カルス少佐
ミアパートの続きです!
「おい」
背後から突然声がし、私は反射的に座っていた椅子を後ろに蹴り上げ、振り向きざまに剣先を相手の喉元に突き出した。
「誰!」
全然気配に気づかなかった。考え事をしていたとはいえ、部屋に入ってきたことにすら気づかなかったなんて・・・不覚。
「・・・」
私の問いかけに相手の反応が無く、しばらく部屋に静寂が訪れる。
この白い軍服は確か・・・。
そうこう考えていると廊下から走る音が聞こえ、勢いよく部屋の扉が開く。
「おい隊長!あまり勝手な行動は・・・これはどういう状況だ?」
「・・・」
「ゲオルグ宰相ならたった今式典会場に。それよりまずこの状況を説明してくれ」
相変わらず目の前にいる金髪の青年は押し黙ったままだが、たった今部屋に入ってきた黒髪の中年男性は私を見ると諭すように話してきた。
「お嬢さん悪い事は言わないから剣を納めた方がいい。今すぐに」
その言葉に従う道理は無いと思ったが、本能なのか肌がざわつく嫌な感じがし、気がつけば剣を持った左手は下がっていた。
「お利口さんだ。・・・お前らもういいぞ」
中年男性の声を合図に開いていた窓からこれまた白い軍服を着た兵士が数人部屋に入ってきた。
「もう終わり?」
「さっさと無力化しちゃえばよかったのに」
突然の状況に困惑している私に中年男性が笑顔で語りかけてきた。
「いや済まなかった!ミア中尉・・・だよな」
「・・・そうですが」
「良かった!。俺達は元々王国陸軍第310部隊の隊員で、今は革命軍の先槍と呼ばれている【ホワイトジャベリン】
俺はその副官をしているアシュレイ大尉だ。そしてあんたがさっき剣を向けていたのが隊長のカルス少佐」
「・・・聞いたことがあります。フェルゼルシア陸軍には他国の戦争に義勇軍として送られている部隊があると。それが・・・」
「俺達だ。そして本日付で君が所属する部隊でもある」
「そう、でしたか」
「驚かないんだな」
「前線に出れさえすれば所属する部隊は関係ないので」
「やっぱりな」
「?」
「・・・アシュレイ、もういいだろ。行くぞ」
「へいへい、了解です」
「ミア中尉」
「は、はい」
突然カルス少佐に呼ばれて内心驚いた。
ちゃんと喋れる人なんだと。
「・・・元近衛だからといって期待はしていない。明朝05:00に出発する。支度をしておけ」
そう言い残すとカルス少佐は隊員を引き連れて部屋を出ていった。
その様子を見てアシュレイ大尉は「相変わらず素直じゃないな」などと呟きながら私に集合場所等の詳細が書かれた紙を渡し、後を追いかけていった。
私はしばらく呆然と立ち尽くしていたが、まずこの荒れた部屋を綺麗にしなくてはと思い、収納から掃除用具を取り出す。
【ホワイトジャベリン】は革命軍の最精鋭部隊だ。必ず最前線で戦うことになるだろう。
もう少しでクルトに会える。クルトの洗脳を解いてあげられるのは私だけ。
だから、私の邪魔をする奴は容赦しない。絶対に。




