第十章 返事の輪郭 ① 「まだ」と「しない」
翌朝。
***
机の上に。
四つの文が。
並んでいた。
***
返事は。まだ。
***
返事はしない。に近い。
***
まだ。
***
返事は。
***
同じ場所。
同じ時刻。
同じ声。
***
四つ。
***
どれも。
書いた者が。
自分で聞いた。
***
どれも。
同じ返事には。
ならない。
***
「膝」
マレア・ソン。
***
朔。
椅子。
***
右脚。
台。
***
布。
厚い。
***
「昨日より」
「腫れています」
***
「歩行」
「短い距離なら」
***
「階段」
「使いません」
***
「走行」
「できません」
***
「次の踏査」
「参加しません」
***
マレア。
朔を見る。
***
「理由」
「身体が。退避条件を満たさないからです」
***
「返事を」
「確かめたい気持ちはあります」
***
「その気持ちで」
「膝を使いません」
***
「はい」
***
紙。
四枚。
***
朔。
***
リオ。
***
フェル・ナード。
***
セオ・ラグナ。
***
「中央は」
グラド・ウェン。
新しい用紙。
「公式の返答を。一つ求めています」
***
「一つ」
ユイ。
「ない」
***
「共通して」
グラド。
「返事という語を聞いた者が複数います」
***
「複数」
フェル。
「四名です」
***
「そのうち」
「完全な文として記録したのは。二名」
***
「多数」
「参加者十名の多数ではありません」
***
「聞こえなかった者は」
グラド。
「否定していません」
***
「肯定も」
フェル。
「していません」
***
「では」
「聞こえなかった、と記録します」
***
十人。
***
一人ずつ。
***
前日の記録を。
見ない。
***
もう一度。
自分が聞いたことを。
書く。
***
「二度目」
ネラ・ヴォス。
「昨日の報告を聞いた後です」
***
「影響」
「あります」
***
「では」
「第一記録と。第二記録を分けます」
***
「変わったら」
「変わったことを残します」
***
リオ。
***
第一記録。
***
「返事はしない」に近く聞こえた。
***
第二記録。
***
今は「返事は、まだ」にも聞こえたように思う。
***
「変わった」
ユイ。
***
「はい」
リオ。
***
「どっち」
「最初に書いた方を。最初の知覚として残す」
***
「今」
「今の記憶も残す」
***
「本当」
「分からん」
***
「どうして変わった」
ネラ。
***
「朔が。まだと聞いたことを知った」
***
「ほか」
「トウマが返事を待っとると知っとる」
***
「それで」
「俺の中でも。まだの方が強くなった可能性がある」
***
「しない」
「消えた?」
***
「消えてへん」
***
記録。
***
第二記録は、他者の知覚内容およびトウマの希望を知った後の記憶であり、第一記録より正確とは限らない。
***
フェル。
***
第一。
***
「まだ」のみ明瞭。
***
第二。
***
「返事は、まだ」であった可能性を考える。前半は他者の報告から補っている可能性がある。
***
「自分で」
ガル・メナ。
「足した?」
***
「はい」
フェル。
***
「中央なら」
「返答保留と書きたくなります」
***
「なぜ」
「次の照会理由にできるからです」
***
「お前は」
「その判断へ。自分の聞いた音を近づけた可能性があります」
***
「書く?」
「はい」
***
中央再照会の必要性を考える立場が、第二記録の補完へ影響した可能性あり。
***
セオ。
***
第一。
***
「返事は」まで明瞭。以後は崩落音と重複。
***
第二。
***
「返事は、まだ」であったようにも思うが、「まだ」は他者の記録を読んだ後に生じた記憶である可能性が高い。
***
「高い」
グラド。
「根拠」
***
「帰還直後」
セオ。
「私は。まだを記録していません」
***
「今は」
「音として思い出せます」
***
「なら」
「後から作られた可能性を。先に記録します」
***
朔。
***
第一。
***
「返事は。まだ」
***
第二。
***
筆。
止まる。
***
「同じ?」
