表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/94

何で…

「おい!!陽斗君?」朦朧とした意識で目を開けると、涼矢先生が目の前に立っていた。

「えっ涼矢先生?」

「喋らなくていいから。今からいつもと違う場所いくからな」そう言って先生は僕を抱き上げた。


しばらくして、

「寝てていいよ」そう言われて、保っていた意識をまた手放した。


「ひな君、馬鹿なの?心配したんだから…」

「お兄ちゃん…」

「2人とも、怒るのは後にして?倒れたばかりだから…」

「あーくん、何で来たの?来なくていいって言ったじゃん」僕は素直になれなかった。

「陽斗君、俺が朝日たちに連絡したから…」

「ひな君、何であんな所いたんだよ。涼矢が来なかったら、死んでたかもしれないんだぞ?」

「うるさい。僕のことなんかほっといてよ。帰って…」

「陽斗君、朝日たちは心配して来てくれたんだよ?」

「ねぇ帰って、帰って!!ゴホゴホ…」

「ひな君!?」

「帰って!!もう1人にさせて…」僕はそう言ってそっぽを向いた。

「朝日、一旦出るよ」そう言いながらあーくんたちは僕の病室を出て行った。


落ち着いて周りを見渡して見ると、いつもの部屋じゃなかった。

僕の腕には、輸血のための管と、点滴が付いていて、僕の胸から伸びている線の先には、心電図が付いていた。

(これを全部抜いたら死ぬのかな…)

そう思いながら、それが出来ない自分と、生かされている自分に嫌気がさして、僕は目から涙を流した。

泣くと必然的に過呼吸になって、苦しくなった。

そして、過呼吸に誘発されて、発作もおきてきた。

(何でこんなに弱いんだよ…)

心電図から警告のアラームが鳴り、病室の外で待機していただろうあーくんたちが病室に戻ってきた。

「何で帰ってないの?」

「ひな君、後で怒っていいから、今は喋るな…」あーくんは兄貴の顔から、医者の顔になっていた。

「お兄ちゃん、大丈夫?」友ちゃんまで居るの?

心配かけちゃうな…

「僕は大丈夫だから…帰ってよ」

「はぁはぁ…ゴホゴホ」

「どこが大丈夫なんだよ。苦しいだろ?」

「大丈夫…ゴホゴホ…」僕はムキになっていた。

喋る度に胸は痛くなって、僕は胸を掴みながら咳き込んだ。

手で抑えても、口元からこぼれ落ちる赤いものは止まらずに、毛布を赤く染めた。

「陽斗!?」あーくんの手が一瞬止まった。

僕は何も言わずにそっと目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