表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
750/754

123.精霊の寵児 42


 呪文ルキのみの発動は、感覚的理解が大きく関わっている。


 勘がいい者はすぐに取得し、馴染めない者は時間がかかった。


 セクルト貴院校でも、魔法は「貴族籍の必須の嗜み」の認識だ。


 能力の高さは羨望を受けるものの、能力の高低は騎士および騎士家系以外、政治的駆け引きに使えなかった。


 長年、近隣国との戦争がないサヴィス王国は、魔法取得の必要性が低かった。


 武力、魔法の鍛錬を重視する騎士も、自国内の警備、犯罪者等の取り締まりに必要とし、他国との争いに必要との認識はない。


 ファ・ディーンは違う。


 国境警備――境界警備の戦場を目の当たりにしてたゲオルクは、魔法習得の必要性を痛感した。


 魔法だけでない。


 剣技なり体術なり、武術的訓練も必要だと切迫した想いを抱いた。


 ――考えは当たっていた。


 アグロテウスに教えを請うた時。


 彼はあっけらかんとこう告げた。


『いいよ。寿命が延びたね?』


 笑って告げるアグロテウスの目の奥は――寒気を感じるほど冷淡だ。


寵児ディーバの伴侶条件は知ってる?』


 教えを請うたゲオルクに、アグロテウスは涅槃姿で宙を浮きながら、世間話のような軽い口調で続けた。


 首を横に振るゲオルクに『ふふん♪』と得意げな笑みを浮かべ、得意げに続けた。


『一つ、古の家系(エタニティ・クラン)であること。

 二つ、寵児ディーバの選出者であること。

 三つ――僕たち、精霊神が認めた者であること』


 明るく、くつくつと笑いながらアグロテウスは告げる。 


 だが。


「――――っ!?」


 最後の条件を告げたアグロテウスから、重圧を伴った威圧感が、ゲオルクに向けられた。


 重しを乗せられたような空気の重圧、呼吸も苦しくなるほどの圧迫感。


 立っていられなかったゲオルクは、アグロテウスに礼をとるように見せて、片膝を立てた形で膝をおった。


 片膝をついて、頭を垂れる姿勢で、呼吸を確保する。


 ――礼を取るように見せて、苦痛の少ない体勢をとったのも、アグロテウスには見抜かれている。


 うつむいて顔が見えないが、向けられる視線から、溢れる感情が伝わってきた。



      そなたは、フリージアにふさわしいのか?



 感情と同時に、付随する情報も伝わった。


 ゲオルクが婚約者となったのは、フリージアの要望、オズマが伴魂である点が大きかった。


 婚約者時点では、精霊神の意向はほとんど採用されない。


 精霊神の選定は、婚約後、大きく作用する――。

 




連日更新15日目です。

半月継続できました!


X(ツイッター)で、更新お知らせ始めました。

https://twitter.com/taka_sui_x

アカウント @taka_sui_x

#異世界転生

#猫

#小説更新

#創作小説

#小説家になろう



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