてくれてんだよお!?」


 小声ですごむマナ。


「あー、もう、じれったい。おまえらの純粋無垢なやりとりを見てると、俺は、もうたまらなくなるんだ。電波、届けちゃえよー」

「電波っていうな。とにかく、俺は俺のタイミングで告白するときは告白するんだから、おまえは、ほんっとうに、よけいなことすんな。分かったか」

「へいへい」


 シンゴの了承がとれると、ようやくマナはシンゴを解放した。シンゴは首をさすりながら、あきれ顔でマナを見た。


「でも早くしねえと、誰かに盗られちまうぞ。ハナちゃん、もうすでに学内でも可愛いって噂になってんだから」


 まだハナたちが入学してから二週間あまりしか経っていない。にも関わらず、ハナの噂は学内に広がっていた。それだけハナが可愛いのだ。


「あー、うるせえ、うるせえ。あ、ほら、寺内さん、来てるぞ。行け行け!」

「あ、ほんとだ! 寺内さーん!」


 シンゴは、教室に寺内という女生徒が登校してきたのを確認すると、羽でも生えたかのような軽快な足取りで、自分の席の隣に着席した寺内の元へと向かっていった。


「ふん。おまえだって、まだ告白できてないじゃないか」


 友達との朝の語らいが終わり、静かな時間が訪れた。教室の中は他のクラスメートたちの話し声が聞こえる。どこかから「おはよう」という挨拶も聞こえた。外では雀が鳴いている。マナには、それがどこか自分とは関係のない世界のように思えた。刹那、マナは少しだけ物思いに耽た(ふけた)。


(世界は繋がっているというけれど)


 マナは教室を見回した。 


(俺が知っているのは、俺の周りの世界だけだ)


 ハナが観ているモバイル端末を見る。


(パワーテイルの世界と現実は、もちろん繋がっていないし)


 シンゴのいる方を見る。寺内に楽しそうに話しかけている。


(俺が知っているのは、シンゴが寺内さんに惚れていることくらいで、知らないことの方が多い)


 再び、ハナの方を見る。


(今日、どんなパンツ履いてるんだろう……知りたい。う、いやらしい目でハナを見てしまった。反省)


 ふんと鼻息を鳴らし、椅子の背にもたれかかると、両腕を伸ばし背中を伸ばす。


「ふあ」


 昨日は配信されたばかりの『パワーテイル』を観ていて夜更かししていたので、寝足りないのか、欠伸がでた。こぼれでた涙を拭きながら、またハナを見た。


(でも、ハナがすごく優しい女の子だってことは知ってる。大好きになるくらいに)


 マナは思いだしていた。決して忘れることのない、小学五年生の頃を。ただの元気のいい幼なじみだったハナに、恋をしてしまった瞬間を。

 その年の秋祭り。マナは町の恒例のイベントである唐獅子舞い(からししまい)の太鼓役に選ばれていた。大人が扮する唐獅子の舞いに合わせて、太鼓を打ち鳴らすのだ。毎年、小学五年生が選ばれるのだが、その年は、マナが選ばれた。

 夏休み中、毎日のように練習した。当日は法被はっぴを着て、顔に白塗りの化粧を施し、太鼓を打ち鳴らした。ずいぶん、大人たちに褒められたし、お小遣いはもらえたし、クラスメートからも賞賛され、マナはちょっといい気分だった。

 だがしかし、冬になるとある変化が訪れたのだ。

 それは、ある日突然起こった。クラスのある男子生徒が、マナの机の上に置いてあったノートに手をかけて、床に落としたのだ。

 突然の出来事に、マナはどう反応していいのか分からなかった。男子生徒を見ると、にやにやといやらしい顔をしていた。

 マナは、ぞっとした。そのえげつない視線が自分に向けられているということに。

 何もいわずに、男子生徒は仲間のいる席に戻っていった。そしてにやついた顔で、マナの方に目配せしながら、仲間と何かを話していた。

 マナは、嫌な予感がしたが、気にしないようにしようと思うことにした。そして、その場は収まった。

……かに見えたが、それで終わりではなかった。始まりだったのだ。

 奴らは、休み時間になるとマナに嫌がらせをした。ばかだとか、死ねだとか、悪口をいわれるのは序の口で、羽交い締めにされて、ぺちぺちと頬を叩いてきたり、思い切りなぐるふりをして脅かしてきたり、放課後は鞄を取りあげられ、下校時間を遅らされたり。そんなことが連日つづいた。

