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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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76.貴族裁判 69


 周囲の視線に、身の置き所の無い、いたたまれない気持ちになったが――ふと顔を上げたとき、フィーナと目があった。


 サリアと目が合ったフィーナは、安堵に目元と口元を緩めた。


 転移魔法で現われたフィーナは、不安に顔を強ばらせていた。


 フィーナの不安が、少しでも取り除けるのなら。


 サリアはそう考えて、自分自身を鼓舞したのだった。


 該当者が席に着いたのを確認して、国王グレイブは居合わせた面々を見渡した。


 この場にいる者達を確認した後、フィーナの側に居るアクアリューネを含む四精霊神に、最上級の礼を送った。


 そのグレイブの行為で、その後の段取りを察したアクアリューネが、ため息交じりに口を開いた。


『堅苦しい儀礼は結構。

 さくさく話を進めましょ。

 互いのことはある程度把握してるだろうから、発言時に名乗って、簡素な説明を』


 アクアリューネの言葉に、グレイブは大きく戸惑いつつ、従った。


 そんなグレイブの心情を察したゲオルクが、四精霊神に提案する。


精霊教会シルニーファについて先に話さなければ、理解を得がたいと存じます」


 国王グレイブは、同席者が自己紹介をする中で、個々人――特に精霊教会シルニーファ関係者を深掘りしようと考えていた。


 精霊教会シルニーファ


 この国に存在しながら、国のどの機関にも属しない組織。


 彼等は「国政に関与しない独立性」を信念としていたが、国家機関からすれば貴族籍者の能力に関与するため、下手に精霊教会シルニーファを軽んじられない。


 同時に、精霊教会シルニーファは、人々の正しい道、有るべき姿の指針となっていた。


 怠け心、悪しき誘惑、それらに心惹かれても、成人の儀等、精霊教会シルニーファと接触した者は深い感銘を受け、自身を律する。


 貴族籍、王族も、精霊教会シルニーファを詳しく知らない。


 各地に存在する教会は精霊教会シルニーファと精霊神を、彼等の許可無く崇めている者だ。


 サヴィス王国では、精霊教会シルニーファは秘匿の存在だった。


 グレイブは、この場を精霊教会シルニーファを知れる好機と思っていた。


 グレイブの言葉に、アクアリューネは眉をひそめた。


『どうして?』


「私どもの存在自体、この国では極秘事項に該当します。

 どの程度、ご存じか――」


『え? あなたたち、ゲオルク達のこと、わからないの?』


 スパン。


 ――と。


 核心を突かれ、グレイブは黙したことを返事とせざるをえなかった。


 押し黙るグレイブ達に、ゲオルクが助け船を出す。


「精霊神方々のお力をお借りして、私どもに関して認識の奥に封じる暗示を、国全土に施した故かと存じます」




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