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北へ

ここから第四章スタートです。クルトたちの生まれ故郷、辺境の漁村イエール村にむかいます。


フィーアはアンホルトを脱出してさらに北へ、王国最北端に位置するイエール自治領を目指していた。

イエール自治領は連邦との国境線を有しており、田園風景が広がる自然豊かな領地であった。

現領主 エイナル・フォン・ヘルシンゲルが改革を行い、連邦との交易を強化、

財政を立て直し、陸路・海路での交易輸送保護の名目で大幅に軍備を増強した。



ーフィーア指揮所ー


「そろそろイエールか」


「そういえばクルト先輩の故郷もイエールなんですよね」


俺の独り言を聞いていたのかアンナが話しかけてきた。


「ああ、確かアンナの実家は領都だったよな」


「はい、まさかこんな形で故郷に戻るとは思ってませんでした」


「そうだな・・・」


俺の故郷はアンナと同じ自治領でも外れにある小さな漁村だ。

ミアとは幼少の頃から一緒で・・・。


「先輩?クルト先輩、聞いてますか?」


「!・・・悪い、少し海風を浴びてくる」


アンナの声で我に返った俺は頭を冷やすべく指揮所出口へ向かい、

ちょうど仮眠から戻ってきたラースと入れ替わるように指揮所を出た。


「クルト先輩・・・」


「どうしたんだクルトの奴?」


「・・・ラース先輩。ラース先輩は王都のご家族の事、心配じゃないんですか?」


「いきなりだな。まあ心配してない訳では無いが、俺は日頃の行いからか親に嫌われてるからな」


「・・・」


「なんにせよここで離れた場所にいる親の心配をしていてもしょうがねえ。

まずはここにいる皆と自分の身を守るためにやるべき事をやるだけでしょ。

お前も先輩の俺がしっかり守ってやるから大船に乗ったつもりでいていいぜ」


「!・・・そ、そんなドヤ顔してもラース先輩は士官学校の陸戦訓練の成績、私より悪いんですからね!。

 心配なので私が守ってあげます」


「おいおい士官学校の話をするのは反則だろ。俺は体じゃなくて頭で勝負するタイプなんだ!」


「・・・まあ、守ってくれるって言ってくれて嬉しかったですけど」


「お、おう」


「・・・そ、それよりクルト先輩の事です!。しばらく一人にしてあげて下さいね」


「そ、そうだな!。あいつもこんな状況で故郷に戻ることになって複雑な心境なんだろう。そういうことなら、俺に任せておけ」

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