 しかし、マナは我慢強い子だった。けして泣きべそをかいたりしなかった。しかしそれが良くなかったのかもしれない。心配をかけさせたくないと思い、親や先生にも相談できずにいた。

 だが、事態は一変する。無視をつづけるマナに、いじめっ子の方が業を煮やし、ある日、登校してきたマナに、「なんで、学校に来るの?」と底意地の悪い言葉を吐いてきた。嫌な気持ちになったマナが自分の席に着こうとすると、その机の異変に気づいた。


――死ねって――


 そこにはナイフで刻まれた、悪意の言葉が刻まれていた。マナを今まで以上に精神的に追いつめようとしてきたのだ。

 そしてついに、溜まりに溜まっていたものが爆発し、ぶち切れた。

 マナ……ではなく、ハナが。

 ハナは、群れるいじめっ子たちの元へ、つかつかと歩み寄り、語りかける。ハナは穏やかな笑みを浮かべていた。


「アンパンチってなんのためにあるか、わかる?」


 いじめっ子たちが、はあ? という顔をした瞬間だった。

 グシャッ! という硬いものが何かを潰す音が教室の一角で鳴った。

 ハナが、いじめっ子のリーダーの顔面に、アンパンチ、つまり、グーパンチをめり込ませたのだ。


「こういうときのためだああああああ!!」


 ハナが鬼のような表情をして叫ぶ。ブーッと鼻血が噴水のように飛び散った。返り血を浴びたその後のハナは、まさに鬼神のようで、次々といじめっ子たちの顔面にアンパンチを繰りだしては、彼らを追いつめていった。ハナは父親が空手道場をやっており、小さい頃から空手に慣れ親しみ、腕っぷしが強かったのだ。

 そして逃げまどういじめっ子たちの最後の一人の顔面にアンパンチをめり込ませると、握り拳を天井に向け、大声で勝ちかちどきをあげた。


「悪、討ち取ったり! 正義は勝つ!!」


 クラスメート全員が、唖然としている中、マナだけが大笑いしていた。自分に悪意を向けてきた悪党たちが、ハナという正義の使者によって次々と討ち取られ、痛快この上なかったからだ。


「ケンカは、先手必勝!」


 ハナは、どこで知ったかのかそんな言葉を吐き、満面の笑みをマナに見せてくれた。

 ハナはその後、『ジャムおじさんの秘蔵っ子』というあだ名を付けられ、男子生徒に恐れられるようになったが、それでもマナは、ハナのことが大好きになった。それ以降、マナは、今度は逆に、自分がナイトのつもりでハナの身辺を警護するように一緒にいるようになった。強くなろうと、今まで見向きもしなかったハナの空手道場にも通うようになった。

 ちなみに、マナがいじめのターゲットにされた理由は、唐獅子太鼓で目立ったせいだったとか。嫉妬、妬み。まったく迷惑な話だ。だがマナは、ハナが仇を討ってくれたから問題なかった。

 中学生になり、ハナは美しく成長した。今までハナを恐れていた男子はなりを潜め、今度はハナにモーションをかけてくるような男子生徒が現れるようになった。だがマナはそんなことがある度にその男子生徒を呼びだし、


「ハナの面倒、一生看れる(みれる)の? 責任とれるの?」


 と出鼻をくじいては、次々と若い芽を摘んでいった。

 やりすぎだ……。

 そして、今に至る。


(高校生になって、ハナはますます可愛くなっているからな。寄ってくる悪い虫が増えるだろう。気合い入れないと)


