小ちゃいおっちゃん物語 其の十八
「紅…」
「まだです!もう…しつこい…」
「ん?何か言ったか…」
「いえ 何も」
「そうか?まだかなまだかなぁ〜」
「おまえさん 紅さんが集中出来ませんよ」
「……」
「ん!来る!」
「どうした?太郎殿」
「みんな!俺達に掴まって!空襲だ!」
「なんと!皆の者 太郎殿と晶殿に掴まらせてもらうのじゃ!」
「太郎ちゃん!行くよ!」
「おぅ 晶ちゃん俺は大丈夫!最初に行って!」
「わかった!」
晶ちゃんが駆け出す
「紅姉ちゃん!他に掴まってないの居ない?」
「太郎ちゃん 大丈夫です!」
太郎も晶ちゃんを追って走る
ウゥ〜〜〜〜〜〜〜〜
けたたましくサイレンが鳴る
ブルブルブルブル…
「もう来た!太郎ちゃん 早く!」
「晶ちゃん!大丈夫だから走れ!」
バババババ…
「くそ!こんな戦争…早く終われ〜!」
「太郎ちゃん早く!」
「あっ!」
太郎がつまづき転んだ
「太郎ちゃん!」
「晶殿!出てはいかん!」
晶ちゃんは飛び出していた
バババババ…
「くっ!時来也!」
「ハッ!」
時来也が時を止める
「皆の者!鉄の雨を払うのじゃ!」
「おぅ!」
妖精達は降り注ぐ鉄の雨を1つ1つ叩き落とす
「早く!止められる時間がもう…」
「時来也!頑張るのじゃ!皆の者 急げ!太郎殿と晶殿を守るのじゃ!」
ボトッ ボトッ ……
全ての鉄の雨を払い落とした
「紅!」
「他の者は晶殿を太郎殿の近くへ!早くするのじゃ!」
太郎と晶ちゃんは 時が止まる前に鉄の雨を…
紅は太郎と晶ちゃんの治療にかかっていた
「わしも手伝うぞ!他にも治癒力が有る者は紅に力を貸すのじゃ!」
「おぅ!」
「晶ちゃん…」
「太郎殿 晶殿はこっちに居るぞ!」
「太郎ちゃん…」
「晶ちゃん…ごめんね…」
「何で謝るの…」
「俺が転ばなかったら…」
「2人共…喋るでない…」
「あっ…おっちゃん…見えるぞ…」
「そうか…」
「やっぱり俺が思った通りだ…」
「禿げてるじゃろ…太郎殿も晶殿も…元気になったら…触らせてやる…じゃからもう喋るでない…」
「静おばさん…」
「晶ちゃん…ここに居ますよ」
「静おばさん…ありがとう…太郎ちゃん…目が見えたって…紅お姉さん…ありがとう…」
「晶ちゃん…お医者さんになるんでしょ?…もう喋らないで…」
「太郎殿も…総理大臣になって…戦争のない平和な世にするのじゃろ…」
「おっちゃん達と一緒にいれて…楽しかった…」
「私も…」
「うん…うん…わしらもじゃ…じゃからもう喋るでない…皆の者!全力を尽くすのじゃ!」
「若様…」
紅が首を横に振る
「太郎殿…総理大臣になるんじゃろ…晶殿は立派な医者になるんじゃろ…そうじゃ…わし…腹が減ったのぉ…握り飯が食いたいのぉ…のぉ晶殿…もう一度作ってはくれぬか…太郎殿からも頼んではくれぬか…目を開けてくれ…太郎殿…晶殿…もう一度…笑顔を見せておくれ…」
「おまえさん…」
「うぉ〜〜〜〜〜〜〜……」
ブルブルブルブル
敵機がなおも攻撃して来る
「何故なんじゃ…なんの為に争う…欲を捨てよ…欲は何も生まん事をわからぬのか…」
バババババ…
「キェーーーーーーーー!」
ボトボト…
「若…」
「あの若が本気で怒ってる…」
「静殿…」
「おまえさん 待っています」
「すまぬ…小丸を頼んだぞ」
おっちゃんは ある決断をする
ピ〜ヒョロロ〜…
「若…本当に行くのですか?」
「サスケや 送ってくれてありがとう 鳶助もかたじけない」
「いえ それはいいんですが…若を見える者が居るかわからないのに…」
「なんとかするさ!時来也は後10日でこの戦さは終わると言うたが…後10日でどれほどの命がなくなるかわからぬ…太郎殿や晶殿のような子供達が犠牲になるのをもう見ておれん」
「わかりました あっしもついて参ります」
「サスケ…」
「帰りも静様のところへお送りしますんで」
「すまぬ…」
おっちゃんとサスケが来たのは大日本帝國軍本拠地
おっちゃんとサスケは建物に入って行く
「わしが見える者は居るか!」
デカイ声で叫ぶが誰1人として振り向く人はいない
「若…やはり話し合いなど無理では…」
「わしが…見える者は…居らんのか!」
「若…」
おっちゃんはあらん限りの声をあげる
「若!」
「お主は朧」
「お久しぶりです」
「そうか…お主がここの守り妖精じゃったか…」
「どうしたのですか?」
「ここの主人に用があって参ったのじゃ!」
「鈴木様ですね」
「誰かはわからん!ここで一番偉い者に用があるのじゃ!」
「若…かなりお怒りですね…」
「実はな…」
怒り心頭のおっちゃんに代わり
サスケが朧に説明した