ユイ。
***
「言葉は」
朔。
「同じです」
***
「確かになった?」
「違います」
***
「では」
「俺は。今も。そう聞いたと記憶しています」
***
「影響」
ネラ。
***
朔。
手紙が。
相手の手へ移った瞬間。
思い出す。
***
ヴァルハ。
***
サク。
***
トウマ。
***
受け取る。
***
そして。
退避。
***
「俺は」
朔。
「返事を。待っています」
***
「はい」
***
「まだ、なら」
「次があるように聞こえます」
***
「しない、なら」
「終わったように聞こえます」
***
「どっちが」
「まだの方を。聞きたいです」
***
「では」
「俺の記憶が。願いに近づいた可能性があります」
***
「第一記録も」
「あります」
***
部屋。
静か。
***
「帰還直後から」
朔。
「願いはありました」
***
「なら」
グラド。
「第一記録も。信頼できない?」
***
「願いがあることと」
ネラ。
「記録が偽りであることは。同じではありません」
***
「では」
「願いの存在を。記録の横へ置きます」
***
朔。
書く。
***
第一・第二記録とも「返事は。まだ」。
***
黒川朔は、ヴァルハと名乗った者からの返答継続を望んでいる。
***
その希望が、聞き取りおよび記憶へ影響した可能性を否定できない。
***
同時に、希望があることのみを理由として、実際に聞いたとの本人記録を削除しない。
***
「四つ」
ユイ。
***
「増えた」
***
第一記録。
四。
***
第二記録。
四。
***
同じ言葉。
ではない。
***
変化した記憶。
***
変化しない記憶。
***
後から。
足された音。
***
後からも。
残った音。
***
「ほかの六人」
ネラ。
***
イサラ・ベルン。
***
第一。
発話あり。語は崩落音により判別不能。
***
第二。
「まだ」と聞いた気もするが、他者報告後の記憶。第一記録を変更しない。
***
ガド・ネン。
***
第一。
声様音。内容不明。
***
第二。
不明のまま。
***
ユイ。
***
第一。
裂け目付近で「トウマ」と聞いた。
***
第二。
今も「トウマ」と記憶。返事に関する語は聞いていない。
***
マレア・ソン。
***
第一。
発話の開始のみ。内容不明。
***
第二。
他者記録を知った後も、内容を思い出せない。
***
ノエ・ハーラ。
***
第一。
崩落音。発話判別不能。
***
第二。
「まだ」の可能性を考えたが、自分の聴取とはしない。
***
エリオ・レイス。
***
第一。
「返事」の語に近い音。後半不明。
***
第二。
第一記録を維持。中央からの照会案を読んだ後であるため、新たな補完を行わない。
***
「十人」
グラド。
***
「公式」
紙。
***
最初の案。
***
ヴァルハ、返答を保留
***
「保留」
朔。
「相手が。後で答えると決めたことを含みます」
***
「では」
***
ヴァルハ、返答を拒否した可能性
***
「拒否」
リオ。
「俺の第一記録へ寄りすぎる」
***
「では」
***
返答内容を確認できず
***
「聞こえた言葉が」
セオ。
「消えます」
***
「また」
ガル。
「長くする?」
***
「はい」
フェル。
***
書き直し。
***
退避開始後、ヴァルハと名乗った者が、返事に関係する可能性のある発話を行った。
***
第一知覚記録は、「返事は。まだ」「返事はしない、に近い」「まだ」「返事は、まで」「返事に近い語」「内容不明」「聞こえず」等に分かれた。
***
帰還翌日の再記録では、他者の知覚および各自の希望・立場を知った影響により、一部の記憶が変化または補完された。
***
共通する一つの返答文は確定しない。
***
「返事」
ユイ。
「なかった?」
***
「分かりません」
朔。
***
「言葉は」
「ありました」
***
「返事」
「だった可能性があります」
***
「じゃあ」
「返事があった、とも書きません」
***
「なかった」
「とも書きません」
***
「トウマに」
ユイ。
「何を返す」
***
机。
***
ツヅリ村へ送る。
紙。
***
一枚目。