 いじめられて以来、日々、空手の道場に通い体を鍛えるようになったマナは、握り拳に浮き上がった拳タコを見つめ、うんうんと頷いた。



 その日の昼休み、マナは学校の屋上に呼び出されていた。


「何ですか、先輩。用事って」


 マナが問いかけた目の前の男子生徒は、不快な笑みを携えていた。胸元は大きくはだけ金色のチェーンのネックレスをつけている。一目に不良と分かった。


(でかいな)


身長は180センチ台後半はあるだろうか。マナとは10センチ以上の開きはあるだろう。


(それとオレの後ろに手下が二人か)


「こういうことだよ」


 リーダー格のそいつがいうと同時にマナの背後に控えていた手下二人がマナの背中と両腕をがっちりホールドした。


「今からオマエは俺にボコられるわけだけどよ」そいつは拳を鳴らす。


「オマエみたいなのが付いてたら、ハナちゃんやったことないだろう? 俺がハナちゃんの初モノ頂くから」


 舌を出し下卑た笑みを浮かべるそいつの顔を見て、マナの心に冷たい炎が宿った。


コイツガドウナッテモカマワナイ


「先輩」

「あ?」

「俺、あんたらみたいな悪党倒すの得意ッス!」


 瞬間、リーダー格の顔が阿修羅のよぅな怒り面に変貌した。


「なめんなあッッ!!」


 リーダー格は羽交い絞めにされているマナの頭上から降りかかるように殴りかかる。それに合わせるかのようにマナが天に向かって右足を振り上げた。


”ハーフスイング(50%)・アンキック!!“


 マナの右足はそいつの顎に命中し跳ね上げた。直後そいつは糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。ピクリともしない。失神しているのだ。手下どもはビビってマナの体から手を離していた。震えるそいつらにいう。


「今ので全力の半分ってとこです。次はフルスイング(全力)でいきます。そしたら顎砕けちゃいますよ?」


「すみませんでしたー!!」


 不良たちの声が晴れやかな空に響き渡った。




 マナが教室に帰ってくると、ハナがマナの席に座っていた。見ると、ハナは目を赤くして、涙ぐんでいるではないか。マナは慌てて、ハナの元に走った。


「どうした、ハナ! 誰かにやられたのか?」


 するとハナは首を振り、ぐじりと鼻を鳴らしていった。


「うえ~ん。シェバが、シェバがやられちゃったよお」

「は。シェバ?」


 マナは、かくんと膝が折れそうになった。そして、涙を見せるハナに呆れ顔で、ため息を吐く。


「パワーテイルのことかよ……」


 確かに、今回配信されたアニメで、『虹の鍵人』の一人という、アニメの中で重要なキャラクターであるシェバ・エメラルドが死んだのだ。デビルタワーを壊そうとベルゼブブに挑み、結局返り討ちに遭ってしまうのだ。


「シェバ、いい人だったのにい」

「確かに、シェバはいい奴だけどさ、アニメの話じゃん」

「でも、でも、悲しいんだもん……!」


 ハナは昔からこうだ。感動しいなのだ。アニメや映画などで、悲しかったり感動するシーンがあると泣いてしまう。この間も小説を読んでいて泣いたと話していた。


(まあ、可愛いところではあるんだけど)


 目をうるうるとさせているハナを見て、なんだかこっちまでうるうるしてしまうと、マナは思ったが、いかん、いかんと思い直す。

 するとハナが何かを察したかのように訊いてきた。


「ん? マナ、さっき何かあった?」

「いや、何も」


 勘が鋭いな、と驚きつつも表情には出さず、内心苦笑する。マナは先ほどまでナイトの任務を果たしていたことなど、おくびにも出さない。いつものマナである。そして話題を変えようとした。


「そういえばさ。ハナは進路決めてるの? ほら、朝のホームルームで、担任の岩佐が、今の内から自分がどういう道に進みたいか決めておくこと、って、いってたじゃん」


 マナの問いかけに涙を拭うと、ハナは意外にしっかりとした返答をした。


「えー、私? 私はねえ、学校の先生になりたい」

「へー、もう決めてるんだ。ハナは勉強できるからな。じゃあ、大学行くんだ」

「うん。教育課程とって、教員実習受けて、大学四年生の夏には教員採用試験を受けようと思ってる」

「そっか」


 ハナの将来に対しての明確なビジョンにマナは、今まで見てきたまだ幼さの残るハナとのギャップを感じた。そしてなんだか置いてけぼりにされているような、寂しい気持ちが湧いた。


