その見た目おどろおどろしく
台風でしたね 皆さんはどうお過ごしでしたでしょうか 無事をお祈りします
こちらはどっかで電信柱が折れただので数日間停電で 道をふさいで倒れた木を撤去したり大変でした
初めて登った中間休憩地、それは逆に言えば敵と雌雄を決する戦場でもある。
口にくわえていたガムが味が無くなったので心置きなく吐き出す。
それを適当な棒の先端にくっつけて、身だしなみを気にする巷でおしゃれで有名な俺は懐から小さな手鏡を取り出すとそれにくっつける。
トロール戦のあとに死んだ冒険者の死体から鏡を手に入れいれてよかった。無かったらあやうくスープレードルでやるところだった。それはあまりにも情けないからな。けどガムを消費するのは少し口元が寂しくなるのが欠点だ。
それを隣にいる超絶美人な恋人に伝えたら黙って唇を押し付けられて、これで大丈夫でしょとはにかむように応えられた。
うん。そんな、そんな妄想をしてみた。
何やってんだろと羞恥が天元突破だ。
ああ、うんやばいな。こりゃあ長い間一人でダンジョン探索だなんて気が狂いそうだ。切実に母性に満ちた抱きしめてくれる彼女ほしい。俺何やってんだろこんなところで。無性に帰りたくなってきたけど、借金を早く返済しないと彼女もできそうにないから仕方ないから我慢する。
即席DIY反射覗き棒のそれをそっと入口から差し込んで中の状況を確認する。
敵は一。後続、増援の様子なし。地形把握完了。
ならば戦闘準備だ。
手にしたのは壊れることを前提にした、だからこそ予備をある程度所持しても嵩張らない頑丈な砂鉄入りのグローブを右手に左手にはメリケンサックを嵌めた。加えてオプションパーツで中指ほどの大きさの沿った小さな三日月ナイフをジョイントする。かなり凶悪な装備である。
実はというか、何も意外なことではないのだがまともな武器を扱えないのだ俺は。軍の訓練でデスマ気味で訓練する時間もなかったそんな言い訳もあるのだが、少しやってみて周囲に才能がないと言われたのだ。
英才教育をおぎゃあの時から受けて育った周りの軍学校生のやつらは初めて触った武器でも数時間でそこそこ使いこなすのに俺は何日かかってもその域の足元までたどり着くこともできない。ひとっとびに能力を手に入れた棚ぼたな俺は覚えることを覚える土台が無いから、積み上げても積み上げても意味がないのだ。野球でバッドを振る際に体ごといっているへたくそな初心者。その癖当たれば持ち前の筋力でごり押せてしまって難しい。体の動かし方がいいところはいいが悪いところはダメダメなのだ。体の動かし方を基礎からしないといけないのだ。
休暇に入ったら本格的に練習したいと思いつつもいざ休みになったら休暇に仕事関係するのあほじゃね? と気が変わってずるずるひきずってここまで来てしまったのだがら我ながら呆れた。でも逆にここまでこれたんだからそれもそれでいい気がしなくもなくもない。そんな一日の戦闘の始まりだった。ようは、戦闘前に余計なことを考えられる程度にはまだ余力がある証拠ともいえた。
こんな武器でも体重と装備している鎧の重さを加算すればあら不思議、大虐殺のショータイムだ。
スッと高度で薄くなる空気を一呼吸して抜けるように走り出す。
まるで湿気のある日にバッシュでリノリウムの床を蹴ったような足運び。キュキュキュ、とテンポを刻んで近づいて敵を殴る。
敵は前階層までと一変してここの階層からはサイボーグ。命無き動くゼンマイ仕掛け。これが未来から送られてきた殺戮マシーンならその美形の外骨格に手が緩みそうになることもあるのかもしれないが、こいつは違う。
のっぺりとしたマネキンのような人型で、胸の内で怪しいネオンのように光点が点滅している。人間でもそんな騒がしい胴体のやつはパリピでもいねえ。逆にこいつのかっこうすれば新しくて案外ギグあたりでなら人気が出るかもしれんが。
