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第47話 「決闘の余韻」


炎魔将グレンとの決闘が終わった後、王城の空気はまだ少し張り詰めていた。

決闘場を後にしたホークスは、王城の石造りの廊下を歩いている。

その隣にはレギンの姿があった。


夜はすでに近い。

女王の計らいにより、ホークスはその夜王城の客室に泊まることになっていた。

そして今夜は――新たな六魔将としての歓迎を兼ねた晩餐が開かれる予定だった。

しばらく無言で歩いていたレギンが、ふっと息を吐いた。

「……正直、冷や冷やしましたよ」

ホークスが横目で見る。

「そうか?」

「ええ」

レギンは苦笑した。

「先程のグレン殿との決闘です。あそこまで追い込むとは思っていませんでした」

ホークスは少しだけ目を細める。

「……最後のは、少し大人げなかったかもな?」

「……少し…ですか?」


自分でもわかっていた。

あの時、確かに感情が出た。

グレンがギルドを侮辱した瞬間、胸の奥で何かが弾けた。

魔界での四年間の間に関わったギルドメンバー。

そして、神界で懸命に戦っている仲間達。

あれを馬鹿にされて――冷静でいられるほど、ホークスは大人ではなかった。

「感情的になったな、まだまだ未熟な証拠だ」

ホークスは静かに言う。

「これを戒めにする」

レギンは少し驚いたように目を細めたが、すぐに笑った。

「自分の仲間を悪く言われれば、誰だって気分は良くありません」

「その気持ちは分かります」

騎士団長としての言葉だった。

ホークスは軽く肩をすくめる。

「さすがは騎士団長様ですな」

「これはこれは闇魔将様、お戯れを」

レギンも冗談めかして返し2人とも笑っていた。


やがて二人は客室の前に辿り着く。

王城の中でも上等な部屋らしい。

レギンが軽く頭を下げた。

「晩餐の時間になれば執事が迎えに来ます」

「では、私はこれで」

「かたじけない」

ホークスは軽く手を挙げる。

レギンは静かに去っていった。

ホークスは扉を開け、客室に入る。

広い部屋だった。

大きなベッド、暖炉、豪華な椅子。

客を迎えるための部屋らしく、どこも整っている。

「……すげえな、今まで見た中で一番だな」

ホークスは思わず呟いた。

魔界で野営していた生活からすると、別世界だった。

とりあえず水を浴びる。

魔道具のシャワーからは温水が出てくる

「これだって安くはないだろ、王族すげぇな」

驚きつつ戦闘の汗を流し、身体が少し軽くなった。


用意されていた着替えに袖を通し、椅子に腰を下ろす。

そして、ふと――

グレンの言葉を思い出す。

『ギルドメンバーなんて――』

そこまで思い出して、ホークスは目を閉じた。

「……俺もまだまだだな」

感情的になった。

それは事実だ。

だが、同時に思う。

ギルドはただの傭兵集団ではない。

少なくとも――ホークスにとっては違う。

カリン。

シルバー。

ウィン。

様々な顔が脳裏をよぎる。

「……」

しばらく静かに座っていたが、やがて立ち上がる。

その時、扉が叩かれた。

「ホークス様。晩餐の準備が整いました」

執事の声だった。

「今行きます」

ホークスは運ばれていた正装に着替え、扉へ向かった。


第47話―終


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