表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/46

奴隷とおでかけ

風呂上がりにシロと2人でテレビを見ていた。

最近は、シロがテレビを見るので、俺も見るようになってきた。

床に座ってベッドを背もたれにして見るのが常だ。


シロはベッドに寝転がって、俺の首に抱きついてテレビを見ている。

ベッドの上だと俺の肩と高さが合わないので、俺の枕を胸の辺りに敷いて高さを調整しつつ首に抱きついている。

この体勢を、密かに『好き好きスリーパーホールド』と名付けた。


見ている番組は正直どうでもいいのだ。

シロと一緒に何かをしているのが大事。


ちなみに、今は福岡のラーメン特集の番組だ。

博多ラーメンVS長浜ラーメン的な内容。


今日は、大家さんが来た時に色々考えた。

シロの将来・・・と、2人の将来についてだ。


一人の時は変わろうなんて思ったことがなかった。

誰にも会いたくないと逃げた。

でも、今、俺は変わりたい。

シロのために、俺のために、2人のために。


「シロ」


「はい、かみさま。なんですか?」


だから、まずは簡単なところから。

シロにコンビニスイーツ、ヨーグルトのケーキを食べさせるのだ。


「明日、コンビニ行くぞ」


「コンビニ?」


「そ、ヨーグルトのケーキ売ってるとこ」


「はー↑はいっ!」


既にテンション高めだ。

ベッドから起き上がった。


「もうすぐ販売終了だから、いっぱい買っとくか」


「いいんですか!?」


「おうよ。他の物もかってよし」


「かみさま素敵!」


「おう、ありがとよ」


どこかの遊園地に行くかのように盛り上がっているが、実際に行くのは家から650m離れたコンビニだ。

コンビニ行ってスイーツを買ってくる・・・ただそれだけの話だ。


それでも、俺とシロのペースはこれでいい。


***


翌日は朝から大変だった。

まずは、シロが外に出るための服がない。


服を買ってから・・・と思ったが、昨日既にシロにコンビニに行くと伝えてしまっていた。

今日行かないと、がっかりさせてしまう。


今、家にあるシロの服は、『ピンクのセーラー服』『ブラウンのセーラー服』『メイド服』。

どれも外を出歩くのには適していない。


ただ、部屋着で行くのも・・・


「シロ、そのブラウンのセーラー服着てみてくれ」


俺が後ろを向いているうちに着替えてもらう。


「はい!着ました」


振り返ると、今日はちゃんと着ていた。

良かった。


セーラー服は長袖なので、シロの腕の火傷の跡は隠れる。

凸凹はしていないけれど、赤くなっているのだ。

シロは肌が本当に白いので、火傷の跡が目立つ。

長袖なら隠れるから問題ない。


俺がじーっと見ていると、シロが何だかもじもじしている。

どうしたのだろうか。


あと、ちゃんとしているようで、やっぱり、コスプレ感が否めない。

そこで考えたのが、『ブラウンのセーラー服』に俺のニットのカーディガンを羽織る作戦。


何となくセーラー服の制服の女の子がニットのカーディガンをゆるふわで着ているように見える。

セーラー服は、ほとんど隠れるのでどこの学校とかは分からない。


ただ、スカートは短いので、脚の火傷が目立つ。


「シロ、ニーソも履いてみて」


「はい。でも、長いからかみさま手伝ってください」


「ああ、いいよ」


2人がかりでニーソを履く。

これで脚の火傷が隠れる。


シロを立たせていろんな角度から見るが、とてもかわいい。

服も悪くない感じ。


ただ、頬と首のやけどの跡はやっぱり分かる。

首はマフラーで隠せるが、頬までは隠せない。

まあ、他人の顔ってじろじろは見ていないだろう。


コンビニ行って帰ってくるだけだ。

まあ何とかなるだろう。


これでどこからどう見ても美少女だ。

なんだか、シロがまたもじもじしている。

どうしたどうした。


***


次の問題だが、シロの靴がない。


普段は、ごみ捨てに行ってもらうだけなので、サンダルでいいけど、コンビニにサンダルはちょっと・・・

そこで、ちょっと大きいけど、俺の革靴を貸すことにした。


セーラー服なら革靴だろう。

俺の成人式用に買ったが、まるで履いていない。

シロが履くには大きすぎるので、つま先とかかとに詰め物をして何とか履くことに成功。


「シロ、歩いてみてくれ」


ほぼ新品なので、家の中を着くで歩いてもらう。


(ずるっ)