その無機質で何考えているのかわからない、そも人間に近づける意味はあるのかと問いたくなるその顔面モジュールは同じ同一個体がなく、デスマスクのような面は無性に恐怖心を煽る。思わず手に汗握って今一度より強くこぶしを握りなおす。ダンジョンで死んだ冒険者はアンデッドになるかそこのモンスターに喰われたりして死体が無くなるのがセオリーだがこのエリアでは一説に死んだ人間を再利用している、そんな噂の出どころだ。
武装は右手がサイバーパンク感を全面的に押し出してきた特製のチェーンソーが接続されていて左手は旧型が無音の高性能ボウガン。確か新型と判別できるのは武装がフォトンソードとレーザー砲をぶっ放してくるだったか。全体の運動出力も上がっているらしいが、こんな浅い階層には出張らない。
しかしどんな武器を持っていようが振られる前に潰せば意味がない。奇襲で左手のワンから右手のツーで敵を沈める俺の処刑黄金パターン。手ごたえ、上々。完全に決まった。最近はもっぱら渋谷第三でモンスターと戦うときはこれをしていたのだが。
――――ブオン。
頭上から風切音。ああ、これは俺の失点だ。
生物系なら脳に深刻な影響が出るそれだったが相手を考えるべきだった。1と0のサイクルで動いている彼らに脳震盪だなんて起きる筈もない。
だが、甘いな。
ニュー鈴木に隙は無い‼ 括目せよ‼ これが周囲からフルボッコにされながら覚えた今一番自信のある体術、その名も真剣白羽どりだーーーー‼
ブオン‼ スカッ‼ ガン‼ 「あほくさ」………パシッ。
頭イッタ…じゃなくて、はい成功~。なんか一瞬映像が乱れたような気がしたけど見事無事一発で成功しましたね。さすが俺。土壇場にきらりと輝く才能の持ち主。やっぱ本番に強いだけはある。こんな唸るように荒々しく稼働しているチェーンソーのしかも限りなく狭いスペースしかないのにそこをピンポイントで的確に白羽どりするだなんて俺じゃなきゃできないね。
ペイっ‼ とチェーンソーを脇に反らすと地面にぶつかって盛大に火花が散る。向けられるボウガンアームを片腕で反らしながら胸部装甲に縦に走る接続部分に貫手を放つ。なかなか硬い。行けるか? 行った。
そのまま回路と導線をぶち抜きながら背中まで貫通する。そうして中にあった一塊の機構を握りしめながら引き抜く。
エネルギーパック。
このマシンの原動力。人類では開発どころか原理を解明すらできていないが、まあ金平糖もどうしてあんな形になるのかわからんが食えるし、原理がわからなくても利用はできる。
このエリアではギミックがいくつかあって先に進むにはそれを稼働させるためにこれを集める必要があるのだが、持ち帰って単品で売ってもあほみたいに高く売れる。
新型の体をばらしてフォトンソードに接続してセットで売ればもっと高く売れる。
そんなことが資料に書かれていた。
しかも捜索中の40層のボスを倒して絶賛遭難中の冒険者はボス討伐ではこれに活路を見出していたみたいだ。
何でも遭難者のうちの一人である電気を操る能力者はこれを利用できないかと色々調べた。軍へとエネルギーパックを渡して契約を結び、85メガワットの電力発電能力がある電気推進駆逐艦に搭載される超電磁砲の開発設計メンバーに参加。そこからこのエネルギーパックを利用した電力備蓄システムの改善と消費エネルギーの削減を経て自前の電気能力を利用した個人で携帯できる超電磁砲を作り出したみたいだ。
ほえー。頭いいーすごいなー。全然理解できないけど。何でもここでエネルギーパックが手に入ったら相場より色を付けて個人で買い取ってくれるみたいだ。若いのにそんな開発に携わるとかすごいな。
俺が発明したティッシュペーパーの空き箱で作った棚何個分だよ。
うん、こんな人がいれば将来は安泰だな。もしかしたら電気料とか安くなるかもしれないしそのためにも助けないといけないな。
そんな電気能力者が開発して特許を取った物が幾つかほかにもある。勿論その所属会社である俺の雇い主から渡されている荷物の中にもその製品はある。
