第109話 天文台へ(その1) ー王城にてー
『第8章 天文台へ、そして新たな出会い』を開始します。
主人公の修司とヒロインのドーラは新たな出会いをすることになります。
次の週の月曜日の午前6時、今日は天文台へ行く日だ。
ドーラの分隊メンバは王城の軍の倉庫の前に集まった。
もちろん、ドーラの分隊メンバは全員、警官の姿であった。
(第106話)
ああ、オウゴウヌ王国の警官は紺色の帽子と制服を着る。
そして、警棒を装着していた。
だが、ルイス少尉、、、ああ今はルイス巡査(本当は少尉)と呼ばなくてはいけない。
(第106話)
ルイス巡査(本当は少尉)は怪訝な表情で、ドーラに問うた。
「分隊長(=ドーラ)、
どうして女性隊員までズボンなんですか?
たしか、女性警察官はスカートだったはずでは。。。」
ベリンダ巡査(本当は上等兵)も怪訝な表情でドーラに問うた。
「ズボンだけじゃありません。。。
この帽子は女性警察官の帽子じゃなく、男性警察官のものでは?
確か女性警察官の帽子はマリン型ではなく、
バケットハット型だったはずですが。。。」
すると見送りに来ていたリネット警察消防相が笑顔で答えた。
「我々(=警察消防省)の配慮です。
そもそもドーラ殿下の分隊は女性隊員がバイクを乗り回すし、
ドーラ殿下や修司殿が万が一襲われた時、
反撃しやすいように、機能性を考慮して、
男性警察官の制服を支給しました。」
ドーラはリネット警察消防相に頭を下げた。
「リネット・ホーリス警察消防相閣下、
ご配慮ありがとうございます。」
そしてドーラは頭を上げると、苦笑いを浮かべ、ルイス巡査(少尉)に語り掛けた。
「それから、ルイス。
今は我を『巡査部長』と呼べ。」
そう、天文台ではドーラが第一王女だと気取られないよう、分隊メンバはドーラを『ドーラ巡査部長』と呼ばねばならない。
(第106話)
ルイス巡査(本当は少尉)は苦笑いを浮かべた。
そして恥ずかしそうに頭を下げた。
「は! 『巡査部長』、申し訳ありません」
ドーラは顔の向きを変え、微笑み、頭を下げた。
「母上、父上、シャーロット、オリビア、、、
そして、リネット・ホーリス警察消防相閣下、
コンラッド・カニング警察消防次官、、、
朝6時だと言うのに、我らの見送り、ありがとうございます。」
そう、アン女王、レオ近衛師団長、シャーロット第二王女、オリビア第三王女、リネット警察消防相、コンラッド警察消防次官が見送りに来ていたのだ。
アン女王は少し心配そうに、ドーラに声をかけた。
「ドーラ、、、気を付けてな。。。」
レオ近衛師団長はアン女王に顔を向けて微笑むと、アン女王に語り掛けた。
「アン、、、
心配ない。。。
リネット・ホーリス警察消防相閣下が
いろいろ手を打ってくれたのだから。。。」
そう言うと、レオ近衛師団長はリネット警察消防相に顔を向け、語り掛けた。
「娘(=ドーラ)が、1週間、
首都レワヅワから200km離れた天文台に行きます。
よろしくお願いします。」
そして、レオ近衛師団長はリネット警察消防相に頭を下げた。
慌ててリネット警察消防相はレオ近衛師団長に答えた。
「レオ・オウゴウヌ近衛師団長閣下、、、
頭を上げてください。。。
頭を下げられるようなことをはしておりません。。。」
レオ近衛師団長の言うとおり、ドーラが、1週間も、首都レワヅワから200km離れた天文台に行くのは、家族として心配なのだろう。
だから、月曜日の早朝にもかかわらず、アン女王、レオ近衛師団長、シャーロット第二王女、オリビア第三王女が見送りに来たのだ。
ドーラは微笑み、アン女王に話しかけた。
「母上、、、心配ありません。。。
分隊メンバが一緒です。。。」
ドーラ以外の分隊メンバは全員微笑み、うなずいた。
そして、ドーラはため息をつくと、あきれた表情で別の方向に顔を向けた。
「ところで、ダグ・ハミルトン騎兵連隊長閣下、、、
まさか、、、
我らについてくる気ですか?」
ドーラが顔を向けた方向に僕も視線を移すと、そこにはダグ騎兵連隊長がオフロードバイクに乗っていた。
ただし、いつもの近衛兵の白い軍服ではなく、カーキー色のライダーズジャケットとカーゴパンツを着ていた。
ダグ騎兵連隊長はニヤリと笑い、ドーラに答えた。
「ドーラ中尉、、、
俺は今日と明日は非番だ。
非番なら、どこにいこうが、勝手だろ?」
僕はあきれてダグ騎兵連隊長に問うた。
「ダグ騎兵連隊長、、、
許可証がなければ天文台の敷地に入れません。。。
(第107話)
そもそも、その会議に同席されてましたよね。。。」
ダグ騎兵連隊長はニヤリと笑ったまま答えた。
「大丈夫さ。
天文台の手前で帰るから。。。」
僕はさらにあきれてダグ騎兵連隊長に話しかけた。
「いや、ダグ騎兵連隊長、、、
天文台には今日の夕方に着く予定です。。。
天文台の手前で戻って、夜通し、オフロードバイクで帰る気ですか?」
ダグ騎兵連隊長は何食わぬ顔で返した。
「そのつもりだけど?