「でも、お父さんは、うちの道場継いでもらいたがってると思うんだ。うち、男の子いないから。口ではいわないけど。だから、その可能性も残してる感じ」


 ハナのお父さん、つるぎおじさんは空手道場を経営している。剣おじさんこそハナに正義のアンパンチを授けたジャムおじさんであり、俺が通う道場の師範でもあった。


「あそこがなくなったら、寂しいよな」

「うん」

(ハナなりに、いろいろ考えてんだな)

「マナは?」


 口ごもるマナ。その理由は単純明快。答えを用意できていないからだ。


「俺は、まだ決めてない。ていうか、俺に何ができるのかな?」


 まっすぐマナを見つめるハナの視線が、マナには少し痛かった。マナはハナと視線をずらし、つづけた。


「一応、大学に行けたら行こうかなって考えてる。でも、決めているのはそのくらいのことで、ハナみたいに、具体的に何になりたいってのはまだ決められないよ。成績も良くないしな」

「そっかあ」


 二人には珍しい沈黙が横たわった。しゅんとしているハナを見て、マナはこのもの悲しい沈黙を打ち破らなければと、無理やりに話をした。


「最近、よく思うんだ。俺、なんのために生きているんだろうって。あ」


 ハナがきょとんとした顔をしている。


(しまった。ますます重い雰囲気に……)


 マナは、つい口走ってしまったことを後悔した。だが、本当に普段から考えていることだった。

 なんのために今、自分が生きているのか。ぼんやりとした不安を抱えながらマナは日常の生活を送っていた。さして何かが秀でているわけではない自分。その自分に、将来何ができるのか。夢という夢もなく、ただハナのことが好きだと思い学生生活を送っている。自分はその程度の人間だと、マナは思っていた。

 沈黙を打ち破らなければと、そのことをハナに話してしまった。ハナに話してもしょうがないことなのに。現に、妙な雰囲気になってしまった。

 しかしハナは、この雰囲気を意に介さないような明るい笑顔でマナにいった。


「なあによ。まだ私たち、高校生になったばかりだよ。まだまだ時間はあるし、そのうち見つかるわよ、やりたいことの一つや二つ。ほら、暗い顔してないで! 明るい未来が逃げちゃうわよ」


 ハナはそういうと、ばしばしとマナの肩を叩いた。


「い、いてえよ。ハナは力あるんだからさ」

「何よ、思春期真っ盛りの乙女に向かって、そのいい方はあ」


 ハナはからからと笑っている。マナはその笑顔を見て、また救われたなと思った。


「それにしても、マナ。高校入学と同時に、本当にいいもの手に入れたよね」


 ハナは、マナの机の上に置いておいたモバイル端末を手にして、目を大きく見開いた。心底、そう感じているようだ。『パワーテイル』を観ることが楽しくてしょうがないのだ。


「そうなんだよ。ついてた」

「スーパーのくじ引きで当てたんだっけ?」

「ああ」



 それは、マナが中学を卒業し、春休みに入ったばかりのことだった。

 シンゴの家に遊びに行った帰り道、近所のスーパーの前を通ると、オレンジ色の法被はっぴを着たおじさんが、声を張りあげてくじ引きの呼び子をやっていた。おじさんの方を見ると、赤白しま模様のテーブルクロスを敷いた長椅子の上に、六角形の木箱についたハンドルを回して当たり玉をだすための抽選器が一つ置かれていた。後ろには景品らしきものが並んでいる。