「かみさま、すぐ脱げます」


全然ダメだった。

しょうがないので、ハイカットのスニーカーを貸すことにした。

これなら何とか・・・


靴は近々買わないとな。


***


最後は、俺の問題。

どうにもドアから外に出られない。


玄関の鍵は開けた。

ドアノブは握っている。


でも、そこまでだ。

身体が外に行くのを拒否している。


「かみさま?シロが手を握りましょうか?」


シロにかっこ悪い姿を見せるのは情けないが、やっぱりダメなものはダメだった。

手を握ってもらって、シロの次に玄関のドアを出る。


ここまで来て、やっとスタートだ。


アパートの階段を降りたところで声をかけられた。


「あら、こんにちは!」


(びくっ)顔を上げてみると、大家さんだ。

1階の廊下の掃除をしていたみたいだ。


「シロちゃんの服、かわいいわね!」


「えへへ、かみさまに買ってもらったの」


袖から指しか出ていないが、指で袖を押さえてくるりと1周回って見せる。


「それって高校の制服?シロちゃん高校生?何それ!?尊い!!」


シロはなんて言っていいか分からなかったようで、俺の方を見て視線で助けを求めた。


「コスプレ・・・的な?」


「最高!ごちそうさまでした!」


何だかよく分からないけれど、大家さんは納得したみたいなので良しとしよう。


年の瀬で空気は冷たい。

でも、その分空気が澄んでいるような気もする。


初っしょっぱなから大家さんに声をかけられたので、何となく緊張も和らいだ。


何よりシロが一緒にいてくれる。

手を握っていてくれる。

2人でコンビニまでの道を歩き始めた。


ふと、シロの方を見たら、微笑み返してくれた。

俺は今笑っているのか?

シロの顔を見たら自然と笑っていた。


いいな、こういうの。

散歩なのか、買い物なのか、デートなのか分からないが。


「シロ、制服かわいいな」


「ほんとですか!?えへへ~」


何だか蕩けそうになっている。

さっきもじもじしていたのは、褒めてほしかったのかな?


『かわいい』と思ってはいたが、言ってはいなかった。

こういうのは口に出して言わないといけないな。


一人暮らしの引きこもりだと、ついついしゃべらない癖がある。

気を付けないとな。


シロが横の植え込みの上に上がる。

俺よりも目線が上になったのが嬉しいのか、ご機嫌みたいだ。


ただ、坂を下るうちに歩道と植え込みの高さの差はだんだん広がり1.5mを超えた。

手もつないだままでは歩きにくいし、シロは飛び降りられる高さを超えてしまったようだ。


「かみさま~」


立ち止まったシロが助けを求める。

子供だろ、これ。

子供の時にやるやつ。


自分が飛び降りれる高さが分からないんだな。

木に登って降りられなくなる猫もこの類なのだろうか。


「んーと、手を離してそのまま行くか、戻って降りるかだな」


「・・・」


シロが飛び降りれる高さのところまで一緒に少し戻る。

戻るんか~い。

かわいいやつだ。


また二人で歩道を歩き始めた。

色々トラブルがあったから、結局家を出たのはお昼の3時を過ぎていた。

平日の昼間だから人は少なく、俺的には助かった。


「〽かみさまと~コンビニいく~かみさまと~うれしいな~♪」


シロが訳の分からない歌を歌う。

まあ誰もいないし、いいか。


途中、ちょっとした公園が見えた。

桜の木がたくさん植えられている公園だ。

今の時期、木には花はもちろん、葉も無くて寒々しい。


春にはシロと一緒に桜が見れるのだろうか。


総アクセス2.5万超えました!

ありがとうございます♪


紙のヘリで指を切っても、気持ちは全然へこんでいません(汗)


1日4回更新になりました。

朝6時、昼12時、夕方は18時、夜は21時です。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