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プロローグ

二級河川あかつき川を抱く小さな町、あかつき市には不思議で本当なのか疑わしい言い伝えが残っている。


昔から住む一部の人にしか語り継がれない。

小学校の授業で自分の街の歴史を調べる際に少し触れられる程度で、時折人々の記憶に顔をのぞかせては、また忘れ去られてしまう。

ああ、そんな話もあったな、くらいの。


なくしたものが戻ってくる。


条件があったはずなのだが、何せいい加減な伝承なので、何だったのかは、語り継がれるうちに失われてしまった。



八年ぶりにあかつきの地に戻ってきた一人の少女がいた。

桜が散った新緑豊かな桜並木の木々を見上げながら、5月の風を目いっぱい吸い込む。

「楽しみだね。ハルドエルド」

栗色の長い髪をした少女が、満面の笑みでこちらを見上げる。

とりあえず頷いておく。

少女の楽しみが何なのかは掘り返さないでおくことにした。


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