第80話 続、練兵場からの帰り道(その2) ークラレンス君へのプレゼントー
(前話からの続き)
アン女王はシャーロット第二王女に顔を向けて、語り掛けた。
「シャーロット、今はこうするしかない。。。
しかし、お前の治世、そしてお前の子の治世では、
もっと自動車を増やし、庶民にも車が普及するよう努めるのだ。。。
そして、交通ルールを定め、信号を設置し、専用道路を作り、
もっと物流を改革するのだ。」
ジョージ宰相はうなずいた。
「そうすると、この国はもっと豊かになりますな。。。」
シャーロット第二王女はため息をつき、車内を見上げた。
そして黙ってうなずいた。
第78話で話した通り、シャーロット第二王女はとってもまじめな人だ。
日頃から王太子としてのプレッシャーに晒され、いつも肩に力を入れている人なんだ。
僕は正直、『シャーロットさんにあまりプレッシャーを掛けない方が、、、』と思ったが、口に出すことは憚れた。
でも、やっぱりシャーロット第二王女は、とってもまじめでね。。。
ときどき、宮殿の僕の部屋(第23話)に、彼女は訪ねてきたよ。。。
僕は土曜日や日曜日には、宮殿の僕の部屋(第23話)にいるから。。。
自動車がオウゴウヌ王国に普及した時、どうしたら良いのか、相談しに来たよ。。。
ま、自動車の普及についてだけではなかったんだけど。。。
これについては、どこかの機会で。。。
時には、オリビア第三王女と一緒に、宮殿の僕の部屋(第23話)に訪ねてきた。。。
というのも、オリビア第三王女は、末席とはいえ、ジョージ宰相の秘書として、ジョージ宰相の私邸と王城の間の送り迎えの自動車の運転手を務めている。
(第33話、第39話)
オリビア第三王女の自動車の運転手としての視点を加え、シャーロット第二王女は、自動車が普及した時、オウゴウヌ王国はどうあるべきかを考えているようだった。
そんなシャーロット第二王女とオリビア第三王女の側面支援なのかは分からないけど、時々、ジョージ宰相は若手官僚を連れて、練兵場に来ていた。
もちろん、彼の車に、オリビア第三王女を運転手としてね。。。
自動車を活用すると、王城と練兵場の移動時間がどれだけ短くなるのか、身をもって体験させるために。。。
僕を含め、ドーラの分隊が練兵場に行くときに、ジョージ宰相の車も一緒に練兵場に行くことが、時々あった。。。
帰るときは、エイミー少尉、ローレンス曹長、ベリンダ上等兵はオフロードバイク、ケイシー上等兵はスクーターの、4台のバイクのうち、2台のバイクが護衛についてね。。。
そして、宰相官邸の若手官僚と、オリビア第三王女に、自動車が普及した時、オウゴウヌ王国の法体系や組織の在り方を議論させていたらしい。。。
さて、僕を含むドーラの分隊メンバとアン女王の以降は、練兵場から王城まで、先週(第58話)と同様、2時間弱で着いた。
先週は車を進めたのは軍の倉庫までだった。
(第59話)
というのも、練兵場に行かないとき、車は軍の倉庫に置いてあったから。。。
でも、今回はアン女王や、王太子であるシャーロット第二王女が一緒だ。
その二人を軍の倉庫の前で降ろすのは恐れ多いということで、さらに奥の王室のプライベート区域まで車を進めた。
王室のプライベート区域の宮殿の前に、車を止めた。
そして、アン女王、シャーロット第二王女、ジョージ宰相を降ろした。
すると、軽トラに乗っていた、レオ近衛師団長が、軽トラから降りると、呼び止めた。
「アン、シャーロット、ちょっと待ってくれ!」
レオ近衛師団長はそう言うと、宮殿に走って行った。
しばらくすると、執事を連れて戻ってきた。
レオ近衛師団長は、別の軽トラに同乗していた、クラレンス君に、無言で右手で下車を促した。
クラレンス君は戸惑いながら、下車した。
レオ近衛師団長は笑顔でクラレンス君に話しかけた。
「先週はすまなかったね。。。
アンの夫の僕と同乗して、大変緊張したろ?」
(第58話)
レオ近衛師団長は、微笑みながら、更に話を続けた。
「しかも今週は、、、
アン、シャーロット、宰相閣下のために、、、
席を譲ってくれた。。。
(第79話)
本来、修司殿の車の後部座席はクラレンス殿の席だと言うのに。。。」
それを聞いたアン女王は申し訳ない表情で、クラレンス君に語り掛けた。
「それはすまなかったの~。」
シャーロット第二王女も、申し訳ない表情でクラレンス君に頭を下げた。
「クラレンス殿。。。
知らぬこととは言え、申し訳なかった。。。」
クラレンス君は慌てて両手を振った。
「いえ! お構いなく!」
そりゃ、王太子から頭を下げられたら、慌てるわな。。。
(あきれた笑い)ははは。。。
レオ近衛師団長は微笑み、クラレンス君に語り掛けた。
「お詫びとして、、、
どうだろう?