 マナに気づいたその呼び子のおじさんが声をかけてきた。


「お兄ちゃん、どう? やってかない?」


 突然の呼びかけに驚くマナ。しどろもどろになりながら答える。


「いや、でも、俺、スーパーで買い物してないから」

「なあに、今日はサービス! 近所の子だろ? うちのスーパーをご贔屓ひいきにってことで、今日は、やっていって!」


 でもなあ、と迷うマナにおじさんは強気だった。ぐいぐい押してきた。


「これ見て! 一等商品、沖縄旅行ペアチケット! 当たればただで沖縄行けるんだよ! しかもペア! お兄ちゃん、彼女連れてっちゃいなよ!」

「彼女って……」

「好きな女の子いないの? 沖縄っつったら、女の子は皆行きたがるんじゃないかなあ。誘っちゃえよ! 海だぞ、海! 女の子も解放的になっちゃうよ!」

「海……!」


 マナはつい、ハナのビキニショットを思い描こうとしてしまった。まだ見ぬセクシーショットを。


(いい。すごく)


 想像たくましく、顔を赤くするマナであった。


「お、想像してるね、お兄ちゃん! いける口だね!」


 結局、そのおじさんの、なんだかよく分からない強引な誘い文句に乗せられて、くじ引きをすることになった。

 抽選器を前に緊張を隠せないマナ。


(当たれば、ハナと水着で沖縄。当たれば、ハナと水着で沖縄)


 おかしな呪文を唱えつつ、抽選器に付いたハンドルを回すマナ。

 からんと小気味良い音がした。そして、出てきた玉は緑色だった。


「え、当たり?」

「だー! 惜しい! 一等沖縄は金色だからー」


 なんだと肩を落とすマナ。しかし、おじさんの表情は明るかった。


「でも、当たりは当たりだ。三等、今話題のアイパッド!、みたいなやつ」

「アイパッド、みたいなやつ?」


 一五分後、自宅の部屋で、マナが手に持ち見ていたのは、アイパッド……ではなく、それによく似たモバイル端末だった。

 なんでも試作品らしく、アニメの配信を受信できるらしい。今は試験段階で、その機能しか使えないとのこと。

 あまりにも使える機能が限定されているので、半ば呆れるマナ。


(なんだ、これ……アニメしか観れないアイパッド、みたいなやつって)


 しかし、マナはすぐに、そのモバイル端末で観られるアニメ『パワーテイル』にはまり、今では不定期で配信されるそのアニメが、すっかり楽しみになっていた。何よりタダで観られるというのは、小遣いの少ないマナには魅力的だったのだ。

 そして、ハナもそのアニメの虜になった一人であった。そしてなぜか、その二人にしかアニメは観られないのだった。

 マナとハナの二人以外の人間がモバイル端末を持つと、画面の明かりが消え、暗いディスプレイが自分の姿を映すだけになるのだ。

 どういうことなのか? 奇妙だとは思いつつも、マナは、面白いものが観られるので特に気にもせず、その恩恵にあずかる日々であった。



「でも、どうせなら、一話目から観たいよねー」


 心からそういっていると分かる表情で、ハナがいう。確かに、とマナは思った。

 このアニメは途中からの配信だったので、それ以前の内容が分からないのだ。今まで観てきた一〇話分で、『パワーテイル』の大体の世界観は掴めているのだが。

 マナは、眉間に皺を寄せ、モバイル端末を指先で叩く。


「ネットでも調べたけど、『パワーテイル』で検索しても、このアニメのことは出てこないしなあ」

「アニメの配給会社は調べた?」

「うん。アニメのエンディングに出てくるクレジット、声優さんとかは出てこないんだけど、製作会社のところで『ラブビリーバー』って名前が出てくるから、調べた」

「で、どうだった?」


 ハナが身を乗りだして訊いてくる。目を輝かせて、早くつづきが聞きたそうだ。その表情が可愛かったので、マナは一瞬、らしてやろうかな、などといじわるなことも考えたが、気を取り直してすぐに教えてあげることにした。


「一応、『ラブビリーバー』って会社は見つかったんだけど、アニメ会社じゃないんだよ。なんかNGO団体とかで。非政府組織ってやつ? PKO活動してるって書いてあった。平和のためになんたらって」

