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罠迷宮の管理主   作者: 久吉
33/43

30話 セントール

夕方あたりにまた更新……できるといいなぁ。



そろそろ別の国に行ってもいいかもしれない、ナオヤはそう思った。前々からどこか人間の国に行きたかったがジュノーの一件から様子見をしていた。しかし! そろそろジュノーでのほとぼりも冷めたころであろう。


という事で早速、セントールへと向かう事にした。

なぜ、セントールなのか。それはジュノーの次に近いという理由も確かにあるのだが……一番の理由はセントールで育てているという食物だ。ここ、セントールは水が豊かであり、土も肥えている。農業には持ってこいの場所なのだ。



この迷宮での食事も狩りを行うことによって少しはマシになったがそれでもとても元の世界には及ばない。前回、ジュノーに行った時は結局見て回る暇もなかった。


今回こそは、そう考えているのだ。




さて、ここでいつもどおり問題になるのは……誰を連れていくかという事である。うん、一体誰を連れて行こうか。ぷに子は何としてでもついて来ようとするだろう。


しかし、前回町へと連れて行ったのはぷに子とミア。ならヘルとミーちゃん? ただなぁ、ヘルとミーちゃんを連れて行くと絶対目立つことは避けられない。なんせ、竜だ。そう竜なのだ。目立つことはどうやっても避けられないだろう。


まあ、ミアといい、目立つことが避けられないのは今更かと思わなくもないのだけれども。


そのことを踏まえ、俺が出した結論は……


「よし、今回はミアとヘルを連れて行くとしよう」


「!!」

『おいおい、俺はぁ!?』


しばしの沈黙……もなく、上がる批判の声。まあ、それは予想していた事だ。なので俺はあらかじめ考えておいた言い訳の言葉を発する。


「ぷに子は前俺と二人きりで出かけただろう? それにジュノーにも連れて行ったじゃないか。後、ミーちゃんは町に連れて行くとあまりにも目立つからな……」

 

これで納得してくれるといいんだが、勿論納得するはずもない二人。仕方がないなぁ。

「ほら、ミーちゃん。ヘルがいない間は探索者を狩り放題だぞ」

『そ、そうだな! そういう事なら……』

 と、探索者を独り占めできるのを想像したのか、ほのかに口からよだれを滴らせ、あっさり納得するミーちゃん。ちょろい……それでいいのか竜と心配になるちょろさである。



「ぷに子はミーちゃんの見張りとサポートをお願いしたいんだ。ほら……ミーちゃんだけだと心配だし。ぷに子なら安心して任せられるからな」

「……!(むぅ、そういう事なら仕方ないなぁ。でも、今度は二人でどっかに出かけようね!!)」

「あ、ああ」

 しっかりと釘を刺されてしまった。まあ、今回はどうにかなったのだしいいとしよう。これで一緒に出かけるのはヘルとミアで決定だ。



 そう気軽に考え、セントールへと向かう事にしたのだが……これがナオヤ達の後々を大きく変えることになるなど今のナオヤ達が知るはずもないのだった。




 迷宮、ファフニールから南へと少し向かった先。少し、と言ってもジュノーよりはよっぽど遠い。美しい湖が隣にあるその国は農業や、酪農が盛んにおこなわれており、作物が豊富であり、人族の食料事情を支えているのだ。



 その国、セントールへとやってきたナオヤ達は……国に入れずに入口で止められていた。

「何だ、お前らは!」

「あー、セントールへと観光に来たんですが……」

「そのような怪しげな魔物達を連れてか!?」


怪しげな魔物達、達と言うのは恐らくミアも入っているからなのだろう。ミアの白髪はこの世界では珍しく、いままで何度も魔物扱いされ、忌避されたという話を聞いた。



ミアの方をちらりと見ると、辛そうに、けれどその顔を表に出すまいと必死に抑えている様子が目に見て取れた。



 その様子にこれはもう、目の前の門番たちを殺して入ってしまえばいいんじゃないかな? と物騒な事を考えすぐに思いなおす。そんな事をしたら入国できないのどころか、これからお尋ね者になるに違いない。


 ジュノーではこんな面倒くさい事なかったのになぁ、目の前の俺達を警戒する門番たちを傍目にほのぼの思う。


……ジュノーでは国が大きすぎて、未だに大きくなっていることもあり、城壁を作るのは不可能だとみなされ、結界を設置するに留められているのだがここ、セントールではそのような事はない。


国を囲む立派な城壁、その入り口にはきちんと入国するための審査がある。とはいえ、審査と言ってもそれほど厳しいものではなく、大抵のものがあっさりと入れるのだが……いくら何でもナオヤ達は怪しすぎた。


 この世界にはほとんどいない白髪の女性……もはや魔人と言われた方が信じやすい。そして隣にはヘルハウンド、そんな魔物を従えている魔物使いなどほとんどいないし、もし、いるのであればとっくに噂になっているはずなのだ。もはや魔物の集団、と言われた方が信じられるというものだ。



「身分証は?」

 門番の一人がナオヤ達へと尋ねる。この世界で共通して使える魔物狩り達をまとめているギルドが発行している身分証、それは身元、それに魔物狩りとしての等級が記載されており、どこでも自分の身分を示してくれるものである。


勿論、魔物狩りだけでなく、商人や貴族といった国から国を移動する者達の間でも利用されている。その中には観光者、と言ったものも含まれるわけで……尚更、ナオヤ達が身分証を持っていないのはおかしな話なのだ。


 

 どうしたものかと悩むナオヤ。正直こんな事になると考えていなかったのだ。どうしたものかと悩んでいると……後ろから騒々しく聞こえる声。


「勇者様だ!」

「あれが、勇者様なのか」

「ああ、噂によるともう既に金級ほどの実力があるだとか……」


 勇者、かぁ。そんな存在がやっぱりこの世界にも存在するんだなぁ、と思う。元の世界では勇者、なんて存在おとぎ話、作り話の世界だけのものだった。その勇者と呼ばれる人間はこちらへとやってくる。一体、どんな人なのかと思い、目を向け……絶句した。


ほんのりと茶色の短髪、俺とさほど変わらない身長、すらっとした体なのにその身はひきしまり、筋肉質な体。

「リョウ……?」

「……ナオヤなのか?」

 そう、それは元々いた世界、俺が住んでいた孤児院。そこで一緒に育ち、同じ時を過ごした幼馴染だった。




 

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