第82話 オウゴウヌ王家の週末
『第6章 新たな出会い、そして強化』を始めます。
主人公の修司は新たな出会いと、彼の許嫁であるドーラの分隊の強化に取り組むことになります。
ドーラの分隊は、ドーラを除くと、基本、月曜日の午前0時から金曜日の午後12時までが任務となっている。
しかも当番任務や訓練任務は午前8時から午後6時までで、それ以外は待機任務として官舎の個室で待機している。
これはオウゴウヌ王国軍では極めて恵まれた勤務体系である。
と言うのも、基本夜間の当番勤務や訓練勤務はなく、週末の勤務はないからだ。
ドーラの分隊以外はこんなことはあり得ないらしい。
実際、分隊メンバ達はこう言っている。
「なんだかんだと言っても、、、
第一王女である、ドーラ中尉が分隊長のこの分隊は楽だ。。。」
そう、この極めて恵まれた勤務体系は、分隊長が第一王女であるドーラであることが大きい。
じゃあ、第一王女であるドーラが楽かと言うと、、、さにあらず。。。
ほら、第28話で述べたように、ドーラは軍の仕事だけでなく、第一王女としての公務もあるからだ。。。
基本、平日は軍務をこなし、週末は第一王女としての公務をこなしている。。。
これも第28話で述べたように、休みは年に数日しかないほど、ドーラは忙しいんだ。。。
そんなドーラに配慮して、近衛師団司令部も、ドーラへの負担がなるべく小さくなるような勤務体系となっているんだ。。。
ドーラは週末に第一王女としての公務がある。
そこで、他の分隊メンバと比べて2時間早い。
つまり、日曜日の午後10時から金曜日の午後10時までが軍務となっている。
ああ、第29話で、午後11時に僕とドーラは官舎に行った。
でも、あのときはドーラは僕に分隊メンバを紹介するため、特別にいつもより1時間遅めの軍務開始だったんだ。
本来は午後10時で、2時間早いため、分隊メンバの一部はまだ官舎に戻っていないかもしれなかったためなんだ。
話を戻そう。
ドーラが軍務から公務に移るとき、つまり中尉から第一王女になる、金曜日の夕方以降について話す。
金曜日の午後6時までにドーラは分隊の日報を小隊長に提出する。
すなわち金曜日の午後6時までは、当番勤務か訓練勤務となっている。
そして金曜日の午後6時から午後10時までは、ドーラは待機任務となる。
まず、僕と一緒に官舎の食堂で夕食をとる。
次に、各々の官舎の個室(第29話)に戻り、シャワーを浴びたりして、午後10時まで、各々の個室で待機する。
金曜日の午後10時になると、ドーラは中尉から第一王女に戻る。
そしてドーラは僕と一緒に宮殿に移る。
このときまでドーラは軍服を着ている。
ドーラは近衛師団に所属しているから、白い軍服を着ている。
そして、、、各々の宮殿の個室(第23話)に移り、就寝となる。。。
土曜日は午前6時に廊下からハンドベルが鳴り、起床を促される。
(第23話)
そう、金曜日の午後10時にドーラが中尉から第一王女に戻り、宮殿で就寝となるのは、睡眠時間を確保するためだ。
というのも、、、週末は第一王女としての公務で、ドーラは朝から大忙しになるためだ。
午前7時に王室の食堂で、僕とドーラは、アン女王、レオ近衛師団長、シャーロット第二王女、オリビア第三王女と朝食をとる。
このとき、ドーラはスーツ姿だ。
朝食後、午前8時には、ドーラは第一王女の公務として、スーツ姿のまま、王城の外に出掛けることが多い。
ま、近衛師団隷下の騎兵連隊隷下の分隊の警護付きで、馬車で出かけることが多い。
つまり、ドーラの同僚が警護につく。
下手すりゃ、ドーラの上司が警護につくのだ。
平日、つまり、ドーラが軍務についているときは、近衛師団の兵士達は、ドーラを「ドーラ『中尉』」と呼ぶ。
しかし、週末、ドーラが第一王女として公務についているときは、彼らは、ドーラを「ドーラ『殿下』」と呼ぶ。
しかも、上司であるダグ騎兵連隊長でさえ、ドーラが第一王女として公務についているとき、ドーラに頭を下げ、「ドーラ『殿下』」と呼ぶのだ。
平日は、ドーラが頭を下げ、ダグ騎兵連隊長を「ダグ・ハミルトン騎兵連隊長閣下」と呼ばせているにも関わらずだ。。。
