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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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95.精霊の寵児 14


 その考えも、現場に到着して一変した。


 様々な疑念、困惑――言葉に表現しがたい感情が、ゲオルクの身の内で入り乱れた。



    ―― 戦場 ――



 眼下の雑木林では、自国の者と、明らかに自国民と容姿の異なる――褐色の肌、細かく波打つ茶髪の者達が争っている。


 サヴィス王国には無縁であるはずの光景が、眼下にあった。


 フリージアとゲオルク、オズマは小高い丘の上にいた。


『――おひい様』


 聞こえた小さな声の方を――フリージアの方を、ゲオルクは反射的に見たが、誰もいない。


『――その者は……』


 再度聞こえた声は、フリージアの肩にとまる白い小鳥から聞こえた。


(鳥が――しゃべった……!?)


 困惑するゲオルクを、小鳥はつと見て――側にいたオズマを見て『……ああ』と理解した。


『彼の者ですか。

 ですが、まだ正式には決まっていないでしょう?』


「その話はまたの機会に。

 状況は?」


 告げるフリージアは、表情も声も堅い雰囲気に包まれている。


 小鳥は不機嫌をあらわにしながら、フリージアに答えた。


『エプト国と思われる兵、およそ二十。

 精鋭なのでしょう。

 一人一人の能力も高く、連携も見事です』


(エプト国……?)


 この時のゲオルクは「エプト国」を知らなかった。


 サヴィス王国で知られる他国は、自国と交易の盛んな国だ。


 後に隣国の一つだと、セクルト貴院校の授業で知る。


 その授業も「隣国一覧」で国名だけ掲載されるだけのものだった。


 小鳥の話に、フリージアは眉を寄せる。


「エプト……?

 この前、偵察隊が来た国?

 記憶を消して返したはずでは」


『それが危機感を煽ったようにございます』


 エプト国の兵は「邪霊」「悪魔」「妖魔」と、対面する者に叫んでいると小鳥は告げる。


 小鳥の話を聞いて事情を察したフリージアは、大きなため息をついた。


「――父上に許可を」


 告げて数秒後、小鳥が目を閉じて一礼した。


寵児ディーバの御心のままに』



  寵児ディーバ



 その言葉にフリージアは眉を寄せたものの、何も言わなかった。


寵児ディーバ?)


 初めて聞く単語に、ゲオルクは訝る。


 フリージアも小鳥も、ゲオルクの表情に気付いていただろうが、このときは何も言わなかった。


 現状対応を優先した。


 小鳥を肩に止めたまま、フリージアは丘の端――状況を見渡せる位置に馬を進める。




前回更新から時間がかかりました。

すみません。

戦闘シーンは苦手です……。

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