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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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119.精霊の寵児 38


 国境警備戦場の場に。


 フリージアに盲目的に好かれているとは思えないが、嫌われてもいないと、ゲオルクは思っている。


 フリージアとの政略結婚をしてもしなくても、婚姻前に国境警備の戦場を知られてるのは不利益なはずだ。


 ゲオルクの問いに、フリージアは、より一層オズマを抱きしめて、体毛に顔を埋めた。


「嘘を――つきたくなかった」


 大変な国境警備を知らせないままの婚姻を、フリージアは疑問視していた。


「実情を知ってから婚姻するか否か、判断すべきだ」と。


 国境警備は危険だ。


 その事実を隠したくなかったと、オズマに抱きついたフリージアは、へらりと笑う。


「断るなら、早めに返事が欲しい」


 眉先を下げた、力ない笑みを。


「次の候補選定がどうとか……急かされてる」


 困り顔で告げるフリージアに、ゲオルクは思考が停止した。


「……断る?」


 顔を強ばらせるゲオルクに、フリージアがうかがうように、そろりそろりとつぶやく。


「婚姻が嫌だったから、不機嫌だったのだろう?」


 不機嫌だったが、それは休暇中、セクルト貴院校に残りたかったからだ。


 フリージアとの婚姻話を、ゲオルクが知らなかった。


「それは……っ」


 言いかけて――言葉が続かなかった。


 違うと答えて「では婚姻はどうするのか」と聞かれても、ゲオルクは答えに詰まる。


 フリージアとの婚姻は、考えていなかった。


 ――互いに対象外だと、ゲオルクは思っていた。


 フリージアもゲオルクも、共に第一子だ。


 サヴィス王国は、性別より生まれ順を重視する。


 フリージアもゲオルクも、自分の家を継ぐのだと思っていた。


 フリージアの婚姻相手は、少々年が離れるが、五つ年下の弟、ロジェスが候補だろうと、ゲオルクは思っていた。


 その点もあって、自分はファ・ディーンへ行かずともいいのではと思っていたのだ。


 フリージアとゲオルクの婚姻。


 フリージアの話ぶりでは、エルド家――エルディナード公爵家だけでなく、ゲオルクの家、ルスター家も承諾しているようだ。


 家同士の繋がりを目的とする婚姻は、当人の意志は軽視されがちだ。


 フリージアは「無理に進めたくない」と、ゲオルクの想いを確認したのだ。


 ゲオルクは困惑した。


 フリージアとの婚姻はあり得ないと思っていたと同時に、考えないようにしていた。





連日更新11日目です。

朝は間に合いませんでした……。

仕事から帰ってから書いて、どうにか間に合いました。

連日更新で間違いないですよね?(汗)


X(ツイッター)で、更新お知らせ始めました。

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アカウント @taka_sui_x

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