僕の家族と一緒に記念写真を撮らないか?」
クラレンス君は「えー」と驚いたが、レオ近衛師団長の微笑みの前に、結局は黙ってうなずくしかなかった。
そういうことで、、、僕とクラレンス君と、アン女王の家族の5人と一緒の記念写真を撮ることになった。
前には4人がしゃがんだ。左からアン女王、クラレンス君、僕、レオ近衛師団長だ。
後ろには3人が立った。左からシャーロット第二王女、ドーラ、オリビア第三王女だ。
クラレンス君は緊張した表情だったが、僕を含む、アン女王の家族は笑顔だった。
執事は写真を撮った。
使ったカメラはもちろん、僕の許可証を得るために僕の写真を撮影した30年前のデジカメだ。
(第23話)
執事は笑顔でクラレンス君に語った。
「写真は後日、そちらに送ります。」
クラレンス君は緊張した面持ちで、黙ってうなずいた。
その様子を、ドーラの分隊メンバが見ていた。
エイミー少尉がオフロードバイクから笑顔で、ドーラに話しかけた。
「分隊長(=ドーラ)、
私達もここ、宮殿前で記念写真を撮りたいです!」
軽トラを運転してたフレッド副長も笑顔でうなずき、話を続いた。
「そもそも、私達も、
この王室のプライベート区域の出入りの許可は、
なかなか下りませんし、、、」
他の分隊メンバも笑顔で黙ってうなずいた。
基本的に娘のエイミー少尉には甘いダグ騎兵連隊長が、エイミー少尉に笑顔を向け、語り掛けた。
「そうだな。。。
この場所で、娘と一緒の写真を撮りたいな。。。」
補足すると、王室プライベート区域は、軍人では大将以上、あとは元老院議長夫妻、加えて内閣メンバじゃないと、自由に入ることができない。
オウゴウヌ王国の大将以上は、レオ近衛師団長とクラリス参謀総長の二人だ。
でも、レオ近衛師団長は王族の一人だ。
つまり、実質、軍人ではクラリス参謀総長しか、王室プライベート区域に自由に入ることはできないんだ。
すなわち、ダグ騎兵連隊長もウオーレン魔法兵連隊長もヒラリー後方支援連隊長も、王室の許可がなければ、王室プライベート区域に入ることはできない。
僕がオウゴウヌ王国に来た時、ダグ騎兵連隊長とウオーレン魔法兵連隊長とヒラリー後方支援連隊長は、王室プライベート区域にいて、車を動かしたり、歓迎晩餐会に出席した。
(第12話、第15話~第20話)
それは王族の一員であるレオ近衛師団長の許可があってのことだったんだ。
ドーラは苦笑いを浮かべ、アン女王に顔を向けた。
アン女王も苦笑いを浮かべ、「しかたがないの~」と返した。
そこで2列に並んで記念写真を撮った。
1列目は10人がしゃがんで並んだ。
左から、ヒラリー後方支援連隊長、クラリス参謀総長、シャーロット第二王女、アン女王、僕、ドーラ、レオ近衛師団長、オリビア第三王女、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長が並んでしゃがんだ。
2列目は9人が立って並んだ。
左からローレンス曹長、ケント准尉、ルイス少尉、ジャクソン少尉、フレッド副長、ヒュー少尉、エイミー少尉、ベリンダ上等兵、ケイシー上等兵の順で立った。
全員笑顔で写真を取った。
撮影したのは、もちろん執事だった。30年前のデジカメを使って。。。
後日、分隊メンバには、ドーラから写真が配られた。
ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長、クラリス参謀総長には、レオ近衛師団長が写真を配ったらしい。
で、、、クラレンス君には、記念写真を大きなパネルにして、彼の下宿に届けられたらしい。。。
でも、、、それに驚いたクラレンス君は、そのパネルを下宿に飾る訳にはいかなかった。。。
そりゃ、下宿を訪ねてきた人が、そのパネルを見たら、、、
クラレンス君が女王の家族と一緒に写っているパネルを見たら、、、
驚くのは火を見るより明らかだ。。。
彼の下宿で大騒動になるのは、容易に想像できる。。。
で、、、記念写真の大きなパネルの扱いに困った彼は、、、
その大きなパネルを実家に送ったらしい。。。
でも、、、その大きなパネルを受け取った彼の実家は、、、大騒動になったそうだ。。。
(あきれた笑い)ははは。。。
それが別の騒動を起こすのだが、、、それは別のお話。。。
次話は2026/4/27 0時に更新予定です。




