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雨が降っている東京の渋谷のスクランブル交差点。
一人の少女が傘を差して立っている。
カラフルなひし形の黒と赤の模様の傘だ
16歳くらいか、腰まで伸びた黒い長い髪をしている。
男が近づいていくと、少女は振り向いた。思わず、息をのむほど整った美しい顔に、男は驚く。
しばらくの間、お互い見つめ合った
雨が小雨になっていく。天気予報の通りだ。
少女は傘をたたむと、くるりと振り向いて立ち去っていった。
少女が去った後も、男はしばらくその場に立ち尽くしていた。
待ち合わせ場所の喫茶店に腰を落ち着けた後でも、男の頭の中から少女の姿が消えることはなかった。
一体誰だったんだろう、あの子。
あんなに綺麗な子が現実にいるのか
喫茶店の扉が開き、待ち合わせの相手がやってきた。ずんぐりとした長身の男で、スキンヘッドでサングラスをかけ、顎ひげを蓄えている。
「待たせたな」
席の前で男は言った。190センチ近い長身で、威圧感がある。
男の名前は大城、通称ビッグ・ジョーと呼ばれている
「そんなに待ってないよ。座ってくれ」男は椅子を示して言った。
男の名前は矢吹。
大城が席に着くと、矢吹はおもむろに少女のことについて話し始めた。
「あんなに綺麗な女の子がいるんだ。まだ自分の目で見たものが信じられないよ」
「菅亜留々(かん・あるる)だな、間違いない」コーヒーを注文し大城は言う。
「菅亜留々?」
「俺と同業だよ」そう言った後、大城は黙る。店員がコーヒーを運んできたからだ。
「殺し屋ということか?」店員が去った後、声をひそめて矢吹は尋ねる
「そうだ」コーヒーを口に運びながら、大城は答えた。
「すごい名前だな」菅亜留々……
「もちろん本名じゃないだろう」大城はメニューを眺める。
デザートでも注文するつもりかもしれない。
「彼女は傘を使うらしい」大城はメニューから顔を上げ言う。
「傘?」矢吹は彼女が傘を持っていたことを思い出す。
「傘を使ってターゲットを殺す」大城はコーヒーカップを持ち上げ、口に運ぶ。
「美人であるということと、傘。それだけで彼女だと断言していいのか?」
「他にも理由がある」大城はコーヒーをすすった。
「どうも俺と同業が今日、渋谷へ集められてるらしい。何人か見かけた」
同業… 殺し屋ということか。なぜ殺し屋が渋谷に集められているのか?
矢吹の困惑が深まった。




