105.精霊の寵児 24
ゲオルクのつぶやきに、アグロテウスが驚いて――『まいった』とばかりに両手をあげる。
『ジアが夢中になるはずだ』
「誤解を生む言い方は如何なものかと――」
『誤解じゃないよ。
僕はジアの守護精霊だよ?
意識の共有もするのだから。
僕もね?
大蛇の一件から君には一目おいてたけど。
あくまで「多数存在する人の中で「ジアを助けた」人」として認識するだけだった。
だけど今は――君にとても興味がわいてきた』
好奇心に満ちた顔で告げるアグロテウスに押されながら、ゲオルクは困惑するばかりだ。
「なぜ――」
『遙かなる記録。
あの話の流れで、普通、そこに行き着かないよ』
「そう――でしょうか」
『では訊ねるけど。
僕とジアの関わりから、遙かなる記録はどう関係する?』
ゲオルクは返答に困って――結果、思ったままを口にした。
「精霊神様と人との関係性ですから、遙かなる記録――サヴィス王国の創世記の話と似ていると思っただけです」
『――君は「遙かなる記録」をどう解釈する?』
「解釈?
創世記の記述でしょう?」
『それをどう思うの?』
「どうと言われましても――」
アグロテウスが何を聞きたいのか。
ゲオルクは戸惑った。
戸惑いながらも、アグロテウスとの会話、彼の言動、表情、感情から、ふと、思いいたる。
「過去の史実でしょう?
だからこそ、王族は他の民と一線を画し、この国の統率者であるのです。
王家、ウォルチェスター家は、光の精霊神、エターナルローズの子孫――精霊神と人との間に生まれた子の血筋を受け継ぐ一族ですから。
他の貴族籍となど、比べようもないでしょう」
ゲオルクの話を、アグロテウスは満足そうに聞いていた。
満足そうに聞いた後、ゲオルクが一呼吸おいたのを見計らって、アグロテウスが口を開く。
『よく学んで自分なりに理解し、修得しているね。
君の知識に手放しの賞賛を与えると同時に、豆知識を送るよ。
――エターナルローズの血筋を受け継いでいるのは、ウォルチェスター家だけじゃないんだ。
エルディナード公爵家も光の精霊神、エターナルローズの直系なんだ』
◇◇ ◇◇
サヴィス王国創世記。
村が点在する現サヴィス王国領地に、一人の若者がいた。
若者は人々の生活をよりよくしようと奮闘する。
その若者を好ましく思った光の精霊神、エターナルローズが若者に助力する。
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