何故かと言うと、第一王女として、王城の外に出掛ける時は、視察に行ったりとか、慰問に行ったりとか、催事に出席したりとか、民衆の目がある場所が多いからだ。
その時は、日頃、「ドーラ『中尉』」と呼んでいたとしても、ドーラが第一王女として公務についているときは、「ドーラ『殿下』」と呼ばなくては、民衆が王家を軽んずる恐れがあるためだ。
あ、馬車で出かけるのも、民衆の目があるためだ。
立派な馬車で出かけて、王家の権威を民衆に見せつけることも理由にある。
だが、ドーラはそれが落ち着かないと、よくぼやいていた。
「日頃は、下っ端としてこき使われて、、、
週末は『殿下』と呼ばれ、頭を下げられると、
尻が痒くなってタマラン。。。
また、日頃は修司殿のワンボックスカーの助手席に座っているから、
馬車の速度と、馬車の乗り心地が、どうもシックリこない。。。」
(あきれた笑い)ははは。。。
午前8時から馬車で第一王女として出かけるのでね。。。
睡眠時間をそれなりに確保しようとすると、分隊の他のメンバより2時間シフトが早いのは、仕方がないんだ。。。
ちなみに、午前8時に馬車で出掛けるのは、ドーラだけでなく、アン女王、レオ近衛師団長、シャーロット第二王女も同じだ。
あ、オリビア第三王女は、ジョージ宰相の秘書を務めながら、夜間大学に通っている。
(第33話)
で、夜間大学は、夜間だけでなく、週末に講義を組むことが多く、彼女は週末は大学に通っている。
ただし、やっぱり午前8時に馬車で出掛ける。
つまり、ドーラ、アン女王、レオ近衛師団長、シャーロット第二王女、オリビア第三王女は、週末は午前8時に、一斉に馬車で出かけてしまうんだ。
彼らは平日は王城内で忙しく働いている。
週末は王城の外で忙しく働いているんだ。
本当、オウゴウヌ王家って大変だよ。。。
で、、、
『午前8時に馬車で出かけて、いつ戻ってくるか?』
って言うと、、、これがバラバラ。。。
出かけた場所が首都レワヅワ内なら、昼食に戻ってくることもある。
でも、首都近郊だと、夕食前に戻ってくることもある。
まあ、たまに昼食に戻って来ても、午後また出かけてしまうけどね。。。
出かけるところはバラバラだし、戻ってくるときもバラバラだ。
ただ、日曜日の午前は、ドーラは、アン女王、レオ近衛師団長、シャーロット第二王女、オリビア第三王女と共に、揃って教会へ出かける。
僕の祖母・マーガレットを納骨した際(第24話)、王家の墓に来てくれた、メルヴィン・リントン司教のいる、首都レワヅワの最も大きな教会だ。
オウゴウヌ王国はガエリア教皇国とは対立中だ。
だが、オウゴウヌ王家はガエリア教そのものには帰依している。
ま、そもそも、ドーラは創造神ガエリアには直接会ったことがある。
(第9話)
シャーロット第二王女、オリビア第三王女も、創造神ガエリアの声を聞いている。
(第7話~第9話)
アン女王も、30年前、父・普一をオウゴウヌ王国に招いた際、シャーロット第二王女とオリビア第三王女と同様に、創造神ガエリアの声を聞いている。
ソフィア叔母さんも同様だ。
何より、民衆にオウゴウヌ王家はガエリア教に帰依していることを示さなくてはならない。
だから、日曜日の午前に教会に行かないわけにはいかないのだ。。。
アン女王も、ドーラと同様、週末の午前8時には、馬車に乗って、王城の外に出掛けることが多い。
やっぱり、ドーラと同様、出かけた場所が首都レワヅワ内であると、昼食に戻ってくることがある。
で、アン女王は、そんなときは、昼食を王室の食堂で取るのだが、、、
週末にもかかわらず、内閣メンバや元老院議長夫妻を呼んで、食事会となることが多い。
昼食を取りながら、簡単な閣議や、元老院の運営について、話し合うことが多いんだ。。。
つまり、昼食を取りながら、仕事をしているんだ。。。
本当、女王って大変なんだ。。。
じゃあ、僕はと言うと、、、僕も王族の一人ではあるが(第18話)、、、王族としての週末の公務は免除してもらっている。。
ただし、『今のところは免除』しているに過ぎない。
と言うのも、僕の存在が公になっていないためだ。
僕の存在を知っているのは、内閣メンバ、王族、上位貴族、そして大学関係者の一部と限られている。