***
十人で入り、十人で帰りました。
***
その文。
変えない。
***
二枚目。
***
手紙が。
ヴァルハと名乗った者の手へ。
移ったこと。
***
三枚目。
***
帰路で。
発話があったこと。
***
四枚目。
***
十人の。
第一知覚。
***
五枚目。
***
翌日の。
第二記録。
***
「全部」
グラド。
「子どもへ送る?」
***
「トウマさんが」
朔。
「決めます」
***
「難しい」
「はい」
***
「要約」
「最初に付けます」
***
要約。
***
返事に関係する可能性のある言葉がありました。
***
聞こえ方が分かれたため、一つの返事にはしていません。
***
聞こえた内容と、聞こえなかったことを、全員分そのまま送ります。
***
「まだ」
ユイ。
「と書かない?」
***
「俺が聞いた言葉として」
朔。
「書きます」
***
「しない」
「リオさんが聞いた言葉として」
***
「トウマは」
「両方を読みます」
***
「選ぶ?」
「選ばないかもしれません」
***
「返事を書く?」
「急がせません」
***
「期限」
「付けません」
***
「次の手紙」
「求めません」
***
「また行く?」
「今は。決めません」
***
「中央は」
フェル。
別紙。
***
再接触により返答内容を確認
***
「行きません」
朔。
***
「膝」
グラド。
「だけの理由ですか」
***
「違います」
***
「では」
「曖昧な言葉を。一つへするために。人影へもう一度答えを求めません」
***
「なぜ」
「相手が。返事を続けると決めたことを確認していません」
***
「まだ、と言ったなら」
「後で答える可能性」
***
「しない、と言ったなら」
「拒否の可能性」
***
「どちらでも」
「こちらから再接触する許可にはなりません」
***
「手紙を」
「受け取った」
***
「それは」
「次の質問へ答える同意ではありません」
***
「トウマは」
「返事がほしいと書きました」
***
「でも」
「書かせないで。言わせないで。とも書きました」
***
「中央は」
「私信の送り主ではありません」
***
フェル。
中央案。
線。
***
横。
***
再接触の実施根拠とはしない。
***
「中央じゃなくなった?」
ユイ。
***
「なっていません」
フェル。
***
「では」
「中央へ。再接触できない理由を持ち帰ります」
***
「命令」
「出るかもしれません」
***
「その時」
「目的と。根拠と。停止条件を求めます」
***
「従う?」
「私信の返答強制であれば。従いません」
***
旧紙倉。
外。
***
声。
***
人。
集まっている。
***
紙。
二枚。
***
壁。
***
一枚目。
***
ヴァルハ、ハル宛て手紙を受領。返事はまだ。
***
二枚目。
***
勇者殺し、返答を拒否。
***
「早い」
ユイ。
***
「どこから」
ネラ。
***
カイ・ノル。
人の間。
***
「一枚目は」
彼。
「俺が書いた」
***
「二枚目」
「知らん」
***
「何を見て」
ガル。
***
「速報」
***
ヴァルハと名乗った人影が、ハル・ミナト宛て私信を受領。退避時の返答は聞き取り不一致。
***
「それを」
カイ。
「市場で読めるように」
***
「返事はまだ」
朔。
「誰の知覚ですか」
***
「お前」
***
「ほか」
「フェルさんが。まだを聞いた」
***
「フェルさんは」
「まだ、のみです」
***
「二人」
「はい」
***
「リオさん」
「しない」
***
「セオさん」
「返事は、まで」
***
「ほかの六人」
「不明」
***
「でも」
カイ。
「何も書かんかったら。街は」
***
「書かないのではありません」
朔。
「分かれたまま書きます」
***
「長い」
「はい」
***
「読まれへん」
「短くして。別の返事を作るよりは」
***
「俺は」
カイ。
「希望がある方を」
***
「選びましたか」
「はい」
***
「なぜ」
「ハルを待ってる人がおる」
***
「だから」
「まだって」
***
カイ。
止まる。
***
「聞きたいと思った」
***
「はい」
