↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
麗しのハーフダークエルフの最恐魔王が勇者アリアにだけは甘い  作者: 久遠悠羽
第3章 滅びし王家の血と竜騎士の帰国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/146

第76話 贈り物合戦と母の出立

 

 ヴェイルとアリアの実質的な婚約により、アリアは侍女三人と宝飾品、成長すれば背中に生える石英が資材になる水晶竜クリスタルドラゴンの卵数体分を伴ってナザガランに仮寓した。

 ナザガラン側からはトラフェリアへ王家の紋章入りの宝剣、希少薬草、そしてアリア本人には加護聖石が付いた美しい婚約指輪が贈られた。


 仮寓したとはいえ、アリアは早速ミシュレラが率いる魔王軍第4部隊の副将の任に就き、彼女の元で軍統制の勉強を始めた。

 ヴェイルが望んだ通り、彼女はナザガランの将の一人として力を貸してくれるようになる。


 また、ドナウザーン公国からは詫びと婚約祝いとして、王族専用機竜である翠玉竜バトギオーク3頭に加え、希少貴石であるオパール色に輝く竜心石の大きな原石、そしてそれを加工してアリア姫に贈られた美麗な首飾りが届けられた。


 そこには、第2王子リオクを無傷で帰国させたことへの感謝の意も込められていた。


 ヴェイルは返礼として、またアリアが破壊した責任を取る意味も込めて、竜王城の再建用に構造強化型魔石一式を、巨石運搬に長けた炎竜フレイムドラゴン6頭と共に贈った。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 1週間程してナザガラン国内でのお祝いムードも収まって来たある日の事。

 ヴェイルは珍しく玉座に座っていた。

 普段は面倒で身に付けない王冠もキチンと被っている。


 彼の前には、パトラクトラと、跪いて首を垂れているタイカーシアの最高位魔術師のダークエルフ達八人がいた。


「では、王太后様をお借りいたします。少なくとも4日の後には帰国していただきますので」

 代表者が言う。


 主のいない闇竜アンライト達が人間を襲わぬ様、新しい餌の探究とそこへの集団移住をずっと模索していた研究者達だ。

 

 この度、闇竜アンライトがアイオライトに似たある種の貴石を、食料とする事が出来ると判明したのである。


 そこでタイカーシアの更に北、鬼族ラーキシャスの地に入ってすぐの場所に当たるのだが、各国管轄外の自然林中にある広大な貴石平原に、残存闇竜アンライト 40数頭を移住させる事が決まったのだ。


 タイカーシアのこの八人と、黒竜マギシラハラタウスを駆る魔術院高官でもあるパトラクトラが、彼らをその地まで引率して飛ぶ事になったのである。


「……危険な事はないのか? 通信用貴石の魔力通信が届かない範囲であろう? こちらからも数名飛竜を駆る者がいる。同行させようか」

 ヴェイルが心配して聞く。


「ご心配には及びません、魔王陛下。既に事前往復飛行済みで、危険箇所はない事を確認しております。海も超えますので……体力のある飛竜となりますと、パトラクトラ様のラタウス様、それにタイカーシアの紫炎竜ヴァンガニーロウでないと難しいと判断致しております」


「そうか。くれぐれも気を付けて行ってくれ。母を頼む」


「心配するな。じきに帰ってくる」

 パトラクトラが微笑んで言った。しかし、急に思い立ったように言う。


「ヴェイル。古代遺跡の調査の件だが……いろいろあって後回しになり、今は出立するから着いて行けないのだが」


「その件に関しては母上がおられなくとも厳選した人員で行く予定ではありますが?」

 ヴェイルが不思議そうに聞く。


「いや、調査は良いのだが、ナザガラン側から入って奥の、鬼族ラーキシャスの地に跨っている部分には、私がいない間は入らない様にしろ。古代エルフ由来の魔法が効かなくなるのだ。……それにその場には嫌な感覚がする」

「はい。肝に銘じます」


 彼が答えると、パトラクトラは頷いて、礼を言って退場する八人の研究者と共に玉座の間から出て行った。

 その背中を、ヴェイルは何故か不安な面持ちで見送った。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 アリアは以前、ナザガランに短期滞在していた部屋を与えられていた。

 引っ越しや手続き等に暫く追われる日々を過ごしていたが、だいぶ落ち着いて来た。


 前回とは違い、単身ではなく侍女も三人着いて来ている。

 そこで、自分よりも場所に慣れていないその若い侍女達の為にも、ミシュレラの侍女達やアウドラと会う機会を持った。


 ヴェイルの親衛隊でもあるミシュレラの三人の侍女は、彼女らを快く迎え入れていた。

「私達、ヴェイル様がお幸せになるのをずっと待ち焦がれてましたの。アリア様なら大歓迎ですわ」

 侍女が言う。


「ワタシはヴェイルとリュークの従姉妹なの。姉って呼んでくれて良いから」

 アウドラが自分の胸に手を当てて自己紹介をした。

「そうなのですね。アリアです。よろしくお願いしますね、アウドラお姉様」

 アリアがにっこりして言う。


「うっわ可愛い。ヴェイルが小さい頃にトラフェリアから帰国した後『アリアがアリアが』って言ってたの分かるなあ……」

「え? ヴェイルが?」

「そうよ。あの子、あなたの話ばっかりしてたのよ。きっとその頃から大好きだったのね……」

「えええ……」

 アリアが真っ赤になった。


 周りの侍女もほんわかと見守る。

「ああ……でもリィナ様はご失恋ですのね」

 ミシュレラの侍女が言った。


「……え」

 アウドラとアリアが止まる。

「本当ですわ。あんなにお慕いされてましたのに……」

「……」


「でもあれだけお美しい方ですもの、きっとすぐに何処かの殿方がお声をお掛けになりますわ」

「そうですわね。早くお気持ちが癒されますと良いですわね」

 侍女達の話が盛り上がる。


 アウドラがアリアにちょいちょいと側においでという仕草をした。

 近くに来た彼女の耳元に囁く。


「アリアはリィナ様の事……」

「知ってますよ、勿論。元々姉の身代わりになってくださったので」


「そ、そう。ならいいのよ……え。あの子のあの女装姿見ても結婚したいと思ったの……?」

「あ。それ、シーッですよ、シーッ……ドレス姿は至宝でしたからね……出来ればもう一度あのお姿になって貰って一緒にお買い物に行きたいぐらいです……」

「あら。理解のある未来のお妃様ね」


 アウドラが笑った。


                                 第3章 完



ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回77話より、第4章『死者を愛する者の罠』が始まります。

引き続きお読みいただけると幸いです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。