発作~朝日side~
「朝日!車出して」凉矢の焦っている声が聞こえた。
「えっひな君?大丈夫か?凉矢!?」凉矢が抱いているのは、苦しそうに息を荒げている、ひな君だった。
「話は後だ。早く車出せ!」凉矢は焦っていたが、僕は何が起きたのか分からなかった。
僕は、車を走らせながら、ひな君のことをずっと気にかけていた。
ひな君はずっと息を荒げているが、時折胸を掴んで苦しそうにしているから、
(ただ事じゃないな)と悟った。
ひな君をストレッチャーに乗せて、凉矢に任せた後、残して来た友ちゃんの元に急いだ。
「友ちゃん。待たせてごめんね。辛い所ない?」
「うん。朝より楽になったと思う」
「良かった」
「友のことよりさ、お兄ちゃんの所行っていいよ」
「えっひな君のとこ?何で知ってるの?」
「色々な人が話してたから…」
「友ちゃん…」
「友ね、大人しく寝てるから‥心配しないで」そう言って友ちゃんは布団に潜り込んだ。
「友ちゃんありがとう」そう言って友ちゃんの頭をなでると、友ちゃんは天使の笑顔を見せて、眠りについた。
「凉矢!ひな君は?」ひな君の病室の前にいた凉矢に聞いた。
「陽斗君?今寝てるよ」病室に入ると、『気持ちよさそう』とは言えないけど、さっきよりも楽そうにしている陽斗が寝ていた。
「で、凉矢。何か知ってるんだろ?ひな君のこと」
「陽斗君?」
「とぼけるな!ただの風邪じゃないだろ?これ…」
「俺からは言えない。陽斗君にさ、直接…」
「ひな君に?」
「あぁ。起きたら教えるから…」
「教えてもらわなくても、ひな君が起きるまでここで待つけど…?」
「朝日、寝てないだろ?」そう言われて見ると、夜中の1時くらいに友ちゃんの酷い咳で起きて、それから心配で眠れなかった。
「分かった。隣の仮眠室で寝てるから、起こせよ」
「了~解」