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黒い夢と赤い夢Ⅱ ――女騎の復讐――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 拷問の歯車 ――デスペリア支部――
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第5話 事件の引き金を引く者

※クォット視点です。

「…………?」


 わたし達は、最深部にある独房前で呆然と立ち尽くしていた。その独房には誰もいなかった。いや、本来はいるハズなのだ。


「フィルド副長官、いないですね……」


 そう、ここに本来であればフィルドがいるハズだった。なのに、独房の中には拷問具しかない。……いや、血の付いた拷問具ばかりだ。まさか、――。


「ねぇ、あなた国際政府のクォット将軍でしょ?」

「…………?」


 近くの独房から話しかけられる。そこには、やはり傷だらけのクローンがいた。ネーム・プレートにはハーブと書かれている。そうか、オリーブとシリカの仲間か……。


「ここにフィルド・クローンのオリジナルがいなかったか?」

「国際政府の副長官でしょ? 確かにいたわよ。でも、数日前にコマンダー・アレイシア将軍がディメント支部に連れて行ったわ」

「なにっ!?」


 スロイディアは驚愕の声を上げる。わたし達はずっとフィルドがこの施設に収監されているものだと思っていた。いや、確かに収監はされていたが、今はもういないらしい。マグフェルトから貰った情報だと、処刑当日にディメント支部に連行されるハズだったが……。

 わたしは剣を抜き取り、ハーブの入れられている独房の鉄柵と内部のバトル=メシェディを斬り壊す。彼女なら、出してやってもいいだろう。


「あ、ありがと!」

「さっき、オリーブも助け出した。シリカも見つけ出してやりたいが、すまない、時間がない」

「いいよ、出してくれただけで。後は自分でやるから!」


 ハーブが走って行こうとしたときだった。来た道でもある後ろから、ロボットに声をかけられる。


[侵入者3名、脱獄者1名を発見!]

[……皆殺しにしろ]

「…………!」


 後ろにいたのは、黒色のマントを羽織った鋼の指揮官ロボット――バトル=タクティクスと、部下のバトル=メシェディが数十体。デスペリア支部の兵士たちだった。


「またか」

「ここで捕まるワケにはいかない」


 ここにフィルドがいないと分かった以上、次に向かう場所はディメント支部だ。もうデスペリア支部に用はない。

 我々は剣を抜き、数十体のバトル=メシェディに飛びかかるようにして先制攻撃を喰らわす。数体があっという間に斬り倒されるが、残りのバトル=メシェディは攻撃をかわし、アサルトライフルで撃ってくる。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 わたしは1体のバトル=メシェディに素早く迫り、その首を斬り壊す。倒れる前にその身体を掴み、別のバトル=メシェディからの発せられる激しい銃撃の盾代わりにする。

 銃撃を受けながら、盾代わりにしたバトル=メシェディを、銃撃してくるバトル=メシェディに向かって突き飛ばす。そのバトル=メシェディは、壊れた仲間の身体を蹴り飛ばし、自身に当たるのを防ぐ。

 だが、わたしはその一瞬の間に、そのバトル=メシェディに近づき、細い腰を斬り裂く。上半身と下半身が分かれ、そのロボット兵士は機能を停止する。


「行くぞ、クォット!」

「分かっている」


 わたし達はある程度のバトル=メシェディを片付けると、残りは無視して、来た道を戻る。すでに、ハーブはどこかに行ってしまい、側にはいなかった。

 ……このとき、わたしは気が付かなかった。


[ヤツらを追え]


 わたしが最後に倒したバトル=メシェディの腰には鍵が付いていた。


「はぁっ…ぁ、クッ……」


 牢獄から延びる傷だらけの白い手。石造りの床に転がったバトル=メシェディの腰を引き寄せ、鍵を奪う。


「こ、殺してやる、アレイシア……」


 鉄格子の側に座り込んだ彼女は、同室のバトル=メシェディに気付かれないように、そっと手足の錠を外す。外のバトル=タクティクスは我々ばかりに気を取られ、気が付かない。


「フフッ、ありがとな……」


 鎖を外すと、彼女は何事もなかったかのように動きを止める。近くからバトル=メシェディたちが消えるのを待っていた。


[タクティクス・サード閣下、侵入者を止められないようです]

[数人と見て甘く考えたな。仕方ない。このことはデスペリアの信頼に関わる。もみ消せ]

[分かりました]

[我々は脱獄者――ハーブのみを捕えるぞ]

[イエッサー]

「…………」


 コマンダー・クロア。万人殺しの異名を持つ彼女は、“その時”を待っていた。かつて、彼女は連合軍の准将だった。何度も戦いの状況を見てきた。そのときの経験を生かし、冷静に、脱獄できる最大のチャンスを待っていた――。





























































 我々はデスペリア支部から脱出することに成功した。デスペリア支部の管理官バトル=タクティクス・サードからすれば、後はハーブの逮捕だけだと思っただろう。だが、デスペリア支部に起こる真の事件は、これからだった。

 そして、その事件は、この数時間後に勃発するディメント支部の戦い――もっといえば、ラグナロク大戦全体に大きな影響をもたらすことになる。

 それを、乗ってきた小型飛空艇に乗るわたしは、まだ気が付いていなかった――。
















































































「さぁ、始めようか……」

※第3話でアレイシアがデスペリア支部にいたのは、フィルドを連行するためです。シリカと話した後、フィルドをディメント支部に連行しました。



  <<デスペリア支部の囚人たち>>


◆コマンダー・オリーブ

 ◇シリカやハーブと共に連合政府グランド・リーダーのティワードを殺そうとしたクローン少将。クォットに助け出された。今も監獄内にいる。


◆コマンダー・ハーブ

 ◇シリカやハーブと共に連合政府グランド・リーダーのティワードを殺そうとしたクローン少将。クォットに助け出された。今も監獄内にいる。


◆コマンダー・シリカ

 ◇シリカやハーブと共に連合政府グランド・リーダーのティワードを殺そうとしたクローン少将。今も監獄内で拷問されている。


◆コマンダー・レンド

 ◇国際政府軍の軍人を大量に殺し、降伏した市民を自分の気分で何度も虐殺したクローン少将。剣を武器としている。


◆コマンダー・クロア

 ◇万人殺しの異名を持つクローン少将。戦いになると、敵味方・軍民問わず虐殺し、1万人以上を殺すことから、その名が付いた。


◆コマンダー・ブラッド

 ◇降伏した国際政府軍人を生きたまま解剖し、心臓を取り出したクローン准将。その様子を中継し、事態を重く見た連合政府は彼女を逮捕。デスペリア支部に収監した。


◆コマンダー・デリート

 ◇連合政府の政治に反対する市民に向かって毒ガスを撒き散らし、無差別殺戮を行ったクローン准将。



※デスペリア支部には上記以外にも120人ほどの囚人がいます。

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