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「役立たず鑑定士」と捨てられた俺、全部鑑定したら勇者より強くなった  作者: 愛田茶々


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第4話 厄介な鑑定士、忍び寄る影

毎日更新頑張りたいけど疲れるっぴ

「鑑定の依頼を引き受けてくれるのですね。こちらギルド直結の案件となります」


冒険者ギルドへの登録を済ませた翌日。


掲示板の端に"鑑定"の二文字を見つけた俺は、迷わずその依頼書を剥ぎ取り、カウンターへ持ち込んだ。


今からできる旨を伝えると、案内されたのはギルドの裏手に広がる巨大な地下倉庫だった。


ひんやりとした空気の中に、埃と錆、そして微かな魔力の残り香が混ざっている。


仕事は、ギルドが買い取った素材やガラクタの「仕分け」だ。


魔石の質や、薬草の種類を分類するだけの単純作業だが、かなり量がある。


倉庫には恰幅のいい男性職員が一人と、先客らしい冒険者が一人いた。


案内してくれた受付嬢が、職員に手短に引き継ぎを済ませ、持ち場へと戻っていく。


「鑑定スキル持ちなら楽勝だろう。お前さんの眼が本物かどうか、試させてもらうぞ」


男性職員が値踏みをするような視線を向けながら、いくつかポーションや未選別の魔石を差し出してきた。


「......うん、合格だ。じゃあ、そこの『ワイルドハント』の分を頼む」

「ワイルドハント?」

「あぁ、新入りだから知らんのも無理はないか。この街を拠点にしてるCランクパーティよ。あいつら、獲物は多いが詰み込み方が雑でかなわん」


職員が指さした山は、麻袋が不格好に膨らみ、獣の牙や草がはみ出していた。

俺は一人、その山と向き合う。


【赤魔石(極小)】

品質:劣

【ブルーハーブ】

品質:良

【鉄の小盾(破損)】

分類:盾

防御:-

耐久:-


……おもしろいように情報が流れ込んでくる。

実は、俺の鑑定レベルはLv3に上がっている。昨日ギルド登録終えたあと、街中の露店から路地裏のゴミ捨て場まで手当り次第に鑑定しまくった成果だ。


俺は淡々と、しかし確実に、ガラクタの山を「価値あるもの」と「それ以外」に分類していった。


────

作業開始から約一時間。


二つ目の山を片付けたところで、職員に促され、残った最後の一山をもう一人の冒険者と共同で作業することになった。


「この山が最後だから、終わったら外の職員に声をかけてくれ」


そう言い残し、男性職員は早々に倉庫を後にした。


「あんた、新入りか?」


不意に横から声をかけられた。


「はい、昨日登録したFランクの依人です。よろしくお願いします」


「俺はバナビーだ。掘り出しもんがあったりしておもしれえから、たまーにこうして小遣い稼ぎをしてんのよ」


バナビーと名乗る男は、俺の身なりを冷やかすように見つめ、鼻で笑うようにして作業に戻った。


俺も、目の前の山から麻袋をおろし、一つずつ仕分けていく。


淡々と仕分けを進めていると、隣で作業していたバナビーが苛立たしげに声をかけてきた。


「おい、新入り。そんなまじまじと見てたら日が暮れるぞ。選別は『勘』だよ、勘!その銀色の石は、こっちの廃棄箱だ。不純物が混じってて二銭にもなりゃしねえ」


バナビーが指さしたのは、依人の鑑定では

【銀の魔力結晶】

品質:並

詳細:銀の因子を含む結晶。特殊な触媒として使う。


と出ている。悪くない品に思えるが......

(なんで廃棄箱に?)


訝しんだ依人の目が、バナビーの動きを捉える。


男は「勘」だと言いながら、時折、価値のある素材を器用に弾き、後で自分が回収しやすい場所に紛れ込ませていた。


とんだネコババ冒険者もいたものだ。


だが、正義感よりも保身心が上回る俺は、あえて波風を立てるようなことはしない。



─────


「はあ?!買い取れねえだと?ここのダンジョンのドロップ品だぞ!」


仕分けを終え、完了報告をしにカウンターへ向かうと、そこは騒然とした空気に包まれていた。


「ですから、宝石類は専門の商人ギルドか商会へ......」


受付嬢が困惑した顔で対応し、先ほどの男性職員が横から助け舟を出している。


どうやら、冒険者が持ち込んだものに、買い取り不可の品が混ざっているらしい。


「チッ!だったら武具類だけでいい!早くしてくれよ!」


吐き捨てるように怒鳴った男が、カウンターから離れ、壁際で待機していた仲間たちの元へ戻っていく。


ふと、そのパーティの中に見覚えのある顔があった。


グレーの髪に、深く被ったフード。

......昨日の少女だ。


(え?あんな連中の仲間なのか?)


意外に思ったし、同時に暗い懸念が胸をよぎる。


粗暴で横柄な男と、貧弱で大人しい彼女。その対比に、歪な上下関係が透けて見えたからだ。


「やれやれ、あのパーティには困ったもんだよ」

男性職員がため息をつく。


カウンターには、男が投げ出した装備品が山積みになっている。

どれも手入れが悪く、粘りついた返り血のような汚れがたくさん付着している。


「今のは...?」

「ナイトレイヴンのリーダー、ゾルタンだ。黒い噂が耐えない男よ」


隣にいたバナビーが答える。

あんたも黒い噂ありそうだけどな、という感想は喉の奥に飲み込む。


山積みの装備品を片付け始めた職員が、俺の姿に気づいた。


「おお、終わったか!そっちのカウンターで依頼完了の手続きを済ませてくれ。助かったよ、また明日も頼みたいくらいだ」


俺の初依頼はあっさりと完遂した。この調子なら問題なく暮らしていけそうだ。

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