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プロローグ
向こうどころか、自分の掌すら見ることができない真っ暗闇
当然、方角すら分からない闇の中、その声が聞こえてくる。
――け……て
どこから聞こえてくるのか、分からない。何を伝えようとしているかも分からない。
――……がい……ます。……けて……さい
けれど、切実な声色であることは分かる。何かを一生懸命伝えようとしていることも分かる。
そして、その声の主が自分とさして歳が変わらないことも何故か分かってしまった少年は腹の底から声を張り上げようとするが、その声は虚しいほど音にならず、暗闇の中へ吸い込まれるようにして消えていった……。
今まで気負いがすぎた部分があったので、今作はマイペースでやっていこうと思います。
更新速度は遅めですが、どうかよろしくお願いいたします。