「ふーん。じゃあ、その会社じゃないんだ」

「珍しい名前だけど、やってることがぜんぜん違うしな」


 アニメ制作と国連平和維持活動では、やっていることがかけ離れている気がした。

 ハナは腕組みをして、呟く。


「ラブビリーバー……訳すと、『愛を信じる者』とでもいうのかな?」

「愛を信じる者……」

(愛、平和。確かに、平和のために活動する団体なら意味は通るか)


 ハナの言葉にマナはそう思い、納得する。だが、依然アニメ制作会社の謎は残る。


「どうせなら試験放送じゃなくて、大々的にテレビとかネットとかで流せばいいのにね。パワーテイル面白いんだし」

「だよなー。人気出るのに。でも、今の試験放送が終わったら、あるかもよ。これ試験放送なんだし。本番のためのものだろ?」

「そっか。そうかもね」


 マナは教室の天井を見上げ、「シンゴにも観せてやりたいなあ」と感慨深げにこぼす。

 そして、ハナを見た。


「ほら、あいつ、観たがってるから」


 ハナはにっこりと笑った。


「優しいとこあるよね、マナ」

「いやあ」


 ハナから視線を逸らし、マナは照れ臭そうにぽりぽりと顔をかいた。

 そのマナをじっと見て、ハナはいった。


「さっきの話。もしさ、将来、やりたいことが見つからなかったらさ。マナはうちの道場でも継げば?」

「え」


 思わずハナの顔を見る。にこやかな表情をしているが、おちゃらけた雰囲気ではない。


「マジで?」

「うん。うちのお父さん、けっこうマナのこと、気に入ってるんだよ」

「おじさんが?」

(マジかよ……)

「ハナちゃんのお父さんに気に入られてるんなら、断る理由はないよな」

「うわ、びっくりした!」


 突然、話に割って入ってこられたので、驚くマナ。シンゴだ。にやにやしている。


「道場を継ぐってことは、それはもう跡取りだ。てことは、つまり、ハナちゃんと……むごむが」


 必死の形相をしながらシンゴの鼻も口も両手で塞ぐマナ。


「ぶ、ぶは! し、死ぬ! 鼻まで塞いだら息できないだろうが!」

「息の根を止めようと思ったんだ!」


 ハナは二人のやりとりを楽しそうに見ている。そして、マナはシンゴを叱りながらも、悪い気はしていなかった。


(道場の跡取りかあ。そうしたら、ハナと。むふ)


 そうして、楽しい昼休みは、あっという間に過ぎていった。



 放課後になり、ハナは茶道部に、シンゴはサッカー部に行った。空手道場に通っていることもあり学校の部活には入っていない帰宅部のマナは、用事もないので家路についていた。


(しかし、シンゴは中学のときもサッカーやってたから分かるけど、空手やってるハナが茶道部とはな。意外な選択だ。おしとやかになりたいのだろうか……)


 しかし、マナは、いやいやと首を振る。


(きっと、お茶と一緒に食べる、お菓子目当てだな。あいつ、けっこう、食い意地張ってるし。そうに違いない)


 ハナに聞かれたら、回し蹴りでもされそうなことを、勝手に納得しつつ、自宅に向かった。

 帰宅する学生の多かった大通りを越え、やがて人通りの少ない狭い路地に入った。

 すると、ここ二週間で見慣れたはずの道路の、前方の右端、電柱の傍らに、異変を感じた。


(人がいる。あれは……)


 浮浪者だった。この暖かい中、薄汚れたコートを頭から羽織り、座り込んでいる。顔はコートのフードに隠れ、表情は見えない。道路幅は三メートルほどと狭いため、浮浪者のすぐそばを通らなければならない。手を伸ばせば、届いてしまいそうなくらいだ。

 マナはすぐに視線を外し、深くは考えないようにして、その浮浪者の前を通り過ぎようとした。何事もなかったかのように。

 そのとき、マナの右手に予想だにしなかった衝撃が走った。マナが、「え?」といい見ると、なんと浮浪者が、マナの右手を、その両手で握っているのだ。


「う、うわ」


 マナは突然の出来事に慌て、浮浪者の手をふりほどこうとした。しかし、汚れ疲れきったように見える浮浪者のどこにそんな力があるのか、しっかりと握られた両手は外れる気配もなかった。


