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初めてのお泊り

「それじゃあ、みことが作ったあのパンに癒しの効果があったってこと?」


 私たちはあの後、リリーの着替えなど準備をしてからすぐにベリアルさんの家に一緒に帰ってきた。

 ベリアルさんはちょっとびっくりしてたけど、すぐに笑顔で迎えてくれた。リリーと一緒に夕飯を作って、今日あった出来事を3人で食事をしながらテーブル囲んで話している。ちなみに夕飯はトマトの冷製パスタ、バジルの香りが爽やかで、今日は色々あってちょっと疲れたからさっぱりしてて美味しく食べられていい。


「そういうことになるかな、効果はまだ未知数だったんだけどね」

「そんなことがあったなんてね、二人で帰ってくるから聞いてびっくりよ」

「私も目の前で起きて驚きましたよ。ジル~、パンのこと教えてれてありがとね」

 ジルの頭を撫でてお礼を言う。気持ちよさそうに頭を摺り寄せてくる。

「みこと、ジル、今日は本当にどうもありがとう」

 リリーが姿勢を正して真面目な表情でお礼を言ってくる。

「もう、さっきから何度も言ってもらっているし、リリーの気持ちはちゃんと伝わってるから大丈夫だよ」

「ううん、みことがこの世界に来て、プレジールからパンを作ってくれたから、お父さんが元に戻れたんだもん。1度や2度のありがとうだけじゃ感謝しきれないよ」

「リリー...お父さんが戻ってよかったね」

「うん」

 リリーのとびきりの笑顔を見て、本当に喜んでいるのがわかる。この1年間私には理解できないくらい大変だったんだろうな。きっとリリーの性格だったから頑張ってこられたんだと思う。本当によかった。


 ゼファイルさんに渡したパンも王宮の人達が食べて今頃、みんな癒されているのかな。まだわからないけど、こんなことがあったんだもの明日も出来るだけパンを焼こう。


「さて、リリーさん!いままで頑張ってきたご褒美と、お父さんが元に戻ったお祝いにプリンアラモードはいかがでしょうか?」

「えっプリンアラモード食べたい!さっきもフルーツタルトもらったのにいいの?」

「うん、まだプリン冷蔵庫にあるから」

「みこちゃん、ズルい私も食べたいわ」

「はいじゃあみんなで食べましょうね」


 このあと生クリームとフルーツたっぷりのプリンアラモードを3人とジルとで幸せな気持ちで食べた。




「なにこの可愛い部屋ーっ」

「でしょっ!ベリアルさんの可愛いのセンス良すぎだよね」

 私たちは一緒にお風呂に入って、いまは寝巻姿で屋根裏の私の部屋にリリーと一緒にくつろいでいる。

「ベッドも大きくてよかったね。私ね、友達とこうしてお泊りとか一緒にご飯食べて、お風呂入って、一緒のベッドで寝るのなんて初めてですごく嬉しいの。リリー今日は来てくれてありがとう」

「もう、みこと可愛い~」

 リリーにぎゅーっと抱きしめられた。はわわっ

「リ、リリーちょっと」

「私はみことが大好きだよ。だからこれからいっぱい、みことの初めてなこと、してみたかったこと一緒にしようよ」

「うん、私もリリーが大好き!ありがとう」

 リリーと友達になれてよかった。これから楽しいこともたくさんして、お互いに言いたいことも言ってケンカも出来るくらい仲良くなれるといいな。


「それで、みこと、ベリアルさんとはどうなの?」

「どうって?」

「いやだな~女子がお泊りと言ったらやっぱり恋バナじゃないの。だって王子さまだよ!しかもあの見た目で性格もよくて、しかもあの包容力。そんな人と一つ屋根の下で一緒に生活しているんだから普通好きになったりとかあるでしょ」

「えっ好きって、な、ないよそんな、まだ知り合って2日だし。それにベリアルさんのことは好きだけど、何て言うか...お母さん?みたいな感じかな、優しくて温かくて、一緒にいるとすごく安心するの、私がどうしたいのかちゃんと聞いてくれて見守ってくれるの」

「王子さまをお母さんね。包容力がそっちにいっちゃったのか、ざーんねん」

「残念って...それに、ベリアルさんとはリリーの方が仲がいいじゃない」

「あれぇ~焼きもち?」

「ち、違うよ、そんなことないもん」

「ふーん」

「何、その顔は?信じてないでしょ」

「ま、いいけどね。でも、言っておくけどベリアルさんすごくモテるからね」

「えっそうなの?」

「ほらっ、いま寂しそうな顔した。みことは可愛いな」

「もう、私のことはいいから、リリーこそいい人いないの?絶対に色んな人からお誘いとかありそうだよね」

「それは、まあそれなりにね。でもこの人しかいないって人には出会えてないのよね。だから、みことのキュンキュンな惚気話聞きたかったのにな~」

「ふふっご期待に沿えずごめんね。私、実は初恋もまだだったりするから正直恋愛の好きはよくわからなくて...」

「そうなの?だからこんなにピュアな感じなのね。じゃあ、みことに好きな人が出来たら私全力で応援するから!絶対に教えてね」

「うん、わかった。そのときはリリーに相談する」


 リリーと夜中まで尽きることなくおしゃべりを楽しんだ。お互いの知らなかったことを話してもっと仲良くなれたし。何より友達と、違う、リリーとこうした時間を初めて過ごせたことがすごく幸せだと思った。

 私はそんな幸せな想いで満たされながら眠りについた。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

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