ま、ドーラの分隊メンバも、一緒に研究活動をしているクラレンス君は知っているけど。。。
(第55話、第61話)
あ、クラレンス君は、第61話の次の週、二人っきりで重力定数の計測をしているとき、「カドワダドル教授から聞いた」と話してくれた。
話を戻すと、今のところ、民衆レベルでは僕の存在は公になっていない。
下手に公にすれば、狂信的な教徒が、僕やドーラに危害を加える恐れがあるためだ。
なので、週末は僕は王城内でお留守番ということになっている。
ただし、アン女王からはこう言われている。
「修司殿、そなたはドーラの許婿だ。
いつかは民衆にそなたの存在を公にせねばならぬ。
少なくとも、そなたがドーラと共に日本に帰る直前には、
そなたの存在を公にせねばならぬ。
そのそなたの存在を公にするタイミングを、
今、探っているところだ。。。
そうなれば、そなたにも公務をしてもらい、、、
第一王女のドーラの許婿である、
そなたがどんな人物であるか、民衆に見てもらわねばならぬ。。。」
やっぱり僕は研究者でね。
本当は24時間、365日、大学や練兵場や天文台通って、研究したいってのが本音だ。
でも、ドーラには第一王女としての公務がある。
そして平日護衛してもらっているドーラの分隊のメンバには公休ってものがある。
もちろん、研究活動が忙しくなり、週末や夜遅くまで大学に通わなくてはならないときは、ドーラが付き添い、別の分隊が護衛することになっている。
(第43話)
ドーラが週末も付き添えば、ドーラが行くはずだった視察や慰問や催事への参加は、他の王族、つまり、アン女王、レオ近衛師団長、シャーロット第二王女、オリビア第三王女に、さらなる負担をかけることになる。
しかも、別の分隊を用意するため、その調整を近衛師団の上層部、特に護衛は騎兵連隊が負うことが多いダグ騎兵連隊長に負担をかけることになる。
それを考えると、可能な限り、週末や夜遅くまで大学に通うのは、避ける必要がある。
さて、週末は僕は留守番なのだが、ドーラを始め、王族の人達が週末に公務があり、忙しくしているところを見ると、個室の外でぶらぶらと遊ぶわけにはいかない。
ということで、個室でじっとしている他はない。
でも、、、この世界ではネットは繋がらないし、スマホもできない。
まあ、パソコンにインストール済のゲームはあるけど。。。
あ、この世界に将棋とか、チェスとか、囲碁とか、オセロは伝わっている。
和泉家直系男子は120年にわたって、この国に来ている。
そのうちの誰かが伝えたのだろう。
そして、執事さんは、将棋も、チェスも、囲碁も、オセロも、マージャンも強い。。。
でも、さっきほど言ったように、僕の個室とはいえ、ドーラを始め、王族の人達が週末に公務があり、忙しくしているのに、遊ぶわけにはいかないじゃないか!
そう、結構、週末は苦痛なんだ。
仕方がないから、執事さんに頼んで、この国の歴史書、と言っても教科書レベルのものを借りてきて、読んで過ごしている。
また、当然ながら、ノートパソコンに向かい、月曜日から金曜日までの計測データの整理や解析を行い、カドワダドル教授への報告書を書くことは怠らない。
ただ、こうして計測データの整理や解析をしていると、時々思うんだ。。。
『なぜ違和感を感じるのだろう?』
別におかしな計測結果が出ている訳じゃないんだ。。。
それなのになぜ?
そして、、、
『どうして、もっと遠くの天体を調べろと心の声が聞こえるのか?』
なぜ?
僕は計測データを見直す。
遠くの単体ほど、どんな傾向が出ているのだろう?
でも、ノイズの範囲ではっきりしない。。。
それでも何か見えないだろうか?
僕は何度も計測データを見直した。
でも、、、わからなかった。。。
さて、ドーラを始め、王族の人々は、大抵の場合、夕食には帰ってくる。
ああ、ここで
『大抵の場合』
というのは、イコール、
『公務で日帰りできないほど、遠くの場所に行かない限り』
である。
でもね。。。
夕食には帰ってくるとは言っても、それは王族だ。
決して、王族で和気あいあいとした、一家団欒の夕食の機会を得るためではないんだ。。。
これについては、またどこかの機会で話そうと思う。
次話は2026/4/29 0時に更新予定です。