「お恵みを~」


 浮浪者が、初めて口を開いた。マナは半分パニックに陥りながらも、その言葉の意味を理解し、すぐに自分の財布の中身を思いだす。


「お、俺、三百円しか持ってないけど」

「違う~、それじゃない~」


 てっきり、何か金銭的なものとか食べ物でも恵んでくれといっているのかと思っていたマナは、意味が分からなくなった。


「じゃ、じゃあ、何を?」


 次の瞬間、浮浪者の姿が豹変した。コートが立ち消え、浮浪者の全身が黒く立ち昇る炎のようになったのだ。そしてそれは叫んだ。くぐもった冷たい声だった。


「おまえの、命をくれ~!」

「うわあああああ!」


 あまりの事態に悲鳴をあげた。掴まれた右手に強烈な痛みが走る。浮浪者だと思っていたそいつのその姿は、見知った姿だった。アニメ『パワーテイル』で見てきた邪悪の化身、闇そのものだったのだ。

 闇の強烈な力により、マナの右手がずぶずぶと闇の体にめり込んでいった。その場を離れようと必死にあがくマナ。しかし抵抗はむなしく、マナの右手はすでに、闇の体に取り込まれてしまっている。


「くそお!」


 マナは気持ちを奮い起こし、その場でジャンプして思い切り両足で闇を蹴った。

 ズボオ。

 嫌な音が響き、マナは闇から抜けだし、後ろに転がった。


「あああああ!」


 マナの右手首に今までの人生で味わったことのない激痛が走った。マナが右手の方に首を捻ると、そこには恐ろしい現実があった。

 右の手首から先がないのだ。あるはずの指が揃った掌がない。闇に喰われたのだ。

 喰いちぎられた部分からは赤い血がどぼどぼと流れ出ていた。マナが今まで見たことのないその赤い流れは、あまりにも鮮烈で、死の恐怖を感じさせるのに十分だった。

 マナは、あまりの痛みに身じろぐことさえできなかった。そして、絶望していた。


(し、死ぬ……)


 恐怖に全身を支配されてしまったマナは、小刻みに震えている。体が冷たくなり、意識が重くなっていくのが分かった。あまりにも暗いものが、マナを覆い尽くそうとしていたのだ。


「くははははは! 虹の鍵人はこれで復活しない! 闇の勝利だー!」


 死にいくマナを前に歓喜の雄叫びをあげる闇。マナはその闇の言葉の意味を理解できるはずもなく、暗くなっていく視界の中で、近づいてくる誰かの足を見た気がした。


「ち、瑛気使いか」


 闇がいまいましそうにいう言葉が聞こえ、闇の気配が消えた。代わりに男の声が聞こえてきた。


「マナくん、痛いだろうが我慢してくれ」

「うあ……」


 マナは悲鳴を上げる。右手首に激痛が走る。何かが右手首につけられたような違和感がする。


「マナくん、聞こえるか? 自分の右手をイメージするんだ!」

(右手? イメージ……する?)

「死にたくないだろう? 生きるために自分の右手をイメージするんだ! がんばりどころだ! 頼む!!」

(死にたく……ない……)


 だが、マナの意識は今にも途切れそうだった。


「マナくん! 君の人生、これで終わっていいのか? ハナさんに会えなくなってもいいのか?」


 その言葉を聞いた瞬間、朦朧としていたマナの意識が再び起きあがった。


(会いたい……ハナに……!)


 マナはなんとか口を動かす。


「右……手?」

「そうだ! 自分の右手をイメージするんだ! そうすれば生きられる!」

(俺の右手……イメージ……、ハナ……、死んで……たまる……か……!!)