ま、疲れたら、野宿するつもりだし。。。」
僕とダグ騎兵連隊長のやり取りを見ていたアン女王は、あきれた表情でリネット警察消防相に話しかけた。
まあ、ダグ騎兵連隊長を野宿させるわけにはいかないと思ったのだろう。
「全く、、、
リネット、、、
急いでダグの許可証を発行できんか?」
リネット警察消防相もあきれて片手を頭を抱えた。
そしてため息をつくと、カバンから数枚の紙と便箋を取り出し、カバンを下敷き替わりに、万年筆で何やら書き始めた。
数分後、ドーラに一枚の紙を手渡した。
「天文台の敷地に入るのは私の権限で何とかなるから、
私の署名入りのこの手書きの許可証を呈示して、、、
たぶん、それで何とかなると思う。。。」
次に一通の手紙もドーラに手渡した。
「もし、この手書きの許可証で、云々言われたら、
この手紙を警備隊長に渡して。
この手紙の中に、事情を書いてあるから。。。」
ドーラは頭を下げ、リネット警察消防相に語り掛けた。
「は! リネット・ホーリス警察消防相閣下!
格別のお計らい、ありがとうございます。」
こうして、ダグ騎兵連隊長も天文台まで来ることになった。
その様子をダグ騎兵連隊長の娘、エイミー巡査(本当は少尉)はあきれて、片手で頭を抱えていた。。。
(あきれた笑い)ははは。。。
さて、リネット警察消防相が手書きの許可証と、手紙を書いている間、シャーロット第二王女とオリビア第三王女が、ドーラに近寄ってきた。
シャーロット第二王女はニヤリと笑い、ドーラに話しかけた。
「ドーラ姉上、、、
当然、天文台の土産を帰りに持ってくるんですよね。。。」
ドーラは戸惑いながら、シャーロット第二王女に問うた。
「土産って?」
オリビア第三王女もニヤリと笑い、ドーラに話しかけた。
「そーですね。。。
あの辺りは果物が美味しいと聞きます。。。
実際、数年前、家族で訪れた時の供応を受けた時、
本当に果物が美味しかった。。。」
シャーロット第二王女はうなずき、ニヤリと笑いながらドーラに話しかけた。
「そうね。。。
ドーラ姉上、、、
あの辺りの新鮮な果物を土産といたしましょうか。。。」
まあ、このオウゴウヌ王国は自動車は100台余りしかない。
(第30話)
しかも冷蔵庫は普及していない。
(第19話)
よって、傷みやすい果物や野菜の流通には限界がある。
特に別の地域のものは、王族と言えど、食すのは難しい現状があるんだ。
僕は恐る恐るシャーロット第二王女に問うた。
「あのー、、、シャーロットさん、、、
僕もドーラも暗殺の恐れがあり、、、
下手な店に入るわけにはいきません。。。
また、安全な物しか口にできません。。。
(第63話)
それは僕とドーラだけでなく、
シャーロットさんやオリビアさんも同じでは?」
そう、天文台近くの適当な店で果物を買うわけにはいかないんだ。。。
すると、シャーロット第二王女の代わりに、オリビア第三王女がニヤリと笑って答えた。
「修司殿、大丈夫~♪
天文台から50km離れた州都には、王室御用達の果物専門店があるから~♪
そこで新鮮な果物を買ってきて~♪
それなら安全よ~♪」
僕はあきれてオリビア第三王女に問うた。
「王室御用達なんて、メチャ高価では?」
ドーラは戸惑い、アン女王に問うた。
「母上、王室専用の買い物カードで購入してもよろしいでしょうか?」
アン女王は苦笑いを浮かべて、うなずいた。
「仕方あるまい。。。
それに、今回の天文台行きには、、、
ここにいるリネット(警察消防相)と
コンラッド(警察消防次官)だけでなく、、、
フランクリン(軍事相)とキース(軍事次官)と、
ジョシュア(教育相)とアルバート(教育次官)にも、
骨を折ってもらった。
(第106話、第107話)
彼等への感謝の意味を込めて、土産を買って来い。。。」
ま、それもそうだ。。。
ドーラは苦笑いを浮かべ、うなずき答えた。
「わかりました。。。
それならば、母上、、、
近衛師団の同僚や上司にも土産が必要かと思います。。。
彼らは我が天文台に行っていることを知っております。。
軍事相閣下や軍事次官に土産を買ってきて、
同僚や上司に土産がないのは、我がやりずらくなります。。。
彼等にも土産よろしいですか?」
アン女王はため息をついて、黙ってうなずいた。
こうして、僕とドーラを含む分隊メンバは王城を発した。
(次話に続く)
次話は2025/5/26 0時に更新します。




