何で…
起きると、やっぱりいつもの病室だった。
「ひな君、おはよう」あーくんは僕のベッドの横に座っていた。
「ん?あーくん?」
「もう苦しくない?」
「うん…」
「あのさ、ひな君が寝てる間に検査したんだけど、今の薬が合ってないみたいなんだ。だから…」
入院しようって言われるんでしょ?
そんなの嫌に決まってる。
「ひ~な君、入院しようか。甲子園には間に合わせるからさ…」
「嫌だよ?」僕は当然のように言った。
「でもひな君…」
「薬が合ってないなら変えればいいじゃん」
「うん、でも…」
分かってるよ。『薬が合ってない』なんて遠まわしに言ってるけど、悪化してるんでしょ?僕の病気…
「分かったよ…すればいいんでしょ?」そう言って僕は布団に潜り込んだ。
「ごめんな…」そう言いながらあーくんは僕の頭をなでた。
「お兄ちゃん今日泊まるから、一緒に居ような…」あーくんはそう言ってくれたけど、僕は
「いい。友ちゃんが家にいるでしょ?友ちゃんが寂しがるよ?」そう言って断った。
「うん…」
「明日も来なくていいから…あーくん休みでしょ?友ちゃんと遊んであげなよ」
「ひな君…」
「もう今日も帰っていいよ。今から、僕寝るから…」そう言って僕は目を閉じた。
あーくんが何か言ったような気がしたけど、気にしなかった…




