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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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96.精霊の寵児 15


 眼下の戦況を確認して、フリージアはつぶやいた。


「テス――」


 つぶやきに応じて、赤髪の美青年がフリージアの傍らに、宙に浮いた姿で現われた。


「――頼む」


『了~解~♪』


 フリージアの願いを、テスと呼ばれた男性は、軽い調子で応じる。


 フリージアは、ゲオルクに聞こえない小声で何かつぶやいた後、眼下に――戦況下に、腕を伸ばした。


火焔嵐フゥトゥーナ


 フリージアが唱えた魔法は、ゲオルクの知らないものだった。


 戦場で有用な高位魔法が存在すると、ゲオルクも知っている。


 それは騎士が用いるもので、一般貴族には知られていないものだ。


 貴院校の授業でも教わることはない。


 初めて聞いた魔法でも、ゲオルクはそれが呪文ルキだと感じた。


 実際、フリージアの呪文ルキにより、炎の嵐が敵兵を襲った。


「うわぁぁあああっ!」


 衣服や手にする武器が燃え、敵兵達は混沌とする。


 戦況下の、互いに接近した場だというのに、火焔は敵兵だけを襲い、自国兵に害はなかった。


 錯乱した敵兵は、相手かまわず、敵兵だけでなく、同士も攻撃した。


 混沌とした戦況の中――錯乱した敵兵が、ゲオルクに矢を放った。


 呆然としていたゲオルクは、その矢に気づけず。


「っ! オズマっ!」


 気付いたフリージアの声に、オズマは瞬時に答え、ゲオルクに向けられた矢柄に噛みつき、主を守った。


 この時のゲオルクは、思考が追いつかず、呆然とするばかりだったが。


 後に思う。


 現場に向かう際、フリージアがオズマの解放を告げたのは、ゲオルクを守らせる為だったのだろうと。


 同時に――思う。


 フリージアは、オズマに――他人の伴魂に関与できる。


 命じられる。


(あり得ない――)


 ゲオルクはそう思いつつ「フリージアは別格」との思いを持ち始めていた。


 戦場、得体の知れない青年、高位魔法……。


 目の前で起きた出来事に、ゲオルクはただただ、呆然としていた。




      ◇◇       ◇◇

 



 その後――。


 眼下の、自国、サヴィス王国民が優位とみれる戦況を見た後、ゲオルクはフリージアに言われるまま、駆ける馬の後をついていった。


 ゲオルクの傍らにはオズマが併走している。


 フリージアが呼んだ赤髪の青年も、フリージアの傍らを、宙に浮いて併走していた。


 ――フリージアの後を追うゲオルクを、時折鼻じろむ表情を向けるのが不快だったが。


 フリージアに従い、着いたのは彼女の家、エルド邸だった。


 馴染みある邸宅に安堵するゲオルクとは反対に――フリージアは激しく動揺していた。





更新。

早くできるようになりたいです……。

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