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小ちゃいおっちゃん物語 其の十九

「そうですか…それで若があれほどお怒りに…」

「あっしもあれほどの若は見た事がない…」

「朧殿!この中にわしらが見える者は居らんのか!」

「若…ここにはそのような心を持った者は居りません…」

「そうじゃな…ここに居るのは愚か者の集まりじゃった…朧やすまぬかったのぉ」


「やっぱり無理でしたね若…」

「わしは諦めんぞ…今こうしてる間にも罪無き者が犠牲になっておるのじゃ…」


「若 こちらへ」

「ん 朧やどこへ行くのじゃ?」


朧が連れて来たのは厨房


「長旅でお疲れでしょう 思う存分召し上がってください」

この戦争時代において贅の限りを尽くした料理が並んでいた

「おぉ!これはスゴイ!若……」

「サスケ…お主はいただきなさい」

「若もどうぞ遠慮なさらず」

「朧や わしわなこのような高価な料理なんかよりも もっと美味い物を知っておるのじゃ」

「あっ…そうだった…あれに勝る物などない!あれは美味かったなぁ」

「そんなに美味い物があるんですか?私も食べてみたいです!」

「もう…食べれないのじゃよ…」

「?」

おっちゃんとサスケは (あきら)ちゃんの握り飯を思い出していた


「朧や お主の主人の所へ案内致せ!」

「若…行っても相手にはあっしらが見えないのですよ…」

「よい!わしに良い考えがある」


朧の案内でおっちゃん達は 最高司令官の部屋へ向かう

最高司令官とは内閣総理大臣


「若 ここです!」

「朧とサスケにも力を借りるぞ」

「もちろんです」


「あの方が最近 内閣総理大臣に任命された 鈴木寛太郎様です!」

鈴木寛太郎 第42代内閣総理大臣


「偉そうに座りおって…」

「若…普通に座ってるだけですが…」


おっちゃんがテーブルの灰皿を蹴る

ドンッ!

「ん?」

不思議そうに灰皿を見る総理


今度はテーブルの上のシガレットケースに体当たりして下に落とす


「もしかして…妖精か?」

「なんと!この者 わしらを見た事があるのか!」


「気のせいか…私も昔は見えたのだが…いつからだろう パッタリと見えなくなってしまったなぁ…」

「お主のような者がわしらをいつまでも見れるわけがなかろう!」


チュ〜!

「若!ネズミを見つけました!これで会話が出来ますぞ!」

「でかしたサスケ!朧 お主はネズミを取り押さえるのじゃ!」

「はい!」

朧も妖精忍者

「金縛りの術!」

ネズミがピタっと動かなくなる

「サスケ!」

「ハッ!口寄せの術!若 あっしに触れれば若の声が届くはずです!」

「よし これで会話が出来る」


「鈴木殿!」

「ん?誰か居るのか?」

「そんな事はどうでもよい!お主は何故このような愚かな戦さをしておるのじゃ!」

「愚か…か…そうだな…」

「なんじゃ?それをわかっていてお主は何故今もなお戦さをしておる!」

「私は 最近 陛下から任命を受けたのだ…この戦争を終わらせる為にな…」

「どう言う意味じゃ!」

「この戦争は日本の負けだよ…」

「なら何故降参せんのだ!」

「タイミングが難しいのだよ」

「タイミングなど要らぬ!手をこまねいている間にも罪無き者が命を落としておるのだぞ!」

「わかっておる…しかしな 降参をするのは簡単だが…それによって 負けを認めぬ者達のクーデターが起こる可能性があるのだよ」

「そんな悠長な事を申してる場合か!そんな輩はお主が制圧すればよいではないか!この国の長なのだろうが!」

「そうはいかん!そうすれば今度は国内で血が流れる事になる!それこそ愚かではないか!」

「お主…何故もっと早く出て来んかったのじゃ…」

「すまん…本当は私もこの戦争には反対だったのだが…陛下には敗戦処理を命じられたのだよ…」

「それではお主が悪者ではないか…」

「それでこの戦争が終わるのであれば…」

「東條殿は!あやつが主謀者じゃろう!なんの為の戦さじゃ!お主が責任を取る事ではないじゃろ!」

「姿は見えんが…おまえは優しき心を持ってるんだな」

「わしは さっきお主が申しておった妖精じゃ!」

「なんと…そうか…やはりそうだったか」

「わしはいろんな者を見て来た…貧しいながらも婆様の為に一生懸命働いた幼き子供や 子を産み 翌日に亡くなりはしたが 死してなお皆を守る為 悪精を退治した者…そして…立派な夢を抱きながら…この愚かな戦さに倒れた…幼き姉弟…その者達がわしに…いろいろ教えてくれたのじゃ…」

「そうか…皆 おまえを見れた者達なんだな…」

「90までわしを見れた者もおる」

「なんと それはスゴイ!」

「昨日倒れた者は…太郎殿の夢はな…この世を平和にする総理大臣じゃった…だから頼む…この愚かな戦さを終わらせてはくれぬか…この通りじゃ…」

「若…頭を上げてください…」

「頼む…」

「…おまえの申し立て…よくわかった…見えはしないが 頭を上げなさい」


おっちゃんの願いが 最高司令官に届いた…








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