***
「俺もです」
朔。
***
カイ。
朔を見る。
***
「なら」
「俺が聞きたいことと。全員が確認したことを。同じにしません」
***
「紙」
カイ。
壁。
***
返事はまだ。
***
「剥がす」
***
「記録」
ネラ。
「先に」
***
誰が。
書いたか。
***
何を。
元にしたか。
***
どこを。
短くしたか。
***
なぜ。
その言葉を。
選んだか。
***
カイ。
自分で。
書く。
***
黒川朔およびフェル・ナードの知覚から「まだ」を選び、他の知覚を省いた。
***
待つ者へ希望を伝えたい気持ちがあった。
***
結果として、ヴァルハと名乗った者が返答継続を約束したように読める紙を作った。
***
署名。
カイ・ノル
***
「二枚目」
ガル。
***
勇者殺し。
返答を拒否。
***
書いた者。
いない。
***
名乗らない。
***
「剥がす?」
ユイ。
***
「先に」
朔。
「どこから広がったかを確認します」
***
「残す?」
「内容を正しいとしてではありません」
***
「では」
「街を歩いた文として」
***
トナ・ベル。
市場の。
三か所。
***
同じ紙。
***
紙質。
薄い。
***
木炭。
***
字。
複数。
***
「写した人」
トナ。
「四人はおる」
***
「元」
「食堂の壁」
***
食堂。
***
最初の紙。
***
裏。
***
小さい字。
***
ハルは勇者殺しになった。返事をしない。
***
ガル。
読む。
***
「ハル」
***
「誰が」
ネラ。
***
食堂主。
首。
横。
***
「朝には」
***
「昨日の夜」
「閉めた時はなかった」
***
「では」
作成者未確認
***
「これ」
ユイ。
「ヴァルハがハルになってる」
***
「はい」
朔。
***
「返事はしない」
「リオさんの知覚に近い言葉」
***
「勇者殺し」
「街でヴァルハへ付けられた役目」
***
「つなげた」
「はい」
***
「誰が」
「まだ分かりません」
***
「消す?」
「公開場所からは外します」
***
「原物」
「保存します」
***
「なぜ」
「誰かが。どういう文を作ったかを確認するためです」
***
「ハル」
市場の子。
ロウ。
杖。
***
「生きてる?」
***
朔。
紙。
見る。
***
ハルは。
勇者殺しになった。
***
作れる文。
***
魅力。
ではない。
***
怖さ。
***
「確認していません」
朔。
***
「手紙」
「ヴァルハと名乗った人が受け取りました」
***
「ハル」
「その人がハルさんかは。まだ分かりません」
***
「返事」
「違って聞こえました」
***
「どれ」
「俺は。返事はまだ、と聞きました」
***
「じゃあ」
「俺が。そう聞いたということです」
***
「本当」
「一つの本当の文には。まだできません」
***
ロウ。
紙。
見る。
***
「分からないのに」
「はい」
***
「紙は」
「もう。答えたみたいに歩いています」
***
「止める?」
「全部は。止められません」
***
「じゃあ」
「確認できた文を。近くへ置きます」
***
市場。
掲示。
***
大きい紙。
***
短い見出し。
***
返答は一つに確定していません。
***
その下。
***
十人の。
第一知覚。
***
省かない。
***
小さい字。
ではある。
***
誰が。
何と聞いたか。
***
聞こえなかった者。
***
翌日に。
記憶が変わった者。
***
願い。
立場。
影響。
***
「長い」
カイ。
***
「はい」
ガル。
***
「読まん人」
「おる」
***
「でも」
ガル。
「短い方だけ見た人が。長い方を探せるようにする」
***
「見出し」
「返答は一つに確定していない」
***
「希望」
「消える?」
***
ガル。
止まる。
***
「まだって聞いた人がおることは。消さん」
***
「拒否」
「しないに近く聞いた人も」
***
「ハル」
「確認してへん」
***
「はい」
***
トウマへ。
送る紙。
***
封。
***
宛先。
***
ツヅリ村 トウマ
***
差出。
***
黒川朔
***
その下。
