118.精霊の寵児 37
フリージアは笑みを消して視線を落とし、より一層オズマを抱きしめた。
彼女の不安が、ゲオルクにも目に見えた。
「今日の警備は――以前は父上がされていた。
私が――父上を助けようと、アグロテウスの力を借りて魔法を使って、倒れてから――魔法を使っても倒れないよう、鍛錬してから――そう、できるようになってから――。
次第に父上は、警備から遠ざかった。
始めは「お忙しいから」と思っていたが、頻度が増え、年に一度も警備につかなくなった。
前公爵――おじい様は、国境警備に注力されていた。
「領民に示しがつかないから、国境警備に参加して欲しい」
そう父上に進言しても――。
「寵児が対応するから、充分だろう」
――と……言われた」
抱きしめるオズマに、フリージアは顔をうずめる。
「元々父上は、物質的な争いごとを厭う人だった。
それでも「公爵家跡継ぎ」の肩書きが、父上を奮い立たせていた。
そんな父上の矜持を――私が手折ってしまった」
オズマの首元に顔をうずめ、フリージアは話す。
そうした経緯でフリージアは国境警備に従事するようになり、大々的な魔法を使う時は、公爵の許可を得るようになったという。
公爵の許可を得るのは、フリージアが公爵をたてていると、対外的に示すためだ。
ファ・ディーンの長は、公爵とするために。
「すまない。こんな話をして」
言って、フリージアは苦笑する。
その笑みは痛々しげで、これまで、相談できる者がいなかったのだろうと感じられるものだった。
公爵は領地経営を図り、警備はフリージアが主体となる――。
それがファ・ディーンの――エルディナード公爵家領地の体制だ。
おそらく、朝の散策――国境警備が日課だと、ゲオルクを誘ったのは公爵の意図だろう。
公爵は「普通の散策」で終わらせるつもりだった。
実情を見せたのは、フリージアの思慮だろう。
ゲオルクは、ほぼ確定しているフリージアの伴侶候補だ。
貴族籍の政略婚姻だとしても、ゲオルクが本気で拒否し、ルスター家が「危険な場所だと知らなかった。婚姻の件は白紙にして欲しい」と願い出れば、エルディナード公爵家は承諾せざるを得ない。
それほど戦況地帯は、サヴィス王国では希少な地域だった。
――負の意味で、だが。
「――なぜ……」
潜入者との戦闘の場を見てから、ゲオルクはずっと不思議だった。
「あの場に、連れだった?」
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