↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/78

078話『何も間違ってません!』



     *          *



「ん…………え?」



 おそるおそる瞼(まぶた)を開くが、ザクトはまだ光の中にいた。


 が、そこはザクトとルーラ以外の者がいない空間。



「どこかへ転移した? ルーラ……はわっ!」


「んっ……あ!?」



 ついさっきまで魔法陣の中心に突っ込んでいたはずの手は、ルーラの胸をわっしと掴んでいた。


 同時に目を開けたルーラは、ザクトの腕に抱かれたまま、思わず胸を隠すように手で覆う。



「ル、ルーラごめん! よかった……大丈夫?」


「は、はい。ここは一体……えっ、私もしかして死んじゃいました?」


「いや、僕も自分の意識があるし……えっ、もしかしてふたりして死んじゃった?」


「心配せずとも、ふたりとも生きているよ」



 光の中から、ふたりに声をかける者があった。


 それは少しずつ人に似た形に変化し、光を帯びたまま姿を固定させた。


 ゆるやかなウェーブのかかった金色の髪はとても長く、自分の身長ほど。


 眠そうに半分閉じた瞳は緋色に輝いていたが、耳は尖っていることもなく人間と同じもの(いや、人間が神に似ているのか)。



「もしかして……神様? アメーテル……さん、だっけ」



 背中には光の翼、頭上には白い魔法陣が浮いており、その術法式の言語はザクトにも見当がつかない書式だった。


 まとった聖衣の面積は少ないが、額に下げられた太陽を思わせる朱色の宝玉を始めとする装飾品が要所要所に見られ、位の高さを感じさせる。



「いつもルーラの身体を借りていたから、この姿でははじめましてだな。ふたりとも、何かと苦労をかける」


「えっ? 私にお言葉をくださる……あの神様ですか? は、はじめまして! いえ、一方的に神託はいただいてましたが、声として聞こえるのとも違うものだったので……」


「まあ、そういうものであるからな。ルーラ、君には色々と苦労をかけている」


「い、いえ! 命を繋いでもらってる身、できることがあれば何でもやります。けど……さっきもハレッタ様を守れず、私、役立たずで……」



 ルーラは落ち込み、小さな溜息をつく。


 そんな沈痛な面持ちに、ザクトはついほっこりしてしまう。



(僕やシャノンだけじゃなく、ルーラもそんな責任を感じてたんだ。まったく律儀というか……)



「ルーラ、ありがとね。すっかり僕らのこと、家族みたいに想ってくれてるんだ」


「あ……す、すみません、メイドのくせに出過ぎたこと言ってますね。でも、あの時ハレッタ様の近くにいたのは私でしたし……」


「僕が取り乱したから、余計なこと考えさせちゃったよね。でも、気にしないで? 妹(ハレッタ)は……必ず助けるから」



 ザクトの迷いない眼差しに、ルーラはドキッとしてしまう。



(すごいなぁ……こんな風に言い切れる心の強さ。それもすべて『家族のため』っていうのが……本当に素敵な人)



 妹のことを考え、虚空を見つめるザクト。


 身体を抱きかかえられたまま、それをうっとり見つめるルーラ。


 女神(アメーテル)は、思わず咳払いをひとつ入れた。



「2本目の神剣回収、ご苦労様。なかなか順調だな。今回は、この神剣の共鳴を利用し、ふたりの意識に繋げることができたのだ」


「よくわかんないけど……僕の刀、そんなスゴいことやってるの?」


「うむ、まぁスゴいな。この共鳴から、新たな情報を得たのだが……人の強い念が剣の魔法に作用し続けた結果、お前の想定していない力が宿ったようだ」


「ええ……我が刀(こ)たちに、そんなことが起こってるの?」



 色々とチート能力が上乗せされていることを、ザクトとしては『悪友がヘンな遊びを教えた』くらいに感じているらしい。



「そして、どうやらそれどころではなく……7本すべて揃えると、何か特別なことが起こる」


「は!? ちょ、待っ、それって……」


「エルフ王の妹を拐(かどわ)かした者たち……奴らは七神剣を揃えると『何でも願いが叶う』 そう考えているようだ」


「僕、ドラ○ンボールなんて作ってないからぁ――――――ッ!!」



 数的条件も効能もまんま過ぎて、ザクトは思わず全力でツッコんだ。



「ドラ……なんて言いました?」


「い、いや、ごめん。意味不明な言葉を叫びたい気分だったんだ」



(まぁ、そんな大きなオマケなくても、奴(ヴィルゲン)らは元々、戦力として集めてる。藍海(あいみ)のことも絶対に取り返そうとするだろうし……むしろハレッタのことは大事に扱うはず)



 『どっちも渡さないけどね』


 そう思いながら、無理やりにでも妹(ハレッタ)の無事を信じ込む。



「人の念が……ザクト様の剣に、そんな夢みたいな能力をつけたんですか? そんなこと、ありえるんでしょうか?」


「エルフ王が作ったままなら、こんなことにはならなかった。おそらく……七神剣が人間界に渡る前、そういう魔法をかけたのだろう」



 アメーテルの言葉に、ザクトは目を見開いた。



「それって……弦月(げんげつ)の魔法使いが?」


「だろうな。何が目的かわからんが……欲望に駆られた者たちが争うのを楽しみたいのか」



(何だよそれ……僕は、そんなヤバい奴にあの刀(こ)たちを売り渡したの? 確かに、善良な国の人間から見れば、僕は混乱の元凶か。妹(ハレッタ)を救うためとはいえ……)



 あらためて責任を感じ、落ち込む。


 そんな沈痛な面持ちのザクトに、ルーラはギュッと抱きついた。



「わ? ル、ルーラ?」


「ザクト様、大丈夫です。人間(わたしたち)も……悪い人たちに負けたりしません!」



 先程のお返しとでもいうように、ザクトを安心させようと、さらに強く頭を押しつけて言葉をぶつける。



「ザクト様は……何も間違ってません! 人間のために……ハレッタ様を救ったことを、ひとかけらでも否定するような考え、しちゃダメなんです!!」



 そう言われ、確かに『ひとかけら』否定している自分に気付かされる。


 自虐的な苦笑いを浮かべ、ザクトは胸の中のルーラの頭をヘッドドレスごとポンポンした。



「ありがと、ルーラ。僕はエルフ王……もっとおっきく広い見方をしてなきゃね」


いつも読んでくださって、ありがとうございます!

女神さん、本人としては初登場です。

まとめるための設定をキッチリ確認するのは、

やっぱり難しいことだな、と前のエピソードを見直しつつ思ってます。


そのために、私は常にセリフの前に名札をつけていて検索できるようにしています。

投稿する前に一発置換で消すんですが……そのうち忘れて

名札付きのままアップしそうだなぁ。

他の作家さんはどうしてらっしゃるんでしょうね。聞いてみたい。


感想などなど、ひとことでもいいのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。