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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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103.精霊の寵児 22


 それらの状況を見たアグロテウスが、面々に――大人達に告げた。


 明るい声で――冷徹な内容を。


『本当はね?

 僕を使役したジアには、伴魂はつけられないんだ』


「――――え?」


 驚きの声を、フリージアの両親があげる。


 アグロテウスはフリージアの両親と、居合わせた大人達に笑顔を向けながら――感情のない言葉を継げる。


『体と精神が安定するまでの、仮の媒介者だからね。

 僕たち精霊神が幼少期から関与した結果、影響を受けて弊害が現われたことも過去にあったから。

 その用心として取られた仕組みなんだ。

 小で慣らして僕たちを受け入れられるように。

 逆に。

 精霊神との繋がりをもったあと、伴魂は持てない。

 伴魂の位置に、精霊神がいるから。

 小から大には移れるけど、大から小には移れない。

 ジアは――心身弊害の心配はないようだけど。

 人の世界を――住みにくくなるかもだね』


 言葉を失う大人達に、アグロテウスは肩をすくめて苦笑する。


『ごめんね? ちょっとを試させてもらった。

 男児の命より伴魂を選んでいたら、ジアを僕たちの世界に連れて行くつもりだったから』


『あはは~』とアグロテウスは笑うが、聞いている者達にとっては笑い事ではない。


 呆然とする大人達に、アグロテウスは軽口を続け、再度、説明する。


『伴魂は僕たちの世界と人との世界の媒介者。

 それはわかっているよね?

 ジアが僕たち精霊神の加護を受ける存在とも、わかってるよね?

 ――だけど。

 幼子に、僕たちの直接的な加護は弊害があることもあるから、心も体も安定して守護を受け入れられる年になるまで、伴魂を定めて媒介になるよう、これまでされてたけど――。

 ジアは僕を受け入れられた。

 伴魂決まる前に、ジアの望みに僕が応じたから、関係性は僕に移るんだよ。

 伴魂から精霊神に、繋がりの移行はできても、精霊神から伴魂に繋がりの移行はできない。

 伴魂を持たなくても魔法が使える――それがジア――フリージアだ』


 何とはない、世間話のように話すアグロテウスの話は、その場に居合わせた大人達に多大な衝撃を与えた。


 続けて、アグロテウスは釘を刺す。


『人と人との諍いは僕たちには関係ないけど。

 寵児ディーバが危険にさらされることは、今後ないようにしてほしいものだね』


 後に、大蛇は王位継承絡みで、フリージアを危険視する一派が仕組んだことだと判明した。





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