2-1 古書の語り噺(1)
新章です。
また書き直すと思いますが、よろしくお願いいたします。
――とある村の裏山に昔から…記述には、戦国時代からある古い洞窟がある。
その戦時中に負った怪我や流行り病等で亡くなってしまった兵士や武家の人達が、今でも静かに眠っている。
しかし、貴重な歴史として「調査がしたい!」と、歴史作家や考古学者等の関係者さんが、村に足を運ぶが…村長が、頑なに今でも断られている。
断られても何度も来るため村長は、半ば厭きられながらも負けずに断り続けられている。
その断り続ける理由は…その中に祀られている一番古い『祠』が、あるためだった。
その歴史は、とても古い。
村長の家にある日記のような歴史書にも存在し、記録として記されている。
その歴史書にも裏山の祠は『土地神様の住まい』であり、祠に近づけば殺される――…と、そう記してあった。
そして、大正に入る前の事実がある。
その村の当時の村長に道路を整えるための許可を貰ったが…開拓の依頼者である富豪が「裏山を削り別荘を立てたい。」と、村長に申し立てたが『土地神様の住まい』であるためと断った。
しかし、断られても諦めきれない富豪に「土地神様の存在なんて迷信!」と、村長の許可無く工事関係者に伝え工事を始めようとしたが…不運の始まりだった。
実際、開拓工事を行っていた時の記録と日記が残っており…作業にあたっていた人達が、その山に入って作業した途端、土砂崩れ等の天災に遭い死者や怪我人が増える一方だった。
そのため…何人もの作業員が、夜逃げをして田舎に帰ったりして…工事どころではなかった。
事の元である依頼者に報告しても頑なに「早く工事を始めろ!」としか言わなかった。
困り果てた、責任者と作業員に「何か、解決策は?」の話になった。
村長や村の人達に助けを求めても「土地神様のお怒りだ。」とか「ちゃんと説明をしたはずなのに何故、裏山に入ったのだ。」と、責められる一方の板挟みだった。
ますます、困り果てた作業員の一人が「以前、村の人から聞いた話なんですが…。」と、何かを思い出したようで責任者と作業員達に自分達が裏山に入る前まで、よく差し入れをしてくれた村人との世間話を話した。
内容は、村の外れにある尼寺があり怪我人や急病人を瞬時に痛みを取り除くという神通力を持った尼様の話だった。
もしかしたら…尼様が、裏山の土地神様を説得し遅れている開拓も工事も進めるかもしれない。
話しを聞いた責任者は、困惑するが他の作業員達も聞いた事がある者が多かったため半信半疑だが藁にも縋る思いで、その尼様がいる尼寺に向かった。
そして、尼寺に着いて早々に尼様に「土地神様の説得をしてほしい。」と、突然すぎる話に呆気に取られる尼様は、直ぐに詳しい話をするようお願いをした。
尼様の優しい声に工事責任者達は、突然の訪問してきて理由を何も話さず先に「土地神様の説得してくれ」と、言っていた事を思い出し直ぐに謝罪し一から順に尼様に包み隠さず全てを話した。
責任者と作業員達の交互に話しを聞いた尼様は「そうでしたか…また、裏山に…。」と、意味深な発言をした。
その言葉に責任者は、理由を聞くと――…以前にも依頼者である富豪とは、別に貴族が同じように「裏山を削り屋敷を建てたい。」と、言っていたそうだ。
当然、村の村長や村人達も口を揃えて「止めた方がいい。」と、言っても聞かず裏山に入り帰らぬ人となった。
裏山を出る目と鼻の先に――…貴族一家と使用人すらも見るも無残な惨殺死体で見つかったため、見回りに来ていた村長が、発見し直ぐに警察に連絡した。
この一件を聞き調査に駆けつけた警察は、遺体の状態から「熊や野犬に襲われたのだろう。」と、結論付けたが…遺体の中には、まだ赤ちゃんもいれば3~4歳くらいの男の子や女の子もいて、痛ましい『事故』として今も村の記録が残っているそうだ。
その話しを尼様から聞いた工事責任者達は、直ぐに依頼者である富豪に報告したが「過去だから大丈夫!」と、何の根拠も無い理屈を並べ追い返された。
いくら客とはいえ、無謀し過ぎて途方に暮れてしまった責任者と作業員達は、また尼寺に足を運び事情を話した。
――話しを聞いた尼様は、また呆気した。
呆気に取られながらも直ぐに態勢を整えると一人の巫女を呼んだ。
その巫女は、尼様の身内の一人で尼様と同等の神通力の持ち主であると巫女が来るまでの間、簡単な説明をした。
暫くして、戸の向こうから「お待たせいたしました、お呼びでしょうか?」と、障子を開けた。
その巫女の姿に誰もが、息を飲んだ。
まだ十代だろう――…少し幼さが、目立つものの白く美しい少女が…部屋の中に入り客人と尼様に深々とお辞儀をした。
尼様は、直ぐに裏山の話しをし始めた。
尼様の話しを聞き入れている巫女は、直ぐに状況を把握し「どうりで…。」と、ポツリと呟いた。
また意味深だったので…巫女に理由を聞くと、当時の状況を思い出しながら話し始めた。
村に来てから――…よく村の広場に出入りしているらしく、炊き出しの知らせや山で取れた切り傷や擦り傷に効く薬草を効果的に加工したガーゼや包帯を差し入れていたらしい。
そして、ある日を境に裏山が“怒り苛立っている”ように感じたそうだ。
尼様の養女となり村に越して、約3カ月ほど経った頃――…巫女は、少しずつ村に慣れてきた頃でもあったため…ふと裏山の雰囲気の“異変”に気付いた。
巫女は、村の人に「あの裏山の…何か、遭ったのですか?」と、聞いたところ…元々、曰く付きな村である事を知っていたが…先程の工事責任者達が、聞いた貴族の一件の話しを聞いた。
その話しを聞いた巫女は、尼様の許可を貰い…尼寺の裏庭で育てていたアヤメの花を2~3本摘んで、数本の線香を持ち…裏山の入り口に足を運び村長の許可の下、供えさせてもらった。
――しかし、その巫女の姿を見た者達からは「巫女様だが所詮、よそ者。」と、白い目で後ろ指を差しかけた。
※今更ながらで、申し訳ありません。
前世(過去)編の区別として(例「――です。」)と、させていただきます。




