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小1の記憶5
「あーくん!あーくん!」僕は悲鳴に近い声で叫んだ。
「朝日くーん」おばさんも声をかけたが、あーくんは息を荒げているだけて、全く返事をしなかった。
そして、友ちゃんも泣き出した。
「ねぇ圭、あーくん…」
「陽斗…」僕たちは焦っていた。
そして、やっとあーくんが意識を取り戻した。
「ひな君~」
「あーくん…ごめんね」
「ううん。ひな君のせいじゃないよ。安心しちゃったからな」そう言ってあーくんは静かに笑った。
「朝日君大丈夫?病院行く?」っておばさんが言ったけど、
「いえ大丈夫です」そう言ってあーくんは座り直した。
「朝日君、これからどうするの?」
「祖父がこの近くに住んでたような気がするんで…」
「おじいちゃん?」僕は会ったこと無い。
「そうだよ。アパートに住んでるみたいだから…いつでもおいでって言ってたし…」
「お父さんたちは?」僕はドキドキしながら聞いた。
「居ないよ。僕たちだけで暮らそう」
「うん!ありがとう」そう言って僕はあーくんに抱きついた。
「今日は泊まっていきなさい」
「ありがとうございます」
僕らは圭の家に泊まることになった。