***
同行者九名の知覚記録を同封
***
「運ぶ人」
ノエ。
***
定期便。
荷運び。
***
ベラ・ソン
***
マレアと。
同じ家名。
***
関係。
今は。
確認しない。
***
「何を運ぶ」
「ツヅリ村のトウマさんへ。帰還報告と知覚記録」
***
「内容」
「読みません」
***
「開封」
「しません」
***
「失ったら」
「失った場所と時刻を報告」
***
「危険」
「荷より身体」
***
「誰へ渡す」
「トウマ本人」
***
「不在」
「ダンさんかリーネさん」
***
「二人とも不在」
「持ち帰る」
***
「置かない」
「はい」
***
「返事」
「求めない」
***
「期限」
「なし」
***
ベラ。
封筒。
受け取る。
***
「重い?」
ユイ。
***
「紙としては」
ベラ。
「軽い」
***
「中」
「知らん」
***
「でも」
「受取人が決まっとる荷は。迷いにくい」
***
「道」
「迷うことはある」
***
「その時」
「帰る」
***
「失敗?」
ユイ。
***
「荷運びなら」
ベラ。
「届けられん日もある」
***
「次」
「身体が帰れば。次の便を考えられる」
***
トウマと。
同じ。
***
手紙より先に。
帰る。
***
封筒。
市場を。
出る。
***
返答。
一つにされないまま。
***
夜。
***
朔。
眠る。
***
白。
***
床。
壁。
天井。
***
境目。
ない。
***
音。
***
遠い。
***
文字。
***
MESSAGE:RECEIVED
***
次。
***
RESPONSE:PENDING
***
朔。
見る。
***
誰の。
判断。
***
まだ。
***
返事は。
続く。
***
そう。
表示が。
決めたように。
見える。
***
「誰が」
朔。
***
声。
白へ。
吸われる。
***
次。
***
RECIPIENT:
***
空白。
***
その下。
***
H.M.
***
一瞬。
***
次。
***
V―
***
消える。
***
黒。
***
白い部屋の。
端。
***
人影。
***
子ども。
ではない。
***
胸。
手紙。
***
持つ。
***
「ハル」
***
朔。
呼びそうになる。
***
口。
閉じる。
***
人影。
顔。
上げる。
***
RESPONSE:
***
次。
出ない。
***
朔。
目。
覚ます。
***
暗い部屋。
***
右膝。
痛い。
***
汗。
***
机。
***
紙。
***
朔。
灯り。
つける。
***
書く。
***
睡眠中、白い場所で「MESSAGE:RECEIVED」「RESPONSE:PENDING」と読める表示を見た。
***
次。
***
宛先欄は空白の後、「H.M.」「V―」様に変化したように見えた。
***
次。
***
ヴァルハと名乗った人影に近い姿が、手紙様物を持っていた。
***
次。
***
夢、記憶、表示、実際の経路内現象のいずれであるか未確認。
***
次。
***
「PENDING」を、相手が後で返事をすると決めた証拠にはしない。
***
筆。
止まる。
***
表示は。
一つだった。
***
PENDING
***
待機。
***
保留。
***
未処理。
***
まだ。
***
どの意味か。
表示は。
説明しない。
***
誰が。
その状態を。
決めたかも。
分からない。
***
朔は。
白い文字を。
ヴァルハの返事には。
しなかった。
***
トウマの返事にも。
しなかった。
***
自分が。
待ちたいという願いの。
証明にも。
しなかった。
***
ただ。
夢の中で。
そう見た者として。
***
自分の名前を。
隣へ。
書いた。
***
黒川朔
***
返事を。
一つにしなかった紙は。
今。
ツヅリ村へ。
向かっている。
***
ヴァルハの手にある手紙は。
戻ってこない。
***
返答が。
続くか。
終わったか。
***
まだ。
分からない。
***
だから。
「まだ」を。
約束にはしなかった。
***
「しない」を。
終わりにも。
しなかった。
***
返事の輪郭は。
聞きたい者の願いより。
まだ。
薄かった。