 その瞬間、何か光のようなものを霞む視界に感じた。温もりとともに。マナの右手首から痛みが消えていく。やがて先ほどの痛みが嘘のように、今度は暖かな何かに右手首が包まれる。


「よくやった、マナくん!」


 その声を確認すると、マナは安心したように意識を落とした。



 マナが目を覚ますと、マナの母親の顔がそこにあった。


「マナ、目が覚めた? 痛いとことかない?」

「え? あ、うん……」

(頭の奥が少し痛いような……ひどく長く眠っていたみたいな感じがする)


 マナは病室らしきところにいた。ベッドの上で横たわっていたのだ。

 そして、母親の横に、見知らぬ青年が立っていた。細身の若い男だ。大学生くらいの歳だろうか。眼鏡をかけていた。右手には先ほどまで飲んでいたであろう缶コーヒーが握られている。

 眼鏡の奥の目が、じっとマナを見ている。その瞳が、マナのすべてを見透かすようで、なんだか落ち着かなくさせられた。


「母さん、ここは? この人はいったい……」

「昨日、学校帰りに、あんた道に倒れていたのよ。それを、このかた、ミハヤシさんが助けてくれて、この病院まで運んでくれたのよ」

「え、倒れて?」

「覚えてない? お医者さんは、貧血じゃないかっていってるけど」

(学校帰りに……)

「あ」


 突然、マナの記憶が蘇った。闇に襲撃されたあまりにも鮮烈な記憶が。

 マナは、はっとして右手首の先を見る。そこにはマナの右手が存在した。闇に喰いちぎられたはずの右手が。その手首には、分厚い包帯が巻かれている。


(あ、ある、俺の右手! どういうことだ? あれは幻覚? 貧血で倒れていたっていってたけど、倒れた後に、夢でも見ていたのか)


 右手を、ぐっぱ、ぐっぱと握り開いてはその存在を確認するマナ。


(動く! 確かに俺の右手だ。じゃあ、やっぱり、あれは夢? この包帯は?)


 まじまじと右手を見つめる息子のその様子に、母親は心配そうに尋ねた。


「何? 右手の調子がおかしいの? 倒れたときに、アスファルトに手を着いたのかしらね。打撲だって。お医者さんがいってたから」

「あ、いや、なんでもない。変な夢を見ていたんだ」

(そうだ。夢だ。闇が現実の世界に現れるはずがない。あれはアニメの中の話だ。すっごいリアルで痛かったけど、死ぬんじゃないか思ったけど、そういう夢だったんだ)


 右手を開き、前に伸ばすマナ。そして、ぎゅうっと握る。


(現に、俺の右手はちゃんとくっついてるしな)


 マナが安心していると、ミハヤシという青年がいった。


「それでは僕はこれで。元気そうで安心しました」

「何もおかまいできませんで。本当にありがとうございました」


 頭を下げるマナの母親。そして、マナの方を見ると、「ほら、あんたもお礼いいなさい」と促した。


「ど、どうも」


 マナが頭を下げると、ミハヤシも頭を下げた。そして退出しようとしたときだった。彼は手にしていた缶コーヒーを落としたのだ。


「おっと」


 ミハヤシが声をあげる。かんかんと缶コーヒーは床で音を鳴らした。中身は飲み干しているようで、空だった。そして空き缶は床の上を吸い寄せられるように、マナの元に転がっていった。

 やがてそれは、マナの真横、ベッドのすぐ下に来ると、ぴたりと止まった。


「失礼」


 ミハヤシはそういい、空き缶を拾いに来た。マナの真横で上体を屈め(かがめ)空き缶を手にする。そして上体を起こし、ミハヤシの口元が見つめるマナの耳元に来たときだった。


「また、後で」


 その瞬間、マナの背筋に冷たい物が走った。マナにしか聞こえないくらいの小さな声だったが、しっかりとマナの鼓膜を振動させ、さっきまで安心し落ち着きかけていたマナの心に、地震のような揺れを起こした。


(え? また後で?)


 夢だと思っていた記憶が鮮明に蘇る。あまりにもリアルな死の恐怖が心臓を早鐘のように打たせた。

 バタンとドアが閉まる。去っていったミハヤシの通っていたドアを見つめつづけるマナ。母親はマナの異変に気づかない。

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