取り出すはアンプルの中に入っているゲル状の物体。
これを頭部装甲を引っぺがして内部機構を露出させるとそこにあるのは特殊な青白く発光するスケルトン基盤だ。普段使いの電化製品とかで電気基盤はソルダレジストの緑色なのを見慣れていると案外新鮮な気持ちになる。そこにゲル物質を注入して支給端末の充電USB端子を差し込む。感覚としてはダイラタンㇱ―現象を利用した片栗粉スライムにUSBを突っ込んでいるみたいだ。うん、傍からしたら何してんだこいつって行動だがこれであとは予め設定されているプログラムが走って解析及び情報収集をしてくれる。
地形や環境データを吸い出すが、大したものは持っていないみたいだ。つーかもともと先行冒険者が集めたのが資料とかデータとして渡されている。これはたまに地形が魔改造されて変わっていたりしているからそれを確認するためなのだが、どうやら今のところ変わっていないみたいだ。
なら少し早いがご飯としよう。
まだこのマシンが停止してから時間も短いため、胸部装甲の中にある機構を引き抜く。そのなかには排熱機関を設けられている熱くなっているパーツがある。
ドラゴンスキンの効果で俺は熱くないのでそれを手に取って地面に置いてフライパンを乗っける。まれーに動画サイトにあるCPUとか車のボンネット開いてそこで卵焼きとか焼いているのがあるがそれに近いだろうか。きっと機械関係で働いている人が見たら怒り心頭ものだ。けどする。それが俺。
油をひいたら冒険者御用達という代用卵パウダーという何で作ったのかよくわからない似非卵を水に溶いてフライパンに乗っける。そこにかぱっと開きたりますは高級ジャンク缶詰だ。ジャンク、しかれど栄養素は高い。ただ味が荒っぽい庶民向けというだけだ。
出てきたのはサニーレタスとそれに包まれたミンチを押し固めたブロック肉だ。
そうしてここでポーションだ。怪我を治す? いやいやいや俺は怪我なんてしていない。このポーション、いやはたしてポーションと言っていいのかわからない代物の茶色く濁った液体を四角い容器に入れ、加熱すると空気を含んで3分もしないで可食パンが出来上がるのだ。凄いね。これ作った奴は偉いと思う。
空きポーションの容器の中に真空圧縮縮れマカロンを入れてインスタントコーンポタージュを加えて水を入れてフライパンの横に置く。
こんな感じか。
敵から入所したデータをダウンロードし終えたので端末と資料を見比べながら飯を食べる。
何か映画でもダウンロードして持ってくればよかったかな。しまった、20層のあの治外法権な違法地区ではご禁制の映画とか書物も手に入るからなあ。
こぽこぽと音を立て始めたのでコンポタを飲んで、ハンバーガーにも手を付ける。
その後、ふと思いついて結構悪趣味だがサイボーグの首を引っこ抜いた。人間でいう背骨にあたる部分まで引っこ抜けたが、ここが形状記憶合金で針金のように曲げると好きな形を作ることができる。まるで頭が肥大した芋虫みたいな見た目だ。
それを荷物のサイドに引っ掛けてエネルギーパックを接続すると、なんか口と目から懐中電灯のように前方を照らしてくれる不気味なオブジェができた。
予想道理できてしまった。できなかった方がよかったができてしまったなら仕方がない。
何やってんだと言いたくなるがこれで明るいし、手がふさがらない、そしていざというときは即席のメイスとして猛威をふるってくれるだろう。
そしてその時はきっと敵の体には顔型の跡が残る。そんな、そんな結果に笑いそうになる。
我ながら才能が恐ろしい。やっぱ俺天才だ。
絶対これで殴られたくないね。
やはり雷能力者には超電磁砲を がロマンでしょうか
搭載する駆逐艦については参考例として確かアメリカのステルス駆逐艦に既に搭載してんだか搭載予定だったか忘れたのをもとにしました 確かそれが80前後のメガワット発電できるんだっけかな




