表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
714/754

87.精霊の寵児 6


 魔法を使うには、伴魂の助けが必要だ。


 それはセクルト貴院校に通ってから特に感じたことだった。


 貴院校で魔法の授業を受けるまで、貴族籍は基本、魔法の使用を禁じられている。


 認められるのは、教員の資格を持った者に習う場合だ。


 認められているものの、基本として禁忌となっている。


 というのも、変な癖がつくのを恐れるからだ。


 万人が同時に教授されるものと、個と個で学ぶ場合とでは、教わる内容に違いが生じる。


 多数の中での教授は、おかしな箇所に気付けば、その場で話し合い、すりあわせが行える。


 個対個ではそれが難しい。


 魔法はセクルト貴院校で学ぶとなっているのは、そうした点を考慮していた。


 なのに、貴院校に通っていないフリージアは、水宴アクアフェスタを普通に生じさせている。


 ……伴魂が側にいないのに。


 魔法を施行するには、伴魂の助けが必要だ。


 リンクに納めた状態では難しい。


 ゲオルクも、魔法を使用する際はオズマを召喚する。


 小動物の伴魂で、衣服のどこかしらに隠していても、魔法を使用する際は、伴魂の姿が見えずとも、術者の側から伴魂の気配を感じられた。


 セクルトでの授業を思い出して、ゲオルクは眉を寄せた。


 フリージアのは伴魂が見えないだけでなく、伴魂の気配さえない。


 同時に――フリージア周囲の空気の異様さを感じた。


 魔法を発動させる際に感じる伴魂からの気配を、フリージア――もしくは彼女を取り巻く空間から感じたのだ。



    人は伴魂という媒体を経て、魔力を現実――自然界に関与させ、体現させる



 セクルト貴院校で、同級生が魔法を発動させた時とフリージアは様子が違った。


 どう違うと――上手く言えないが……。


 この時は不思議に思うだけだった。


 後に。


 ゲオルクはその理由を、知ることとなる。


 


         ◇◇     ◇◇



「ははっ。

 まいったな。

 道に迷ったみたいだ。」


「笑いごとじゃないだろっ!」


 いつものように、早朝の散策をしていた――はずだった。


 普段通り、馬に乗って散策に加わっていたフリージアが、つつつ、と、ゲオルクの側に馬を寄せる。


 かと思うと「競争しないか?」と持ちかけた。


 いたずらを思いついた子供のような表情で、だ。


「――しない」


 眉を寄せ、ゲオルクは断ったのだが、フリージアは聞こえなかったのか――聞く気がなかったのか。


「イザ丘の木の根元までっ!」


「――……っ! ちょっ――っ!」


 ちょっと待て!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