表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
736/754

109.精霊の寵児 28


 驚くゲオルクに、アグロテウスは苦笑する。


『ディアは、知識を得ようと貪欲な人間を好むから。

 ラドフィクトは知識の習得も優秀だったから、ディアの好む人間だったんだ。

 ディアはラドフィクトを守護しても、他の精霊神の誰かが王族長子を守護できると思っていた。

 僕たちもそう思っていた。 

 ――正直なところ、僕たちの誰も、高慢なラドフィクトの兄兄を守護したいと思わなかった。

 守護する順番は決まっていたから、ガイアーティス――ガイが、渋々ながら請け負うはずだった。

 だけど、ガイが守護を与えようとしてもできない。

 なぜか。

 後に、ディアがラドフィクトを守護したためだと判明した。

 理由が判明してから、ラドフィクトはひどい冷遇を受けていたよ。

 人の世界では――特に王族では、長子が絶対だからね。

 ラドフィクトが心根を折らず、誠実でいられたのは、彼が追いやられた先――ファ・ディーンの人々が、彼を受け入れたからだ。

 王都から見れば、僻地で質素倹約、不自由が多く、自然に根ざした生活を送っていた。

 ラドフィクトは、村では付き人が常時付きそう、村民からすれば不可解な状況だった。

 ラドフィクトは王城では経験しなかった、身の回りのことは自分で対処するよう強いられた。

 高慢なラドフィクトの兄なら、かたくなに拒否しただろうが、ラドフィクトは即座に受け入れた。

 ラドフィクトにはその方が性にあっていた。

 ファ・ディーンで暮らす中、村の実情を知ったラドフィクトは、この地を国の防波堤にと考えるようになったんだ』


 ファ・ディーンは山深く、地形の入り組んだ土地だ。


 外来との交流が乏しいはずなのに、村は近隣国の侵入被害に悩まされていた。


 南北に長いファ・ディーンは、近隣国数国と国境が接している。


 山深く複雑な地形は、大群が押し寄せる侵は不可能。


 その為、国は関所を設けなかったが、近隣国から度々潜入されていた。


 潜入者と鉢合わせた村民が襲われた事例もある。


 国に対策を願ったが、潜入者は少数、被害者が僻地の村民だったため、うやむやとなり、結果、対策は講じられず、今に至る。


 そうした現状を、ラドフィクトはファ・ディーンでの生活で知った。


 大怪我を負った村民もいた。


 幸い、一命は取り留めたが――。


 そうした実情を、ラドフィクトは重く受け止めた。



    潜入者は少数だから大事ない


 

 そう政府中央機関は思っているが。


 根本的な考え方が間違っていると、ラドフィクトは思う。



X(ツイッター)で、更新お知らせ始めました。

https://twitter.com/taka_sui_x

アカウント @taka_sui_x


連日更新カウント1日目。(更新しない日があったら、カウントリセットします)

毎日更新目指してますが、なかなか上手くいきません……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